◇R5年(2023年)の二級建築士試験の問題と正答表が公表されました。
◇内容は「公益財団法人 建築技術教育普及センター」のホームページをご確認ください。
◇本ブログでの解説内容は、R5年(2023年)の試験問題をベースとして、要点整理を図ります。
◇上記財団のホームページで、R5年の試験問題を確認してから、本解説をご覧いただければと思います。
◇建築確認制度問題の過去の出題傾向
・法6条1項に基づく四号に該当する建築物を、一号~三号に該当するかのような文言で誤答を誘う。
・結果としてなのか、正答は「三号建築物」である場合が一番多い。
・一号建築物の用途変更規定においても、一号であるかのような文言で誤答を誘う問題が多い。
・法6条2項の増築の場合の例外規定でも、「全国どこでも」対象なのかという部分で誤答を誘う。
・間違うことは無いと推察しますが、工作物への準用規定の出題率は、結構高い。
◇R5年の問題(No.2)でのポイントは?
・肢問1(法2条一号、法6条1項):プラットホームの上家は、建築物に該当しないので、法6条1項の確認対象外である。H30年にも出題事例がある。
・肢問2(法6条1項三号):鉄骨2階建ては、三号建築物なので、新築(建築)は、確認が必要。
確実に三号建築物であることの把握が重要です。
・肢問3(法88条1項、令138条1項五号):2m以内の擁壁は、確認対象外の工作物である。
・肢問4(法6条1項一号):用途変更確認申請が必要なのは、一号に該当する特殊建築物への用途変更であり、特殊建築物ではない事務所の用途に供するものへの用途変
更は確認の必要はない。この部類の問題は、R2,R3年には、肢問中に2問含まれており、知識固めが必要な重要事項と推察。
・肢問5(法6条2項):防火・準防火地域外の床面積10㎡の増築は、確認を必要としない。すなわち、全国どこでも確認が必要とするわけではない。
なお、防火・準防火地域内の場合には、木造3階建てなので、二号建築物に該当し、増築(法2条十三号により増築は建築である)は、確認を要するということに留意
する必要はあるが、来年度施行の法改正により、現状の二号建築物である木造3階建ては、新二号建築物として扱うことになることにも留意する必要がある。
◇R5年度の問題から整理する重点事項を整理すると
・三号建築物の範囲を具体要件で把握することが重要
「木造以外の建築物で2以上の階数を有し、又は延べ面積が200 ㎡を超えるもの」
⇒R7年からは構造に関係なく「2以上の階数を有し、又は延べ面積が200 ㎡を超えるもの」に改正
・一号建築物は、200㎡を超える特殊建築物が対象で、これからその用途・規模に変更するものが対象。
・法6条2項の増築への例外措置は、防火・準防火地域外のものへの適用で「全国どこでも」ではない。
・令137条の18に規定する「類似用途」の判断も、特殊建築物の基本としての重要事項
⇒三号:診療所(患者の収容施設があるものに限る。)、児童福祉施設等 ← 類似用途である
⇒五号:下宿、寄宿舎 ←「共同住宅が類似用途に含まれていないことに注意する」
・工作物の準用規定は、判断数値があるので、政令(令138条)を参照することが重要
◇その他、確認申請分野での重要事項を整理すると
・仮設建築物に対する制限の緩和(法85条)
⇒ 特に現場事務所に関する緩和条項(法6条:確認対象外)、緩和しない条項(法20条:構造規定)
・建築確認申請の対象法令を「建築基準関係規定」として定義(令9条) ⇒ 消防同意と消防通知の違い
・確認の特例(法6条の4) ⇒ 特に建築士の設計に係る四号建築物への緩和条項等は重要事項
・法3条の文化財保護法関連の適用除外規定も、たまに出題があるので注意!
◇余計な話になりますが、2025年法改正の影響は???
・H28年からの出題傾向から、廃案になる二号建築物を扱っていませんので、その影響は無いですね!
・一部、解答に影響のない範囲で、文言だけは出てくるという程度です。
・例えばR5年(本年)の肢問5で、木造三階建てが出てきますが法6条2項の範囲内で処理しています。
・法改正を前提として、随分前から、よく考えられていると感じさせられる確認申請の問題ですね!
2023年9月3日 by shrs(シュルズ) 建築基準適合判定資格者、一級建築士