
昨日の夜から、どうも天気が荒れているようだ。
寝ていても時折吹き付ける風の音が、窓を通して聞こえてくる。
僕はいつもの時間に起きたが、ご主人様も奥様も休みのせいかなかなか起きてこない。
やっと起きてきた奥様が、窓を開けて外を見るなり大声で叫んだ。
「おとうやん、雪積もってる。
皆雪かきしてるよ!!」
ご主人様はあわてて起きてきて、踊り場の窓を開けた。
僕も一緒に外を見に行くと、空は晴れ渡っていたが家の前の通りは真っ白に染まっていた。
ご近所の人たちは、すでに雪かきを始めている。
ご主人様も着替えを済ませると、すぐに出て行き雪かきを始めた。

僕も一緒に外に出た。
カーポートでうろうろしていたが、一年ぶりの雪は冷たかった。

振り返ると、雪の上に僕の足跡が綺麗に残っていた。

そのまま裏庭に出ると、カヌーの上にもほんわりと雪が積もっていた。
「やっと雪が積もった~」
ご近所の人たちも、久しぶりに皆と顔を会わせたせいか、世間話に花が咲いている。
僕も何となく楽しくてしょうがなかった。
でも足が冷たい。そろそろ家に入ろう。
そう思った時だった。
「いって~!」と言うご主人様の声が聞こえてきた。
どうやら雪を跳ねる時、背中を捻ったようだ。
背中のお肉がプルプルと鳴ったと言っている。

横で見ていたカラスが何か言ったような気がした。
「あんたもいつまでも若くないんだから、ほどほどにせいや~」
そう言えばこのカラス、前に奥様と戦ったカラスじゃないか。
ご主人様はチラッとカラスに目をやると、背中を押さえながら家の中に入っていった。
僕も一緒に家に入ると、ご主人様は奥様から痛み止めをもらいすぐに飲むと、そのままソファーに横になってしまった。
後の雪かきは奥様にまかせるようである。

僕ももう外には出る気はないので、僕専用のイスで寝てしまった。
今年は雪の降り始めが本当に遅かった。
でも、一年経つと結局毎年同じ量だけの雪が降るようだ。
今年は降り始めが遅かった分、そのうちドッカリと降るんだろうな~。
そんなことを考えながら、僕は寝ていた。