裏庭のさくらんぼが熟してきた。
紅い実を枝いっぱいにつけている。
実の重さで枝がしなるほどだ。
今日はご主人様がさくらんぼを採るようだ。
物置から籠を出してきた。
この籠は実家で使っているものだ。
「早くこの籠、いっぱいにしろよ!」
僕は覗き込んだ。
ご主人様はチラッとこっちを見ると、梯子に登りせっせと採りだした。
小1時間、二つの籠がいっぱいになった。
枝にはまだたくさんのさくらんぼがなっている。
とてもうちだけで食べきれる量ではない。
奥様は近所に配りに行った。
その時、
「Kさんとこにはいっぱい持ってってくれ」
ご主人様は言った。
奥様が帰ってくると、
「Kさん居たか?」
「うん、お父ちゃまによろしく。て言ってた」
ご主人様がニヤッと笑った。
どうやらご主人様には下心がありそうだ。
「これで秋にはさんまが来る」
「さんまが食べたくてあんなこと言ってたの?」
いつもながら奥様はあきれていた。
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