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自然の中で見つけたステキなモノ

雲仙霧中登山(長崎県雲仙市)その2

2012年12月23日 | 山のお話

鬼人谷口から新道に入り、ハイペースで山道を進んで行く我らがT小登山隊。先頭を歩く健脚のTさん&Nさんコンビに負けじと、脇目も振らずに歩いて行くと… 

わずか10分弱で西の風穴に到着~ 夏場はこの穴からひんやりとした冷気が漂ってきてとても気持ちがいいのですが、冬場は外気温が低いので、特に何も感じることもなく… 冬場にも関わらず雪はないし、花が咲いている訳でもないし、途中の景色も霧で見えないし、なんだかただひたすら歩くだけの登山になってきました

しか~し そんな中でも発見しましたよ、このお天気ならではの幻想的な風景を。それがこのヤマグルマ(山車)の木。大きな岩にしがみつくようにしっかりと根を張り、前にせり出した枝には光沢のある青々とした葉をたくさんつけ、こんな霧の中でもひと際存在感を放っていました 

ヤマグルマはヤマグルマ科ヤマグルマ属の1科1属1種のちょっと珍しい植物で、トリモチが取れることで知られている東アジア特産の被子植物。なぜか岩の露出しがちな尾根など空気の動きのある場所を好むらしく、自ら好んでこんな風に岩にへばりついているようです。敢えてこんな厳しい環境に根を下ろさんでも…なんて思ったりする一方で、ヤマグルマのそのストイックな生き方に感動すら覚えてしまうkero-keroなのでした

新道ではこのように美しく苔が生した岩をあちらこちらで見ることができます。この岩、なんとなくリクガメみたいに見えませんか?

西の風穴から10分ちょっとで、今度は北の風穴に到着~ ここでも特に冷気を感じることはありませんでしが、霧のせいか夏に来たときよりも苔の色が艶やかで美しく感じられました

下界の景色はこの通りなーんにも見えません。でもなんだか雲の上にいるみたいで、天界から人々の生活を垣間みる神様になったような気分です

今回たくさん目についたのはやっぱり苔。ふかふかの苔の毛布をかぶった岩は冬でも暖かそうです。ちょっとピンぼけですが、まあるい水玉がたくさん付いて、とってもきれいでした 

さらにこれ。なんと苔がきれいに黄葉して、ぴゅーっと伸びた細~い針金のようなものの先っぽに、小さな水玉がプルプルと揺れているではありませんか ナウシカのラストシーンを彷彿とさせるこのコラボに、思わず目を奪われてしまいました この水玉に包まれた丸い物体は「さく」または「苔の花」と呼ばれる柄の付いた胞子嚢で、その中から胞子が飛び出して原糸体となり、苔本体の芽が出てきて、私たちがよく目にする苔の姿になるのだそうです。視界は悪いし遠くの景色はな~んにも見えないけど、苔を観賞するならこんな霧の深い日がベストかもしれません

いつもながらどこに源流があるんだ?とつっこみたくなる湯江川源流を過ぎて、次に目指すのは平成新山を間近に望む立岩の峰。 

が、その前に急な上りが私たちを待ち受けているのです 時刻は11:40を回り、歩き始めてから約2時間が経過したところ。小休憩の度にちょこちょこお菓子を口にしてはいるのですが、徐々にお腹の虫が騒ぎ始める時間となってきました

でもここで立ち止まってはいられません。気合いを入れてもうひと登り頑張りましょう 

雲仙霧中登山はまだまだ続きまーす

その3に続く


雲仙霧中登山(長崎県雲仙市)その1

2012年12月23日 | 山のお話

2012年も残すところあと一週間となりました。友人の紹介でT小登山隊のメンバーとなってから3度目の冬を迎え、山の歩き方も少しは分かってきた今日この頃ですが、この半年間は特にブログの更新が滞りがちな私… 広報部長としてこれではいかんっと自分に喝を入れつつ、昨日行われた定例登山の記事を早速アップしたいと思います

12月のT小登山隊の定例登山は、真っ白な美しい霧氷を観賞する『雲仙霧氷登山』…の予定だったのですが、結果から申しますと、霧氷どころか残雪すら見ることができず、タイトル通り『雲仙霧中登山』となってしまいました どうやら前日の雨で雪が溶けてしまったようなので、さらに気温の上昇によりが発生し、仁田峠循環道路は封鎖され、仁田峠より標高の低い池の原園地からのスタートとなってしまいました

池の原園地の駐車場もご覧の通り。辺り一面霧に覆われていましたが、とりあえず雨も降ってないし、9:30に予定通り登山開始~今回の登山は隊長とベテランのTさんを初め、健脚ぞろいの6名。Tさんを先頭にいつもよりハイペースで登って行きます

しょっぱなから急勾配が続くこのコース。ウォーミングアップというには少しペースが速かったので、ふうふう言いながら登りました体の中に溜まっていた前日のアルコールもどんどん抜けていきます 

歩き始めて30分で仁田峠に到着~ 背景には雲仙の山並みが写っているはず…なのですが、濃い霧のため全く見えません当然のことながら、この広~い駐車場に車も2~3台ほどしか停まっていませんでした。この霧だと山頂からの景色も全然見えないだろうし、こんな日に山に登ろうと思う人がいないのも無理はありません でもプラスに考えると、滅多に見られない霧に包まれた山を撮影するチャンスだし、雲仙山系を貸し切り状態で歩けちゃうなんてとっても贅沢なこと。広報部長としては少しワクワクしちゃったりもするのでした♪ トイレ休憩を済ませて、早速霧の向こうにある山の中へ入って行きましょう

普賢神社の鳥居をくぐって、まずはあざみ谷方面へ向かって歩きます。 お天気のよい時とは違って、先の方は白くぼんやりと霞んで見えますが、「景色は見えないけど、何か動物に出合えたらいいね~」なんて話しながら霧の中を進んでいきます。

山登りって全身を使いながら登って行くので、冬場の登山でもすぐに体が温まって、あまり衣服を着過ぎるとかなり汗をかいてしまいます。あまり汗をかくと立ち止まった時に冷えてしまうので、なるべく汗をかかないように、気象条件が変化するごとに上着を脱いだり着たりしながら体温調節をすることがとても重要です。なんと12月でも途中シャツ2枚とかで登れちゃうんですよ 家の中にいる時よりも薄着だなんてなんか不思議ですよね

 

このお天気ならではのステキな景色を発見 中の実が落ちて空っぽになった種子の殻にしずくがついて、よくよく見ると向こう側の景色を逆さまに映し出していました 左は何の木か分かりませんが、右はマユミだと思われます。この先では緑の美しい苔としずくのコラボも発見しましたので、そちらの方もお楽しみに~

仁田峠から約1時間で普賢岳山頂への紅葉茶屋に到着~ ここで少し休憩を取り、鬼神谷口から新道に入って普賢岳山頂に登り、またこの場所へ戻ってくることになります。この先天候が悪化しないことを祈りつつ、霧中登山はまだまだ続きます

その2へ続く