ジョルジュの窓

乳がんのこと、食べること、生きること、死ぬこと、
大切なこと、くだらないこと、
いろんなことについて、考えたい。

プール!

2005-03-07 | 乳がん
シンビジウムも いく鉢か 持っているけれど
(どれも いただいたものばかり)、
今年も、
咲いてくれたのは この鉢だけだった。
もうラベルもなくなって、
名前もわからない。

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2004年
娘の春休みは長かった。
長いけれど 夏休みほどではない。
中途半端で アルバイトにも教習所にも通わなかった。

私は 暇を持て余した娘を誘って
ついに出かける事にした。

プールに!



ずっと行きたいと思っていた。
新しい水着も買ってあった。

そしたら、がんになった。

そして、太らないほうが いい、と言う。

仕事に休みはないけれど
亭主がいれば 出かけられる。

買っておいた水着と
高校で揃えたスクール水着とで
いざ、市民プールへ!



新しい水着は 脚は太ももまである。
背中の開きも少ない。

昔 ハイレグが流行っていた時は
ムダ毛の処理がめんどうだった。

これは 袖はないから 
脇の下はケアが必要だけど
‘ビキニライン’は
気にしなくていいので、すごくラクチン。



水着を着て 更衣室を出る。
鏡を見るまでもない。

そこには 大きな大きなお腹があった。

なんと、術側の胸が小さいことより、
お腹の大きさが目立つのだ!




お腹が出ると 着られる服が少なくなる。
絶対に出来ないファッション、というのができる。

洋服だけではない。

着物も、
あれは 寸胴体型の方がいい ということで
補正をして 体のラインを消す。

私も若い頃は お腹にバスタオルを巻いたものだ。

だったら太っていても良さそうなものだが、
‘でっぱり’は やはりダメなのだ。

特に下腹部は おはしょりで隠しきれないと、
よくわかってしまう。

着物というのは、
上半身はともかく、
お腹とか お尻とかの下半身は 
体型が バレてしまうものなのだ。



着たい服が着られない、
というのは、
QOL を 著しく損なう。

これは、とってもカナシイ事実。

ピッと背筋を伸ばして 下を向くと
そこには 視界を遮る大きなお腹。

おふくろさんの安心感を 少し逸脱していそう。

気にしない、気にしない と 言い聞かせても
網膜に残像として残る、そのお腹!

恥ずかしくて、
早く 水の中に 身体を入れてしまいたかった。



水温も気温も一定にした温水プールで、
ひさびさに全身水に入ると、
ドキドキしてしまう。

最初は歩いて、
それから バタ足で、
泳いだ。

クロールをしたら、
術側の腕が ダルダルになってしまったので、
あとはゆっくり バタ足で。

ハイレグ水着で ベビースイミングに通って
やっと覚えた息継ぎを 
すっかり忘れていた。



というわけで、
乳がんの手術をした とは言え、
おっぱいのことは 全く気にならなかった。

乳房温存手術だからこそ。

そこに そこはかとなく 
‘乳房のようなもの’があるのだから。

そして こんな私だからこそ、
不必要な乳房全摘出は 悲しいし、許せない。

ようやく 「これこれの場合は、温存手術!」
というようになってきたようだ。

反対に、
術前化学療法によって がんが小さくなっても
温存が難しいことも 多いらしい。

たとえしこりがなくなっても 
がん細胞が まだらに残ったり するからだとか。



私のように大きく切り取った人も 
変形が大きくて 面倒だったりする。

いっそ お腹が で~~んと 大きいままの方が
目立たなくって いいだろうか?