9月に風邪を引いた時、
私は 『八甲田山死の彷徨』を読んでいた。
(新潮文庫、1978.1.30)
これを読んでいる間中、
耳には吹雪の音が聞こえるようであり(耳鳴りか?)、
まだ暑くて 時おりクーラーが入る電車内で
ホット・フラッシュによる汗を
背中にたらたらと流しながら読んでいたので
それで風邪を引いたんだ、と
本気で思っている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/65/846b2f40fb1c18e6a63d2767c97b8b86.jpg)
9月の大和芋畑。もうちょっと待って。
『八甲田山死の彷徨』の著者は 新田次郎。
気象学者で 気象台の職員であった。
富士山頂の測候所建設当時の担当課長だったという。
登山家でもあり、山岳小説をいくつか書いている。
歴史小説としては 『武田信玄』が
私にとっては馴染み深い。
ただし、横山光輝のマンガで(笑)。
その彼の書いた本書は
本当に読んでいる間中 吹雪の中にいる気分だった。
物語は 日露戦争前夜。
徳島大尉(高倉健)率いる弘前第三十一連隊と
神田大尉(北大路欣也)率いる青森第五連隊は、
真冬の八甲田山を雪中行軍することに。
一人の犠牲者もなく成功させた弘前第三十一連帯と
遭難した青森第五連帯。
明暗を分けたその理由は それほど単純ではなかった。
士族・華族出身がほとんどだった将校、
教導団を経た平民出の将校が
青森第五連隊の神田大尉だった。
映画の『八甲田山』は
なんとなく見たような気がするけれど はっきりしない。
高倉健、三国連太郎、丹波哲郎、北大路欣也らで
1977年公開だそうだが
雪の中の高倉健というと
『ぽっぽや』なんかと重なってしまって・・・(苦笑)。
今回 読んでいて一番印象に残ったのが、
なんと、布地のこと(笑)。
この本の中に出てくる布地がどんなものなのか、
本当は私は知らないな、と思うものがあったのだ。
羅紗はいくらかわかる(ような気がする)。
でも羅紗外套というものの雰囲気はわからない。
将校は 黒の羅紗服に 黒の羅紗外套、
下士官は 紺の羅紗服に、カーキ色の羅紗外套。
今の人には(本当は私だって充分今の人なのだが)
わかんないだろう、と思う。
そして 私にもわからない生地が出てきた。
「兵卒は 小倉の服を着ていたから 寒さは一段とこたえた。」
小倉の服とは何だ?
コクラ? オグラ? アズキの種類か?
見当もつかない。
油紙は知っている。
脚絆も知っている。
若い人には 知らない人も多いだろう。
かんじき、みのぼっち、雪沓(つまご)、
これらは 歴史の一部としての知識しかない。
触ったり使ったりしたことがなければ
本当にわかるとは言えないかもしれない。
こうして
本を読んでいても その理解の度合いには
自ずと差が出てくるんだなあ、と思った。
そう言えば
『若草物語』に出てくるドレスの生地の
モスリンとか ポプリンとかって
どんなんだろう?
と思いながら読んでいたっけ。
でも キャラコっていうのは知ってる。
確か白足袋の生地だもの(笑)。
フランネルは 八甲田山では 襟巻きだった。
それから
ゴム長靴が 雪中行軍には非常に有用だったけれど
高価で買えない軍人が多かった、とあった。
とにかく水分が中に入ってこない装備、というのは
重要なのだ。
ゴム長がふつうにある現代に生きる私たちは
幸せなのだ、なんて思ってしまう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/af/db147626a28031926907ef0f1a1686ec.jpg)
11月下旬の大和芋畑。収穫を待つばかり。
どんどん関係のない話になるけれど
新田次郎の奥さんが、藤原てい。
『流れる星は生きている』はベストセラーになり、
ドラマにもなった。
これは 新田次郎の奥さんが
子供たちを連れての
旧満州からの引き上げの話。
随分前に読んだなあ。
この子供たちの中の、下の男の子が、正彦。
数学者。
と言うより、
ベスト・セラー、『国家の品格』の著者。
(新潮新書141、2005.11.20、714円)
この本のカバーで
えくぼをみせて人懐こい笑顔を見せているが
私には
ああ、あの時 引き上げてきた、下の坊ちゃん。。。
と思えてしまう(笑)。
新潮文庫のカバーにある 新田次郎の顔写真は
和服を着て
にこりともしないで
やや上の方に視線をやっているものだが
にこやかな藤原正彦とおそろいの丸顔なので
新田次郎が真面目な顔であればあるほど
可笑しくなってしまうんだよなあ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/36/3a1bb5e87dce7452908fee9bf48a2ae2.jpg)
今朝は真っ白に霜が降りた。
散歩に出たのは8時頃だったので霜が残っている所を探して撮影。
私は 『八甲田山死の彷徨』を読んでいた。
(新潮文庫、1978.1.30)
これを読んでいる間中、
耳には吹雪の音が聞こえるようであり(耳鳴りか?)、
まだ暑くて 時おりクーラーが入る電車内で
ホット・フラッシュによる汗を
背中にたらたらと流しながら読んでいたので
それで風邪を引いたんだ、と
本気で思っている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/65/846b2f40fb1c18e6a63d2767c97b8b86.jpg)
9月の大和芋畑。もうちょっと待って。
『八甲田山死の彷徨』の著者は 新田次郎。
気象学者で 気象台の職員であった。
富士山頂の測候所建設当時の担当課長だったという。
登山家でもあり、山岳小説をいくつか書いている。
歴史小説としては 『武田信玄』が
私にとっては馴染み深い。
ただし、横山光輝のマンガで(笑)。
その彼の書いた本書は
本当に読んでいる間中 吹雪の中にいる気分だった。
物語は 日露戦争前夜。
徳島大尉(高倉健)率いる弘前第三十一連隊と
神田大尉(北大路欣也)率いる青森第五連隊は、
真冬の八甲田山を雪中行軍することに。
一人の犠牲者もなく成功させた弘前第三十一連帯と
遭難した青森第五連帯。
明暗を分けたその理由は それほど単純ではなかった。
士族・華族出身がほとんどだった将校、
教導団を経た平民出の将校が
青森第五連隊の神田大尉だった。
映画の『八甲田山』は
なんとなく見たような気がするけれど はっきりしない。
高倉健、三国連太郎、丹波哲郎、北大路欣也らで
1977年公開だそうだが
雪の中の高倉健というと
『ぽっぽや』なんかと重なってしまって・・・(苦笑)。
今回 読んでいて一番印象に残ったのが、
なんと、布地のこと(笑)。
この本の中に出てくる布地がどんなものなのか、
本当は私は知らないな、と思うものがあったのだ。
羅紗はいくらかわかる(ような気がする)。
でも羅紗外套というものの雰囲気はわからない。
将校は 黒の羅紗服に 黒の羅紗外套、
下士官は 紺の羅紗服に、カーキ色の羅紗外套。
今の人には(本当は私だって充分今の人なのだが)
わかんないだろう、と思う。
そして 私にもわからない生地が出てきた。
「兵卒は 小倉の服を着ていたから 寒さは一段とこたえた。」
小倉の服とは何だ?
コクラ? オグラ? アズキの種類か?
見当もつかない。
油紙は知っている。
脚絆も知っている。
若い人には 知らない人も多いだろう。
かんじき、みのぼっち、雪沓(つまご)、
これらは 歴史の一部としての知識しかない。
触ったり使ったりしたことがなければ
本当にわかるとは言えないかもしれない。
こうして
本を読んでいても その理解の度合いには
自ずと差が出てくるんだなあ、と思った。
そう言えば
『若草物語』に出てくるドレスの生地の
モスリンとか ポプリンとかって
どんなんだろう?
と思いながら読んでいたっけ。
でも キャラコっていうのは知ってる。
確か白足袋の生地だもの(笑)。
フランネルは 八甲田山では 襟巻きだった。
それから
ゴム長靴が 雪中行軍には非常に有用だったけれど
高価で買えない軍人が多かった、とあった。
とにかく水分が中に入ってこない装備、というのは
重要なのだ。
ゴム長がふつうにある現代に生きる私たちは
幸せなのだ、なんて思ってしまう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/16/af/db147626a28031926907ef0f1a1686ec.jpg)
11月下旬の大和芋畑。収穫を待つばかり。
どんどん関係のない話になるけれど
新田次郎の奥さんが、藤原てい。
『流れる星は生きている』はベストセラーになり、
ドラマにもなった。
これは 新田次郎の奥さんが
子供たちを連れての
旧満州からの引き上げの話。
随分前に読んだなあ。
この子供たちの中の、下の男の子が、正彦。
数学者。
と言うより、
ベスト・セラー、『国家の品格』の著者。
(新潮新書141、2005.11.20、714円)
この本のカバーで
えくぼをみせて人懐こい笑顔を見せているが
私には
ああ、あの時 引き上げてきた、下の坊ちゃん。。。
と思えてしまう(笑)。
新潮文庫のカバーにある 新田次郎の顔写真は
和服を着て
にこりともしないで
やや上の方に視線をやっているものだが
にこやかな藤原正彦とおそろいの丸顔なので
新田次郎が真面目な顔であればあるほど
可笑しくなってしまうんだよなあ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/36/3a1bb5e87dce7452908fee9bf48a2ae2.jpg)
今朝は真っ白に霜が降りた。
散歩に出たのは8時頃だったので霜が残っている所を探して撮影。