ミズバショウ(Lysichiton camtschatcense) Asian Skunk-cabbage
5月の初めのことである。
私は急に思い立って荷物をまとめ、一人旅に出た。
ここはその昔、白鷺が湯に浸かっていたことから始まったという、とある温泉郷。
温泉へ向かうバスの窓から見えた橋に描かれていたのはカラシラサギだったから、もしかしたらこの逸話に登場する白鷺はカラシラサギだったのかもしれない。ちなみに現在は、妙に人を恐れない1羽のアオサギが住み着いているという。
温泉街を通り抜けて小高い丘に登ると、谷川の流れ込む小さな湖に辿り着いた。
ひと気の無い湖を眺めていると、私の存在に気が付いたヤマセミが沢の奥の方へ飛んでいったり、カワガラスが「ビッ!」と鳴いて湖を横切ったりした。
谷川沿いの湿地には、いくつものミズバショウが咲いていた。私が身をかがめてミズバショウを見ていると、上空から「ピリリリッ」とサンショウクイの声が聞こえた。
【2011/05/01/石川 Ishikawa,Japan/May 2011】