スプーン・ビル

2010-12-25 17:12:52 | 鳥(Birds)


クロツラヘラサギ(Platalea minor) Black-faced Spoonbill


池の奥、対岸からは丁度葦に隠れて見えない部分には、10羽のクロツラヘラサギが休んでいた。初め、全てのクロツラヘラサギが嘴を背中に突っ込んで動かなかったけれど、1羽のアオサギが景気づけに咆哮したために目を覚ました若者が寝ぼけ眼でゆらりと動き始めた。
採餌の際に見せるあのユニークな、スプーン型の嘴を振り子のように首を左右に小気味良いリズムで振るという動作を織り交ぜて、羽繕いを丹念にする。その後また眠気が来たのか、群れに並んで嘴を背中に突っ込み休み始めた。この一連の流れはまるで、朝は遅く起きて朝食をとり、いくらかテレビに向った後また二度寝をする、というような何もしない休日の私のようであり、そこはかとなく親近感を覚えた。
他にもカモが4種と、脚がオレンジ色をしているエリマキシギ、タシギが数羽、セイタカシギが10羽など、皆クロツラヘラサギにつられてか眠たそうにしていた。池の周囲を歩くと、キョロッキョロ鳴くタイワンシロガシラ、小群で楽しそうに鳴き交わすシマキンパラ、シロハラ、リュウキュウツバメ等が見られた。



イソヒヨドリ(Monticola solitarius) Blue Rock Thrush


その後、私達は豊崎干潟へ向った。このゴツゴツした岩礁がそこら中にある干潟にもまた、多くの鳥がウロついていた。
一番目立つダイシャクシギは、最も餌が捕れそうな砂泥部を堂々と歩く。その周りをちょこまかと動き回っているのはハマシギ、コチドリ、ムナグロ、メダイチドリ、オオメダイチドリ、そして1羽のヒバリシギがいた。川の端を双眼鏡で滑らせると、タカブシギ、キアシシギ、ムナグロ、チュウシャクシギがそれぞれ孤独に餌を探していた。しばらくすると、与根遊水池の方向から5羽のクロツラヘラサギが飛翔してきて、これまた人間から一番遠い中州に落ち着いた。これはやっと動き出したか、と思いきや、また眠り始めた。何のために場所を移動してきたのか分かったものではない。

次の場所へ移動しようかと思った矢先、1羽のイソヒヨドリが私達の目の前にやって来て、こちらを物欲しそうに見つめ出した。すぐ近くにショッピングモールがあるから、おおかた観光客に餌でも貰った経験があるのだろう。そうでなくても本州に比べて沖縄のイソヒヨドリはとても人懐っこいけれど。日没が迫っていたため、一刻も早く次の場所に行きたいからお前の相手などしているヒマはないよ、と自分の運動神経に電気信号を送ろうと試みるも、足が一向に動かない。まったく、この懐っこさは反則だ。

さらに私達は、広大な具志干潟へ向った。もうかなり太陽が傾いている。
だだっ広い引き潮の果て、「おばぁ」が何かを採っているあたりには鳥達も多く、シギチは今日見てきた顔ぶれがいる。少し水深のある岩場では、白色型のクロサギが低姿勢で獲物を狙っている。チュウサギやコサギが点々とする中、嘴が短くて黒い、2羽のズグロカモメが干潟上に降りていた。そのうちズグロカモメは思い立ったように飛び立ち、とにかく広い干潟の私を挟んで対岸ほどにまた舞い降りた。これでは到底近づけたものではない。
離れた場所にいた友人が干潟に注ぐ水路を泳ぐオキナワフグやぴょんぴょん跳ねるミナミトビハゼ、干潟でウェービングする数種のシオマネキを見つけた頃、私がそろそろ移動しようと声をかけた。


【2010/12/05/沖縄本島 Okinawa,Japan】


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