オオハリオアマツバメ(Hirundapus giganteus) Brown-backed Needletail
マレーシア最終日の朝、日の出と共にラヤ山に登り始めた。
旅が終わろうとしているのに、私達の心は不思議と穏やかで、ラヤを包む空気のように澄みきっていた。
ホオジロみたいな地鳴きを発していたのは、オレンジハナドリだった。他にもブッポウソウ、リュウキュウツバメといつもの面々もいる。キタカササギサイチョウは1羽で遊んでいて、ボウシゲラは今日もどこか遠くで鳴いていた。ふもとにはマレーアナツバメ、中腹にはヒメアマツバメもいた。
さらに標高を上げると、上空をとてつもないスピードで飛翔する影が......。
やっと双眼鏡で捉えると、喉が黒い。これは......ハリオアマツバメよりもさらに大型な、
オオハリオアマツバメだ!
気付けば何羽ものオオハリオが道路の上空を飛んでいた。
空高く上昇気流に身を任せているものたちは羽軸の突出した尾羽を広げてゆっくりと舞い、低空の虫をねらう個体は私達の真上、電線ほどの高さを超高速で飛ぶ。100km/hは軽く出ているようで、真上を通過されると「ビョォォォ!」という、かまいたちでも起こっていそうなもの凄い音がした。これに狩られる飛蟲は、自分が食べられたことを悟る前に最期を迎えることであろう。
あまりの迫力に、私はその場で宙を見たままぺたんと尻餅をついて座り込んでしまった。これは決して大げさな表現などでは無い。それほどまでに衝撃的だったのだから。
そのうちクマタカ(S.n.nipalensis)が優雅にソアリングをしてすぐ上空を飛んでいったけれど、呆然としていたためなぜかマクロレンズでそれを撮っていた。
その速さ、疾風の如し。
この巨大さ、うっかり501の手の者と見間違えかねない。
【2010/08/08/マレーシア Langkawi,Malaysia】
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