わらいきのこ

2011-04-21 22:08:07 | 鳥(Birds)


ワライカワセミ(Dacelo novaeguineae) Laughing Kookaburra



オーストラリア12日目。
前日の反省をもとに、延々と歩くことはもうせず、あっさりとタクシーを使って森に乗りつけた。時は金なりである。
朝一番の森へ入ると早速、タカサゴクロサギが飛んで私達の頭上を通過した。
小さい2羽のキバラタイヨウチョウはマングローブの枝の間を縫うように動いて、途中ハシブトセンニョムシクイとすれ違った。また、キミドリコウライウグイスとメガネコウライウグイスは木の実を食べるのに夢中だ。
すると突然、私の真後ろから派手な笑い声が聞こえた。ビックリして振り返ると、ワライカワセミがもの凄く近くにいるではないか。ワライカワセミは下嘴が基部を除いて淡肉色をしているのが成鳥の証。




オーストラリアイシチドリ(Burhinus magnirostris) Australian Stone-Curlew


オーストラリアイシチドリは本当に面白い性格の鳥。
例えばこの個体は私達にまだ自分の存在を気付かれていないと思っているらしく、姿勢を低くしたこの体勢のまま、ソローリソロリとゆっくり歩いてやがて木の裏側に姿を消した。




テリオウチュウ(Dicrurus bracteatus atrabectus) Spangled Drongo


ハチクイと一緒にフライングキャッチに興じるテリオウチュウ。
嘴の基部周辺には、鳥用語でいう「剛毛」が見える。これは飛び虫をフライングキャッチ、つまり飛翔中に捕らえる際に虫が逃げにくくするための役割を果たしている。




ヤブツカツクリ(Alectura lathami lathami) Australian Brush-turkey


ヤブツカツクリは英名にTurkeyとあり、見た目も七面鳥っぽいけれど、別にシチメンチョウなわけではない。
この鳥ほど人を気にしない鳥はなかなかいないだろう。何のためらいも無く隣を横切られたことがこの旅行中に何回もある。
予備知識も無しに見たら、確かにどこかで飼われているシチメンチョウだと思うかもしれない。




オーストラリアツカツクリ(Megapodius reinwardt castanotus) Orange-footed Scrubfowl


丁度コジュケイぐらいの体格をしたオーストラリアツカツクリは、見かけによらず強靭な脚で地面を豪快に掘り返していた。
この場所ではただ地中の餌を探していただけかもしれないけれど、この鳥が卵を産む時には雄雌でかなり大きな塚状の巣を作る。そしてその塚の中に卵を産みつけ、落ち葉などが発酵した際に発する熱で卵をインキュベートして、孵化させる。ワニがほぼ同じ方法で仔を孵す事の方が有名かもしれない。







【2010/03/14/オーストラリア Cairns,Australia;Mar. 2010】


泣きっ面にハチクイ

2011-04-17 21:50:37 | 鳥(Birds)


ハチクイ(Merops philippinus) Rainbow Bee Eater


地図上で見て、浅はかにも「徒歩で行けそうだ」と思い、実際に後戻りできないほどに歩いてしまった後で「やっぱり他の方法を考えるべきだった」と後悔することは、人生の中で何度もある。
この時もまさにそうだった。
節約のためだと言って、真昼間の日差しの中を2時間ほど歩いたところで、やっと貴重な時間と体力の浪費に気付き始めた私達であった。けれどもここで後悔の念を口にしては歩く気力がそがれてしまうと思い、文句は乾いた暑さに対してだけ向けていた。

一体、何時間歩いたのだろうか。やっとの思いで住宅地を抜けて、森が見える場所まで来ると、ハチクイに出逢った。
大きくて葉の無い木にとまっていたこのハチクイは、たまにフライングキャッチをしてはもとの場所にもどる。
疲れ切った私達は、大きな針葉樹が落とす影に入って地べたに座り込み、30分ほど動けずに過ごした。




モリツバメ(Artamus leucorhynchus leucopygialis) White-breasted Woodswallow


強風の中、モリツバメが木にとまる方法は実に華麗であった。
ハングライダーのように広くて三角形をした翼を羽ばたかせずに風に流れてきて、まるで可変ウイングかスラスターでも付いているかのようにとまるべき枝のすぐ上まで上手に体を移動させて来た後、そのままの体勢で足を出して綺麗に枝につかまるのである。
そうして最後にゆっくりと翼をたたむ。相当な飛翔技術だ。
一方、強風の中で飛び立つ時はこれの逆再生バージョンになる。
他の小鳥なら、強風の中で飛ぼうとすれば翼が風の抵抗を大きく受けてたちどころにバビューンと風に吹き飛ばされてコントロールをほとんど失ってしまうところである。





雨覆や顔にまだ幼鳥の特徴がある。




ナマリイロヒラハシ(Monarque rougegorge yorki) Leaden Flycatcher


私はもうどれほど疲れ切っているのだろうか。そもそもオーストラリアに生息していないことを知っていながら、このナマリイロヒラハシの雄を初めクロエリヒタキかと思ってしまった。
友人は魂が抜けたようにベンチに腰を落とし、半目だけを開いていたが、私にツッコミを入れる気力だけは残っていたみたいだ。

間もなく夕暮れになり、鳥達は騒がしくねぐら入りを始めた。
今考えれば相当頭の悪い選択なのだけれど、ここで楽をしたら負けだと思った私達は、なんと帰り道までも徒歩にすることにした。真っ暗になった帰路を言葉も無く、腿をだるーくしながらえっちらおっちら歩いていると、仕舞いには大粒の雨が降り出した。







【2010/03/13/オーストラリア Cairns,Australia;Mar. 2010】


インペリアルの名のもとに

2011-04-16 20:08:37 | 鳥(Birds)


ソデグロバト(Ducula bicolor spilorrhoa) Pied Imperial Pigeon


この大きなソデグロバトは、Imperial の名に負けないほどに美しく雅である。
突風が吹いて激しく揺れる木の枝にとまっていてもその表情からは余裕さえ伺えるほどに堂々とした風格を持ち合わせていて、それでいて手入れの行き届いた翼には少しの隙もない。
そのうち「もきゅっ」と全身の羽毛を膨らませたソデグロバトはとまった木の枝にめり込んでいるみたいな見た目になった。
どうやらお茶目さを演出するスキルさえも嗜んでいるみたいだ。




ズグロトサカゲリ(Vanellus miles miles) Masked Lapwing


日陰に座り込んで休んでいたズグロトサカゲリは、私達の存在に気が付くとすっくと立ち上がった。
けれど翼を開いて大きな伸びをひとつすると、間もなくまた同じ場所に座り込んだ。
どうやら初めから私達のことなどどうでもよかったらしい。








タテフミツスイ(Lichenostomus versicolor) Varied Honeyeater


ソデグロバトが去った後の木にやってきたタテフミツスイは、身をすくめた後にペロペロと長い舌を出して見せた。



【2010/03/13/オーストラリア Cairns,Australia;Mar. 2010】


カニの上手な食べ方

2011-04-15 18:32:06 | 鳥(Birds)


ホウロクシギ(Numenius madagascariensis) Eastern Curlew


ここは、街中から歩いてすぐの干潟(Esplanade)。
土砂降りから小雨に変わった雨はしばらくすると上がり、今度はさっきまでの空模様が嘘であったかのように晴れ渡った。
大きなカニを捕らえたホウロクシギがどうやってそれを食べるのかと見ていると、自慢の長い嘴でカニを何度も軽く放り投げながら脚を落としていき、最終的には甲だけにしてから飲み込んだ。





                    ↓






オオソリハシシギ(Limosa lapponica baueri) Bar-tailed Godwit


満潮から潮が引き始めたため、露出した干潟の泥地にはオオソリハシシギやオオアジサシが次々に舞い降り出した。
コアジサシは夏羽と冬羽の個体が並んでいたけれど、これは繁殖個体と越冬個体の両方が居るかららしい。




ギンカモメ(Larus novaehollandiae novaehollandiae) Silver Gull


チュウシャクシギが何か獲物を掘り当てたのをすかさず見つけたギンカモメ達は、すぐさま寄ってたかって横取りにかかった。
獲物を盗られたチュウシャクシギはしばらく怒りをあらわにしていたけれど、諦めたのかまた歩いて餌を探し始めた。一方ギンカモメ達は、また一定の距離を保って休み、チュウシャクシギが次はどんな獲物を捕らえるのかとじっとり見守っていた。




コサギ(Egretta garzetta nigripes) Little Egret


この日本人からしたら違和感たっぷりのコサギは、日本の E.g.garzetta とは別亜種。
趾もほとんど黄色くないし、日本の非婚姻色のコサギの目先の色をカマンベールチーズ色とするならば、このコサギの目先の色はチェダーチーズ色をしている。
ちなみに脚の色は若さゆえのもの。




ササゴイ(Butorides striatus macrorhyncha) Striated Heron


これまたずいぶんと褐色味の強いササゴイは、水路脇の草むらにジッと佇んで魚を狙っていた。



【2010/03/13/オーストラリア Cairns,Australia;Mar. 2010】


スズメと雨宿り

2011-04-14 19:01:05 | 鳥(Birds)


イエスズメ(Passer domesticus domesticus) House Sparrow


オーストラリア11日目。
朝。突然のスコールに慌ててカフェのテラスへ駆け込み、ついでにとそのカフェで朝食を摂っていると、1羽のイエスズメの雌が雨粒をしのぐため軒下にやってきては近くのテーブルの上にとまった。
土砂降りの雨の中でも朝食の最中でも鳥が見られるなんて、何と贅沢なことだろう。
店先だからとさすがの私も平静を装っていたけれど、イエスズメは日本なら迷鳥なだけに内心は決して穏やかではなかった。
やがて雨が弱まってきていることに気付いた私は、チュゴゴゴとアイスコーヒーの最後の一滴を飲み干して席を立った。このイエスズメもまた、みるみる明るくなっていく空を見つめた後に外へと飛び立っていった。





こちらは雄。


【2010/03/13/オーストラリア Cairns,Australia;Mar. 2010】