コシアカツバメ(Hirundo daurica japonica) Red-rumped Swallow
民家の連なる辺りには2羽のコシアカツバメが飛び回っていて、時おり電線に乗って休んでいた。とまっているコシアカツバメをこんなに間近で見るのは初めてかも知れない。
関係の無い話だけれど、「オオコシアカツバメ」とネットで検索すると「オオコシアカツバメ検定」なる名前からしてもの凄くマニアックな検定が出てきた。そこでこれを実際に受験してみると、全1問中に全問正解で全国受験者3人中1位になれたので笑えた。これ、もちろん他の受験者も全員1位なのだ。
最後に島を一周しようと淡水池の辺りまで行くと、ツバメとアカハラツバメに混ざって、別のツバメが飛んでいた。私のかなり近くを飛んでくれたから、思い込みの効果かもしれないけれど、イワツバメよりも少し大きく感じた。そして次に、体下面が驚くほどに白いことに気が付く。まさに驚きの白さだ。唾をごくりと飲んで双眼鏡でこの鳥を追いかけ、腰を注視して確信した。ニシイワツバメだ。
しかし残念ながら私の機材では飛び続けるニシイワを証拠写真にも撮れないため、目に焼き付けることにとどめた。
【2011/05/04/石川 Hegura Island,Japan/May.2011】
チュウサギ(Egretta intermedia intermedia) Intermediate Egret
海岸に面した草地を歩くチュウサギを見ていたら、私の目の前でニホンカナヘビをとらえた。このニホンカナヘビは本土のものに比べて赤味が強い、と言いたいところだけれど、本土産でもこれより赤いニホンカナヘビはざらに居そうだ。
チュウサギに捕らえられたニホンカナヘビは尾を嘴に巻きつけて必死の抵抗を試みたが、チュウサギの首のスナップを利かせた一振りによってたちどころに解かれてしまった。
チュウサギはこの後も、私の見ている前でひょいっひょいっとテンポ良く数匹のニホンカナヘビを捕らえて食べて見せた。
【2011/05/04/石川 Hegura Island,Japan/May.2011】
コサメビタキ(Muscicapa dauurica dauurica) Asian Brown Flycatcher
舳倉島3日目。
この島には、いくつかの神社があるのだけれど、海側に面したそれのほとんどは風除けのためか周囲に高い石垣が組まれている。
海沿いを歩いていた私は風の強さに参り、とある神社の石垣の中に足を踏み入れた。
するとやはり境内は風が遮られて、まるで周りとは全くの別世界のように静まり返っていた。神社だからか、より一層何か神秘的な感じがして無性にワクワクする。
そんな場所には、風から逃れるためか1羽のコサメビタキがとまっていた。
コマドリ(Erithacus akahige akahige※) Japanese Robin (※or Luscinia)
笹薮の中を貫く狭い道を歩いていると、そこら中からコマドリやコルリの声が聞こえてくる。
笹の切れ目に姿を現したコマドリは、たった3秒間立ち止まるとすぐに藪の中に姿を消した。
いつか、2年前の4月下旬にこの島に現われたというただのロビンも見てみたいものである。
ルリビタキ(Tarsiger cyanurus cyanurus) Red-flanked Bluetail
この雌タイプのルリビタキは結構疲労しているみたいで、私が側を通りかかっても我関せずといった様子でこちらを見もしない。
白い柵から地面だけをジッと見つめて、たまに地表に舞い降りてはぎこちなく、けれど確実に蟲を捕らえていた。よく見ると、左脚、第3趾の爪が欠損しているように見える。頑張って渡って欲しいものだ。
【2011/05/04/石川 Hegura Island,Japan/May.2011】
アカハラツバメ(Hirundo rustica saturata)&ツバメ(H.s.gutturalis) Barn Swallow
この日の定期船が島に着くと、2年前に同じこの島でお会いしたarumさんと2年ぶりの再会を果たすことが出来た。
積もる話に花を咲かせながら鳥を見て歩き、一人ぼっちだった私はすぐに楽しい気分になった。
島での昼食はいつも自分で持ち込んだビスケットかパンの私だが、この日に限ってはなんとarumさんが私の分まで昼ご飯を持ってきて下さった。
池の横にあるベンチに腰掛けてお昼を食べていると、2羽のハヤブサが鳴きなら上空を通過して行くのが見えた。
また、池の周囲には昨日まで居なかったツバメ達がとびまわっていて、その中に体下面が赤褐色味を帯びた数羽のアカハラツバメがいた。アカハラツバメといってもエジプトの亜種(H.r.savignii)などの方がずっと腹の赤みが強いから、こちらH.r.saturata はチャバラツバメなんて呼んだ方が相応しいのかもしれない。
シベリアアオジ(Emberiza spodocephala spodocephala) Black-faced Bunting
今春の島はシベリアアオジが本当に多くて、亜種アオジの方がずっと少なく感じた。さらにこの日は特にムジセッカも多くて、島のあちらこちらで少なくとも3羽は見ることになった。
島の中心部、僅かにある広葉樹林の横を通りかかると、「シシシシ.....」という尻上がりのヤブサメの声が聞こえた。それから、海岸沿いに点在する松林の中ではコルリの雄がだまって姿を見せた。
タイワンハクセキレイ(Motacilla alba ocularis) White Wagtail
2羽のタイワンハクセキレイは、亜種ハクセキレイに混ざって海岸を歩いていた。
この通称タヒバリ海岸には、なるほど名前の通りタヒバリがいる。海岸から望む沖にはガリガリに痩せたオナガガモの雌が浮かんでいたけれど、あまりにも痩せ細って見たことも無い形態を呈していたものだから困惑してしまった。
arumさんはこの日の第2便で帰られて、私は島に残った。しかし、次の日にarumさんからアカアシチョウゲンボウの雄成鳥を至近距離で見たという連絡を頂いた時には、この日の便で私も戻れば良かったと何度も後悔することになるのだった。
島嶼的な鳥と言えば最近、亜種シマハヤブサが東京都のレッドリストで絶滅判定された。そうは言っても私の生まれた頃には既に絶滅したかもしれないと言われていたわけだけれど、それでもやはりもうどうやっても見られないというのは何だか悔しい。
【2011/05/03/石川 Hegura Island,Japan/May.2011】
マミジロキビタキ(Ficedula zanthopygia) Yellow-rumped Flycatcher
イタドリに覆われた潅木地帯と笹薮地帯のちょうど境界を通る細い道は、両側の茂みに風が遮られて、ポカポカと暖かい。
そんな道を歩いていると、今度はなんとマミジロキビタキ雄の成鳥が姿を現した!
翼の先端まで綺麗に黒いこの成鳥は先程の個体よりも凛とした美しさを持っていて、見蕩れる私は何度溜息をついたかわからない。
この島の中央道路整備事業の一環でか、切り口の古さからしておそらく数年前に切断された木の枝の先端は、ちょうどこのマミジロキビタキのお気に入りの休息場所となった。
【2011/05/03/石川 Hegura Island,Japan/May.2011】