10月に見つけた野草の花
ハマベノギク(浜辺野菊)
Aster arenarius (Kitam.) Nemoto
キク科 シオン属
花 期 : 8~11月
生育地 : 海岸砂地、海岸草地
分 布 : 近畿~九州
RL指定 : なし
撮影 10月~11月 長崎県
以前、たびたびブログで謎の野菊として掲載していたもの
長崎県北部の海岸岩場に自生しており、頭花は大きく、茎は下部から分枝し、直立、無毛の野菊
最新の論文を拝見すると、どうやらハマベノギクではなく、ソナレノギクであるようです
以下、論文を参照して記述しました
ハマベノギクは九州北部から近畿の日本海側に分布するシオン属の植物である
筒状花と舌状花の冠毛の長さが異なる事で、独立のハマベノギク属とする意見もあったが、分子系統解析の結果否定された
基本形態は、茎が基部から放射状に分枝して地表を匍匐し、ほぼ無毛
岩場に生育するものの中には、直立し有毛のものがみられるが、ソナレノギクやヤマジノギクとの遺伝的な差異は認められなかった
長崎県北部の海岸草地で匍匐するハマベノギク
ヤマジノギク、ハマベノギク、ソナレノギクの識別点として、頭花の大きさや葉の形が述べられることが多いが、形態分析の結果、それらは変異幅が大きく、明確な識別点とはならい事が分かっている
有用識別点は
①ハマベノギクは海岸に生育し、明瞭な主軸を欠く匍匐型で無毛
②ソナレノギクとヤマジノギクは生育環境および最下枝の分枝位置の違いによっておおよその区別が可能だが、毛の密度は変異幅が大きく識別形質としては不適切
海岸匍匐型の集団は、他の類似海岸集団と遺伝的差異が認められたことで、海岸岩場に生育する直立型のものは、ソナレノギクと分類するのが妥当なのだろう
長崎県北部の海岸草地で匍匐するハマベノギク
参考資料
海岸生シオン属ハマベノギク群の形態および遺伝的解析
山﨑皆実・中川さやか・副島顕子・藤井紀行
初版 2015年10月16日
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