なにげなく論文を読んでいるとキバナウスキムヨウランに関する知見を得た
そういえば、以前黄味の強いウスキムヨウランを撮影した覚えがあるので、過去の撮影画像を調べてみた
写真ではいまいちわかりずらいが、鮮やかな黄色い花であった記憶がある
2015年に長崎県で撮影したものだが、ウスキムヨウランが大量に自生していた場所で、その中に唇弁の毛に紫色がなく、花の黄味が強い個体が紛れていたのだ
下図の右の個体は、その自生地で撮影したウスキムヨウラン
下図は、論文に添付されていた画像で、左がキバナウスキムヨウランで右がウスキムヨウラン
(画像の無断転用をお許しください)
キバナウスキムヨウランとウスキムヨウランは、鮮やかな黄色の唇弁で区別できるとの事
しかし、画像を見る限り、鮮やかな黄色とはいいがたいような・・・
キバナウスキムヨウランは、花だけではなく、茎も黄色いとの事だが、当時キバナウスキムヨウランの事など知らなかったので、花以外撮影していない
私が撮影した個体の花柄子房が暗茶色である事は気になるのだが、論文の画像においても同様に見える
さてさて、これはキバナウスキムヨウランなのだろうか?
唇弁の毛に紫色が混じらず、花が鮮やかな黄色だということで、期待も込めてキバナウスキムヨウランとして整理する事にしよう
とは言え論文には、「キバナウスキムヨウランは、高知県高知市で1987年に発見され、その後1999年に2株発見されて以降タイプ産地でも発見されておらず、今回発見された産地(和歌山県新宮市)が現在確認されている現存する産地としては唯一のものである」との記載があり、そのようなものが長崎県に自生しているものなのか大いに疑問である
余談だが、以前ylistには、Lecanorchis kiusianaの標準的和名として、ウスギムヨウランが記載してあったと記憶していたが、現在は、ウスキムヨウランとなっており、ウスギムヨウランはシノニムとなっている
参考までに、論文に記載されていた Lecanorchis の分子系統解析をもとに、わかりやすく系統概念図を作成したみたので以下に示す
この系統図から、ウスキムヨウランとエンシュウムヨウランは姉妹群で、密接な関係がある事が読み取れる
私が過去撮影したムヨウラン類の画像の中にホクリクムヨウランではないかと思われるものがあると、専門家の方に指摘された事も気になっているので、そのうち自生地に赴き調べてみたいと思っている
参考論文
New record of the mycoheterotrophic orchid Lecanorchis kiusiana forma lutea outside the type locality
Kenji Suetsugu