to Heart

~その時がくるまでのひとりごと

あの空をおぼえてる

2008-05-02 16:26:18 | the cinema (ア行)
いつか、心が壊れても
製作年度 2008年
上映時間 115分
原作 ジャネット・リー・ケアリー
脚本 山田耕大
監督 冨樫森
音楽 中野雄太
出演 竹野内豊/水野美紀/広田亮平/吉田里琴/小池栄子/中嶋朋子/小日向文世

地方都市で写真館を営む雅仁(竹野内豊)は妻(水野美紀)と小学生の息子(広田亮平)、幼稚園に通う娘(吉田里琴)と幸せに暮らしていた。だがある日、子どもたちが交通事故に遭い、息子は無事生還するが、娘は亡くなってしまう。雅仁は娘を守れなかったことで自分を責め、生き残った息子は何とかして両親をなぐさめようとする。(シネマトゥデイ)

TVでは毎日のように痛ましい事故のニュースが流れて、
自分が親になってからはそれらのニュースを聞く度に、亡くなった人を思うより早く
残された人の方に思いがいってしまっていた・・・
堀に落ちた弟を助けようとして、自分も命を落としてしまったお姉ちゃん―
火事で一人だけ生き残ってしまった少年―
溺れた自分を助けた父が亡くなってしまった事故もあった、、、

どの場合も、残された方は、その原因が自分にあると責めたり
こうしていれば―とか、こうしなければ―との想いでいっぱいになるのではないかと察せられる。
あの時―、もし自分が・・・

その時、夫婦は「何故?」といった。。。
そして喪失感を抱えて、現実を受け入れられず、目を閉じていた。

ああ、、、ひとはこうして人を傷つけ
子供を"孤独"にしていくんだ・・・
オトナであると言う自負が、時として子供に、おとなにはまねの出来ない優しさを引き出し、
それを見過ごす事で、更に深く傷つけてしまう。
幼いこどもは、親を喜ばせる為に存在しているというのに・・・

しかしながら、最愛の娘の死という突然の悲劇に襲われた親の立場に立ってみれば
何を持ってしてもその孔を埋めることが出来ない、やっと息をしている、
やっと生きているのも理解できる。
親だってそんなに強くはない。。

いつも笑顔を振りまいていて、家族のマスコット的存在だった妹の死―
それはいつも一緒だった兄に、とても大きな荷物を背負わせる・・・

今年になって再放送されていた「星の金貨」では、一番セリフが多かったように思う竹野内くん。
本作でほとんどセリフはありません。
全身で悲しみや怒り、喪失感を表現しています。
子役の広田亮平くんの、心もとない、優しい表情がとても良かったです

私の前にはご夫婦が高校生の2人のお子さんを連れて、横には男同士の若者、
更に左隣に中年のカップル。比較的若い方が多かったようですが、
席は70%ほど埋まっていたでしょうか、誰一人エンドロールが終っても席を立たず、
平井堅の「いつか離れる日が来ても」が終っても、、
皆、明るくなるのを待って退場していきました。

今では憎らしい我が家の子供も、嘗てはこの少年のように
親を喜ばせるだけに生きていたんですよね・・・ハイハイして、歩き、、言葉を覚え、、
先に心の目が曇ってしまうのは、いつも親の方なのかも
涙ですっかり心が洗われ、優しい気持ちで帰宅しました