to Heart

~その時がくるまでのひとりごと

あるスキャンダルの覚え書き

2008-05-07 23:32:59 | the cinema (ア行)
彼女の恋の相手は15歳だった
原題: NOTES ON A SCANDAL
製作年度: 2006年
上映時間: 92分
原作 ゾーイ・ヘラー
脚本 パトリック・マーバー
監督 リチャード・エアー
音楽 フィリップ・グラス
出演 ジュディ・デンチ/ ケイト・ブランシェット/ビル・ナイ/アンドリュー・シンプソン

アメリカで実際に起こった女教師の事件を基に作られた小説を、『アイリス』のリチャード・エアーが映像化。

ロンドン郊外の中学校で歴史を教える初老のバーバラ(ジュディ・デンチ)は、若く美しい新任の美術教師シーバ(ケイト・ブランシェット)に興味を抱く。家族も親しい友人もおらず、飼っている猫だけが心のよりどころだったバーバラは、シーバとの友情に固執するようになる。しかし、ある日、シーバの秘密を知り……。(シネマトゥデイ)

なぜかこのところ、ケイトの作品をたて続けに観てしまった。
まだ記事にしていない観賞済みDVDの中に多分後2本はある。
避けていたわけじゃないが、観てなかったのね....
ということでこの作品、ウワサ通り怖かったです。
「ゆりかごを揺らす手」とはまた違うんだけど、
孤独な女を安易に家に招いた事から起こる執拗さ―というところで思い浮かべてしまった。

孤独な老女教師バーバラが、同僚教師に度を越した友情を求め、
相手の好意を自分の都合のいいように解釈・・・そう!まさにストーカーの論理。
しかし彼女のターゲットとなる美しい獲物にも
無防備で、隙がありすぎたと言えよう。

バーバラは勝手に、不思議な魅力のあるシーバを自分にふさわしい友情の相手と決め付け、
観察し、執拗につきまとう。
そして、シーバの隠し事を裏切りと感じ、それからは支配に転じる。
ジュディ・デンチが上手すぎて怖い、、

対するシーバはバーバラを始め複数の教師や生徒から、良くも悪くも簡単に接近できる
どこかひ弱で崩れたところがあり、隙だらけの女性。
どうやら彼女の教師としての社会復帰も、およそプロ意識とはかけ離れたところにあったらしい。
触れなば堕ちん風情を大柄なケイトが、儚げに可愛く演じている。

誰からも振り向かれなかった孤独な女の思う友情―、
それがどんなのものか想像すらしなかった自分の都合のいい時だけの友情でありたかったシーバ。

眼光鋭く、狙った獲物に近づく鷲のようなバーバラ
しかし、シーバは全てに対して甘かった。。。
シーバもまた孤独で、ちゃんと現実と大人と向き合えない女だったのかも

一見普通の二人の大人の女。しかし・・その本質がむき出しになった時
日常に潜む危険な落とし穴を感じさせる、見応えある心理サスペンス。
ラストには思わず笑ってしまうが、、、気をつけましょう

小柄なジュディ・デンチが大鷲にみえるし(爆)
大柄なケイト・ブランシェットが華奢でか弱く見える・・・なんとも凄い二人の女優対決は見事です