一日一生 内村鑑三著より
メソジスト派ジョン・ウェスレー死する前の、彼、友人にむかい、
数回繰りかえしていわく「何よりも善きことは、神、われらと共にいますことなり」と。
神は万物の霊たる人間の有するものの中にてもっとも善なる、もっとも貴きものなり。
神は財産にまさり、身体の健康にまり、妻子にまさりたるわが所有物なり。
富は盗まるる恐れと、浪費さるるの心配あり。国も教会も友人もわれをすてん。
事業はわれを高ぶらしめ、肉体もまたわれはこれを失わざるをえず。
されども永遠に至るまで、われの所有しうべきは神なり。
人の尊貴(とうとき)は、彼はいとも高き神より以下のものをもって満足するあたわざるによるなり。