僧安珍を慕う清姫が約束を違えた安珍を恨み、彼が隠れ潜んだ道成寺の鐘に巻き付き焼き殺す。
この鐘を供養する最中に再び清姫の亡霊が現れ、恨みをかき口説くという能の「道成寺」を日本舞踊に置き換えた演目です。
清姫の怨念よりも娘として安珍を恋い慕う気持ちを様々な小道具を使って時にはしっとりと、時には激しく舞い踊りつつも恨みの暗い情念も垣間見せて、、、
女性の感情のほとんどが網羅されていると言われる演目で、まさに女形舞踊の集大成と言っても過言ではありません。
名披露目 西川はつ穂
入門すると直ぐに日本舞踊に魅了され、才能と容姿に恵まれ、ご両親の強力なバックアップもあり、3年で苗字内に、名披露目は王道の道成寺と決まり、その人望とタイミングの良さで所化も10人出演してくれることになり、お稽古もどんどん進んで、とここまで絵に描いたように順調でした。
が、そうは問屋が卸さない、何と6月から京都に転勤!あたふたする師匠に「新幹線で通います!」との力強い宣言に安堵も束の間、仕事の大事な日と当日が重なり(コロナでスケジュールが変った為)休めないかも?と半泣きで電話してきました。
お稽古場の皆で「何としても上司にお願いするのよ!」と必死に応援しました。
「何ならおばあ様を危篤にして休み、当日済んだら出勤してお蔭様で持ち直しました、と言えばいいんです。私やったことあります。」なんてツワモノのアドバイスまで出る始末。
そして、願いは通じ、理解ある上司のOKが出て、出演が叶いました!
ご当人は、当日ハプニングもあり、もっとお稽古を詰めて、万全で臨みたかったと悔しそうでしたが、師匠としてはこのレベルまでできれば、西川の許し物、道成寺をきちんと踊れたと思います。