「第二回鯉男会」初演のこの曲は、西川鯉男の手で送り出された新作の中でもひときわ輝きを放つ人気の演目です。
藤舎呂船氏作調の小気味よい鼓が響く中、立ち現れるのはこの世の春を一身に体現した若衆一人。
槍を手に四季を愛で踊るその姿は美しい一幅の絵そのもの。
どこまでも爽やかにすっきりとした舞台面には、緑の風が吹き渡るようです。
西川はつ文 名披露目
未だ20代の創作意欲に燃える父鯉男が「立ち役で引き抜きをしたい」と祖父の小島二朔に作詞を
後に人間国宝となる清元榮三郎氏に作曲を、鼓の師である先々代の藤舎呂船師に作調をお願いしてできた演目です。
美人で様子の良い、すっきりとした立ち役好きのはつ文さんの名披露目にピッタリとこの演目を推薦しました。
すると二枚扇や槍の激しい踊りより、何でもないように見える春の長閑な若衆らしい所の色気に苦心する事になったのです。
よくお稽古しましたね、そして見事、踊り分けて、師匠の目論見通り、とても綺麗な若衆でした。
「もっと踊りが上手くなりたい!今回の舞台で強く思うようになりました」そんなはつ文さんの今後が楽しみです。