小嶋つうしん(号外)

(元)大分県議会議員 小嶋秀行の徒然ブログ

くらしにあんしん

2008年05月10日 | 社会
 最近、「暮らしに安心」と書かれた政党のポスターを見かけるようになりました。総理大臣の顔も入っているA1版のポスターです。「お父さん!同じ様なことを書いたポスターがあるよ」と、妻から知らされました。

 もちろん、他のスローガンを書いているものもありますが、この「暮らしに安心」というキャッチコピーは、私が、12年前に市議会議員選挙に立候補する際、「街にぬくもり、くらしに安心」というテーマを掲げて選挙を戦い、以後も名刺などにも刷り込み、文字通り、“日々の暮らしに安心感が持てる政治”を目指して掲げ続けてきたものです。

 これが皮肉にも、政権政党党首のポスターに標語として使うとは、“誠に光栄の至り”。私の活動テーマに、あらためて確信?を抱いています。

 ところで、私がどういう理由で「街にぬくもり、くらしに安心」というテーマで活動してきたのか、それには幾つかの側面があります。一番大きいのは福祉の側面ですね。次に環境です。そして、教育です。
 
 例えば、この4月に後期高齢者医療制度が発足しました。小泉政権時代に、聖域無き構造改革の一環として政府提案され、民主党を中心とする野党の疑問・質問に対し、しっかり答えることなく「強行採決」した代物です。

 今にして思えば、当時民主党を中心に野党が出している様々な疑問・質問に答えていたら、その時点では大変な物議を醸し、マスコミでも大きく取り挙げられていたのかも知れません。また、今日こんなに問題視されることは無かったと思います。

 また、対象となる75歳以上の高齢者に内容周知もある程度行き届いていたのかもしれません。(論議の程度によっては、もしかして、強行採決の前に廃案になっていたかもしれませんが)

 一方、これを後継政権である福田内閣が引き継いだわけですが、福田総理自身がその問題性を捉えて、こともあろうか発足当初に、「後期高齢者医療制度」現を「長寿医療制度」と急きょ命名し直すというお粗末をやってしまいました。
 
 私は、「暮らしに安心」とポスターにして掲げた政府が、自ら「高齢者・・・は間違っていました」と宣言したに等しい営みとその内容に、あらためて憤りを覚えますし、少なくともこんなお粗末を大分市政でやってはならないと思うからです。つまり、充分な論議を行うことに力を入れるべきだと考えています。

 現在、私も勉強(研究)中ですが、この後期高齢者医療制度を突き詰めてみると、75歳以上の高齢者に「かかりつけ医」制度を導入することにより、対象者への普段の医療を充実するものと言われています。が、その実態は、多くの自治体で従来の老人医療制度で措置されていた「人間ドック」の費用を助成しないようにしています。これは正に、受診抑制を目的とした制度設計が行われているとしか言いようがありません。

 これで、「暮らしに安心」と言えません。一事が万事、国の政治では、官僚が作った法律案を何の疑いも無く「強行採決」するような営みが続いていますが、これを一時も早く改善しなければならないと思います。

 この制度が発足する前に、市民から相談をうけました。『84歳になる、私の義姉のことですが、今入院している病院から、3月31日以降は退院して下さいと言われています。認知症も少しあり、退院後、一人暮らしをさせられる事情にありません。どこか預かってもらえる老人ホームなどに入所できないでしょうか。方々訪ねてきましたが、引き受けてくれるところがありません。どうにかなりませんか』というものでした。

 この背景には、こうした症例の場合、入院させている側の病院として、新たな制度変更でどのような扱いをすればよいか判断できず、長く(社会的)入院している患者には、退院を通告する以外になかったようです。

 私に相談された方(義理の妹・70歳代後半の女性)は、本当に途方に暮れていました。今年に入り、引き受け先を探して方々を訪ねてまわった事が原因で、当の本人も入院するという悲惨な状況まで追い込まれてしまい、次善の策として義姉の入院先の病院に、引き受けてくれる施設が見つかるまで、引き続き入院させてもらえるようお願いせざるを得なかったと言われていました。

 今回の後期高齢者医療制度への変更で、こんな状況に追い込まれた高齢者がたくさんいると思います。だから、私は、政府・自民党のように耳障りのいい言葉や、実態の伴わない単なる標語やスローガンなどは語らずに、真に「くらしにあんしん」をめざして、引き続き活動しなければならないと考えています。