小嶋つうしん(号外)

(元)大分県議会議員 小嶋秀行の徒然ブログ

防災は日頃の備えから・・・

2011年05月02日 | 社会
 3月11日の東日本大震災以降、新聞各紙はもとより、マスコミ各社の報道に災害対策関係の記事が連日掲載されています。特に、東京電力の福島原子力発電に関連しても多くの記事があります。

 先日、政府の原子力被害の考え方が「場当たり的」と、内閣府参与に任命されていた大学院教授が辞任したという記事も、掲載されていました。未曾有の災害だけに、いろんな方がいろんな立場で活動されていることで、行き違いも多くあることでしょう。

 しかし、こういう原発の問題は、とにかく一元的な対応をお願いしない限り、一般国民には何が何か分かりませんから、政府の対応と専門家の東電の方々の発表に頼るしかありません。もし誤報があるとするならば、早く正しい報道をしてほしいと思います。

 原子力関係は、詳しい方が少ないでしょうが、以前、原発の事故が発生した折、各関係団体に対する説明と称して、電力企業の労働組合の責任者が、説明に来訪された事がありました。その際、「原発は、基本的に電力会社の責任だが、国としての政策責任も大」と・・・。

 一国の責任者である菅総理の対応に批判が集中している昨今ですが、国会審議の中で、同じ民主党内から対応に対する批判が出るのは、頂けない事だと思いました。ならば、言う方も党内で意見を進言する手法を検討すべきでしょうに。なんと情けない限り。

 原子力関係については、これくらいにし、本題の今回の選挙で、災害対策について課題に挙げ取り組みました。主張した点の一つは、地域のコミュニティーを再活性化する事。二つは、防災士など防災の担い手育成、三つ目は、自主防災組織の設置と充実です。

 なぜ、防災に「地域コミュニティーの活性化」が必要か。それは、地域の底力が必要だからです。地震が発生し、大分市の場合などは海岸に面している地域が広範囲ですから、地域でも互助体制が無ければ助かる住民も助かりません。

 日頃から、なにがしかの交流事業を行いながら、地域で顔見知りを作ることや、いざとなったら互いに助けあう「絆」づくりを行う事に大きな意義があると感じています。最近は、「向こう三軒両隣」とも顔見知りでない地域がとても増えていますから。

 二点目の「防災士」など「防災リーダー」を一人でも多く自治会の中に育成しておくことが必要です。防災士は、災害に関する専門的な知識を常に持ち続けている人で、言ってみれば、いざとなった時の非難の仕方や逃げ道などを熟知している方です。

 こういう防災リーダーが自治会のなかで丁目毎に複数人いると、高齢者など「要援護者」の把握も常に出来ていますから、いざという時に大活躍するばかりか、次に掲げる三点目の「自主防災組織」のリーダー役としても重要な任務を担う事になります。

 そこで三点目の「自主防災組織」の設置と充実ですが、自治会の役員がその中心を担うのは当然の事として、前述したとおり「防災士」が複数人いれば、こういう方々で自主防災組織を常に動かしていくことが重要だと考えています。

 動かしておくという意味は、たとえは誠に妥当な例えではありませんが、昔戦時中に自治会の方々が先頭になって、地域で竹槍などでの「戦闘訓練」が日々行われていた光景をテレビや映画で見た事があると思います。実際に経験した方もあると思いますが・・・。

 このような「戦闘訓練」のように、日々、防災の為の訓練を行う必要性は毛頭ありませんが、自主防災組織は、意外と出来てからそのままの状態で、地域の住民を対象に、何ら会議も訓練も研修もやっていない事が多いのが傾向ではないかと思うのです。

 ですから、せめて半年に一度か、三カ月に一度、願わくは月に一度程度、何らかの会議や研修、訓練などが常時行われていれば、住民の危機管理意識というものが常に働くという事になりはしないでしょうか。意外と住民の防災関係の意識は高くありませんから。

 今回の東日本大震災の折でも、小学校と中学校では日頃避難訓練をしていたおかげで、ほぼ全員が難を逃れたばかりでなく、ある一人の中学生の機転が利いて、「もっと高いところに避難しよう」と小学生を連れて逃げたことで助かったという記事を見ました。

 つまり、そういう状態を各自治会で其々の自治会や町内会のおかれた地理条件、物理的ななどに応じて、常に準備しておくということの重要性が今回の東日本大震災の教訓の一つとも言えるのだと思います。

 一方、今回の大震災で、東日本の特に被災し被害の大きい地域で、日頃も地震が多く、その都度津波の警戒情報や避難勧告が発令されており、結果的にそれ程大きな被害が無かった事で、今回も大したことはないだろうと考えた住民もいたのではないかと思われます。

 それも犠牲者を多くした原因ではないかとの記事もありましたが、30年間1200億円かけて建設した防潮堤が、一瞬にして津波に飲み込まれ破壊したとの記事も見ました。しかし、この防潮堤で、津波の高さを4メートルも防いだとも書かれていました。

 こうした例の様に、これまで、防災対策としては、公共事業の内ハード事業で防波堤や防潮堤、護岸工事などが主流で行われてきましたが、ハードの建設だけでは限界があることも、今回はっきりした事だと思います。

 その意味では、ソフト事業をこれまで以上に充実する事が大切なのではないかと考え、今回の県議会議員選挙で、9日間毎日主な場所数ヶ所で訴えてきました。地方自治体も、防災計画見直しを進めるでしょうが、是非、前述の3項目は重要視して欲しいものです。

 また、もう一つの提案は、大分市のように、海に面した地域が多い自治体は、職員を復興応援団として長期・短期に派遣する「協力隊」を編成してはどうかと考えます。すでに、国会予算委員会などでも論議が行われているようでもありますが、如何でしょうか。

 その心は、自らの自治体と類似する被災自治体地域で、瓦礫の片づけや復興事業に職員自ら携わり、そこで実体験、実際の現場を経験することで、所属する自治体の防災対策の見直しが必要なのかを体で感じて帰ることができると思います。

 既に、被災した方々へのケアを行う事や、飲料水の補給などに各自治体とも職員の短期派遣などは行ってきましたが、述べたとおり海に面した自治体は、今回の大震災が他人事でないとするならば、検討に値すると思います。

 もちろん、自治体としてこうした行動計画を執る事が決まれば、派遣職員の募集は、手挙げ方式で、自ら進んで取り組んでみようという気概を持った者でなければ、長期の支援作業では根を挙げてしまいます。

 特に九州の西側・太平洋側の自治体は、東海、東南海、南海、加えて大分市場合、日向灘沖地震が統計上では約40年以内に、しかも最悪の場合この四つが連動して発生する事すら想定されていますから、各自治体防災計画の見直しは、「想定外」では済ませません。

 備えが常に取り組まれておれば、いうならば、『日頃の人の営みで被災者を限りなく「ゼロ」に近づける事が出来る』と確信します。その為には、それぞれの自治体のそして自治会町内会の地理的条件や物理的条件などを常々研究検討することが求められています。

 そうした観点から、①地域コミュニティーの再生、②防災リーダーの多数の育成、③自主防災組織の設立と活動強化が問われています。もちろんこれだけでは十分ではありませんが、まずこれを取り組む事から手掛けられることを、心から期待しています。

 こうした事業を側面的に支援するため、議会の中でとりわけ大分県内の実情をつぶさに研究しながら具体的な対策や方策を提案型で協議していきたいと思いますし、実際の地域を回わりながら何がどのように必要か、一つひとつはっきりさせられたらと考えています。