代替わりで新たにブログ係を買って出た悩々亭栞似(のうのうてい けいじ)です。
高座名が初手で読めないと評判で自分の努力で名前を売っていくしかなさそうなので今こうして文字を考えているわけです。
さて、今回のブログは四月に行われた新入生歓迎寄席、縮めて新歓寄席のレポートです。
レポートと聞くと大学生の自分としては明後日提出期限に迫っているソレを思い出してしまいますが……。
時は令和四年。何年かぶりに対面での開催となった新入生歓迎期間。
我々には抜き差しならぬ事情があった……。
そう、三年生がいないのである……!
コロナ禍真っ只中の影響をもろに受け、アクティブ部員なんと六人。
新入部員が入らないことでサークルの存続が危ぶまれるのはどのサークルも同じではあるが、人がいないことで活動の幅が減ってしまうのもこれまた事実。
実際に新歓期間はチラシ配りと看板で二人、サークルブースで二人、下座体験に二人とギリギリであり、一人休憩をとると一つの部隊が活動休止。新歓寄席のための稽古をし始めればこれまた回らないものが出てくる。ついでにそんな具合でございますから新人確保は何よりも火急の課題でありました。
これを鑑み全日程で勧誘活動をして「まず新歓寄席に来てもらって落語すげえな、やってみてえなと思ってもらう」、そこを目標に据えました。
結果
狭いミーティングルームではあるものの立ち見が出るほどの人入りで前日までの「人が来なかったらどうしよう」という不安は無用だったようです。
何だったらもっと広い場所でやれば皆さんに座ってみてもらえたのではと思う始末。
いやー、自分は会長に「もっと広いところを借りてやろう」とあらかじめ言ってあったんだけどな~。
もっと落語という文化を信用してほしいものです。
以下、出演者です。
・悩々亭栞似『寄合酒』 (開口一番)
自分の高座を自分で評価することはあまり気の進むものではありませんが控えめに言ってここ十年で最高の出来でした。ボジョレヌーボーみたいなものですね。
冗談は縦置き。
新たに覚えたネタだったので緊張もありつつ、課題だった登場人物の演じ分けは上手くできたのではという印象でした。
この後同じネタを別の場所でかけたのですがそれはまた別の話。
・宇田川狂鶏 『鮫講釈』
渋い雰囲気を纏って登場したその同期は扇子を張扇に見立て決死の一席を演じて見せた。
鬼気迫るように放たれる言葉の数々に自分の膝を講釈台と同じように扱ってパンパンと叩くその音が共鳴し聞く人の心を掴むようでした。
本人に聞けば憧れられるようなインパクトを残しつつ初めて見る人にもわかりやすいよう気を付けたと語っており、その通り終演後の評判は高くこののちに高座に上がる二名に大きなプレッシャーを与えていました。
・恋憩庵五光 『松山鏡』
今回の出演者では紅一点。現役女子部員の中で一二を争う実力者。そんな評価にもかかわらず開演前は一番怯える本人。そんな姿を見た周囲の心配をあざ笑うかのように孝行息子とその嫁、尼、代官とを自分に憑依させお手本のような一席でした。
それもそのはず。稽古主任である彼女は今後も同期含め後輩たちの一番のお手本であってくれることでしょう。(ここでこう記しておくことでプレッシャーをかける意味合いもありつつ……)
・けさ卵庵ぱさらん 『粗忽の釘』
トリを務めるは当会の会長であるけさ卵庵ぱさらん。会長とはいうものの抜けているところが多く普段は「形だけの会長」、「責任だけ負う男」と散々な扱いですが高座に上がればそんなイメージとは裏腹に妙に落ち着いた語り口調で間抜けな男を演じて見せました。あまりに自然な演技から現実と勘違いした人がいるとかいないとか。
こうして幕を閉じた新歓寄席。
満員だったこの会ですが果たしてその中の何人が本入会してくれるのか。
その答えは新人顔見せで明かされる。
次回、入った入った新入部員!!!