我々の農作業に於いては、基本線として資材の現地調達を指針の一つとしている。使えるものは極力活用しようとの精神だ。本音を語ると貧乏性の性に行き着くのかも知れない。まあ、そこらはボカしておきましょう。主たる資材の一つが竹である。農作業に於いては各種の構築が必須であり、竹は貴重な資材なのだ。主な用途は竹棚の構築や添え木の作成或いは害獣防止など。無論、使い捨てでは無く可能な限り寿命を全うさせている。つまり数年は使い回しだ。
この竹、再生産が可能で、要は毎年成長してくれるので重宝している。1年で数メートも伸び成長の早いのが特徴でもある。肥培管理は不用で、程よく伐採してあげれば見事な資材庫ともなってくれるのだ。但し、水分の吸収も激しいので伐採のタイミングは見極めが必要だろう。最も最適なのが冬場、いわゆる樹木の休眠期だ。成長が止まり水分の吸収も中止している。用途によっては11月限定で竹の伐採を行う事例もあるとか無いとか。
諸々の伝承を引き継ぎ、我々も冬場のこの時期に切り出すようにしている。幸い、農作業も農閑期でスケジュール的にも有り難い。切り出した竹は数年間活用できるので、切り出しも毎年実施する訳でも無いが、今年は多少の必要性がありそうだ。切り出し中の仲間達の姿を幾つかご紹介しておきましょう。用具は専ら目の細かいノコギリだ。ノコと鉈を準備すれば大半の加工は可能だ。専用の竹割器も存在するが入手は困難だろう。
画像はお二人にモデルとなって貰ったが、上段が百姓候補生氏、下段が大御所氏である。用途を尋ねると、百姓候補生氏はマメ科の栽培に使う支柱用だとか。反して大御所氏はハヤトウリの竹棚の再構成のようだ。
竹の特質は再生産が早く各種の手助けが不用なこと。そして程よく伐採する方が竹林の管理には好都合という特徴も存在する。竹林が密植状態となれば害獣の住処と化し、場合によってはヤブ蚊の発生をも招きかねない。近隣で無管理の竹林を目にされる事例もあるかと思うが、進入不可能でしょう。京都のタケノコ産地では、傘をさして歩ける程度、が基本線だとか。そこまでは無理としても普通に歩ける程度の間隔は必要でしょう。
竹林管理と農用資材の確保を兼ねて、冬場の切り出しは続いていく。他の仲間達もそれぞれ需要に応じて作業に勤しむのだろう。間もなくジャガイモ栽培への取り組みも始まる。作業できるのも今の間かも。