僕の順番(1)

2016-10-26 21:34:27 | 童話
僕は今、海の中の水になっています。
小さな波や大きな波となって、ゆ~らゆら、ゆ~らゆら、と上下しています。
そして、すぐ近くを船が進んで行くと、大きな波がザブ~ンと来て、僕は大きく飛び上がり、ドスンと落ちます。

海の中にはたくさんのお魚がいて、みんなで楽しそうに泳いでいます。
だけれど、ヒトデは泳げないので、海底をゆっくり、ゆっくりと歩いています。

僕は海岸に来て、砂浜に向って、ザブーン、ザブーン、と進みました。
小さな子供の右足をザブーン、今度は左足をザブーン、そして、お尻をザブーン。

ずっと暖かい場所に居たので、僕は蒸発して、小さな、小さな水の粒の水蒸気になったのです。
そして、空気と一緒に、どんどんと高い空に上がって行きました。
そして、みんなで手をつないで大きな雲になりました。

高い空を、ゆっくり、ゆっくりと、風に押されて流れて行きます。
『ここからは、家や森や山がよく見えるなあ。あそこの道路は自動車がいっぱい走っている。さっきまで居た海もよく見えるなあ。』
そして、僕はどんどんと空の高い所に上がって行きました。
『あっ、寒くなってきた。高い空は寒いんだね。』

僕達は寒いので、みんなでくっ付きました。
『あっ、下へ下り始めた。』
僕は空から降ってくる雨になったのです。
たくさんの友達と一緒に降っています。

いつもは小さい粒で下に下りて行きますが、台風の時や夕立の時は、たくさんの友達と手をつないで大きな粒となって一緒に降ってくるので、ザーザーと大きな音がします。
大きな木の葉っぱにザーザーザー、大きな木の下の小さな木の葉っぱにポツポツポツ。

机の気持ち(2)

2016-10-25 21:22:16 | 童話
『その赤くて丸い星はな~に?』
『これは火星だよ。絵本に書いていたけれど、僕達人間が地球から火星へ行って、火星に住むんだって。』
『ふぅ~ん、すごいんだね。』
『僕が大きくなったら火星に行けるかなあ?』
『行けるといいね。』
『僕が火星へ行く時は、机さんも連れて行ってあげるよ。』
『ありがとう、うれしいなあ。それまで壊れないようにしているからね。』
『ロケットが火星に着くまで僕は机さんと一緒に居てあげるからね。』
『そうするとさみしくないね。』
『そうだね、僕と一緒だからね。』

『その輪がある星はな~に?』
『これは土星だよ。きれいな星だよね。』

『その真っ赤な星は何なの?』
『太陽だよ。太陽が出ている時は明るいけれど、雲があって太陽が見えないと暗いよね。』
『太陽は朝に東から出て、夜になると西に沈むよね。太陽がグルグル周っているんだね。』
『違うよ、太陽が地球を周っているのではなくて、地球が太陽の周りを周っているんだよ。』
『ふぅ~ん、そうなんだ。』

『僕が火星へ行く時に一緒にいろいろな星を見ようね。』
『うん、それまで楽しみにしているからね。』
『今日は、これからお母さんと出かけるから、また明日ね。バイバイ。』
『うん、また明日ね。バイバイ。』

  おしまい

机の気持ち(1)

2016-10-24 21:21:25 | 童話
机の気持ち(1)

僕はおうちに有るこの机が大好きです。
だから机に向うと机とお話しをします。
『机さん、こんにちは。』
『やあ、また来てくれたね。待っていたよ。』
『机さんは僕が来るとうれしい?』
『うん、すごくうれしいなあ。』
『どれくらいうれしいの?』
『いっぱいうれしいなあ。』
『そう、僕と同じだね。』
『そうだね。』

『今日は、机さんの上で絵本を見ようかな、絵を描こうかな?』
『君は絵を描くのが上手だから、今日も絵を描いてほしいなあ。』
『うん、いいよ。何の絵にしようかな?』
『昨日、君が動物園で見てきたライオンやキリンやペンギンでもいいし、ずっと前に水族館で見てきた魚やイルカでもいいよ。』
『ライオンやイルカは、描いたばかりだから今日はお星様を描くよ。』
『君がお星様を描くのは初めてだね。』
『そうだね、うまく描けるかなあ。。』
『君は絵がうまいから大丈夫だよ。』
『そうだね、描いてみるね。』

『その丸くてきれい星はな~に?』
『地球だよ。絵本で見たことがあるんだ。』
『ふぅ~ん、地球ってそんなきれいな色をしているんだ。』
『そうだよ、海が青くて、森が緑色で、雲が白いんだよ。』
『そのピーナッツみたいな星は何なの?』
『この星はハヤブサが行ったイトカワだよ。僕ね、お父さんと一緒に映画を観たんだよ。何年もかかってハヤブサがイトカワへ行って、そして、何年もかかって地球に帰って来たんだよ。えらいよね。』

ブランコの気持ち

2016-10-23 09:19:13 | 童話
僕はブランコが大好きです。
だからブランコに乗ると、ブランコとお話しをします。
『ブランコさん、こんにちは。』
『やあ、また乗ってくれたね。ずっと待っていたんだよ。』
『ブランコさんは僕が乗るとうれしい?』
『ああ、すごくうれしいよ。』
『どれくらいうれしいの?』
『いっぱいうれしいよ。』
『そう、僕と同じだね。』
『そうだね。』

『今日は一人だけれど、明日は友達と来るよ。』
『そうかい、今日もうれしいけれど、友達と一緒に来てくれると、もっともっとうれしいなあ。』
『ブランコさんは、いつからこの公園に有るの?』
『この公園ができた時から有るんだよ。』
『雨が降る時や、風が強い時もずっとここに居てさみしくないの?』
『夜はだれも居なくなってさみしいけれど、朝になると小さな子供を連れたお母さんや、大きな子供が来てくれるからさみしくないよ。それからね、この公園を管理している人が時々修理に来てくれるんだよ。』
『ブランコさんは修理しないといけないの?』
『そうなんだよ。雨が降ると座る所を吊っている金具が傷んでくるので、油を付けたり、交換してくれたりするんだよ。』
『ふぅ~ん、大変なんだね。』
『係の人がちゃんとやってくれているから、君達が安心してブランコに乗れるんだよ。』

『ねえ、ブランコさんはいつまでここに居ることができるの?』
『座る所の木を交換してくれたので、君が大きくなるまでここに居ることができるよ。』
『うれしいなあ。』
『私も君達にずっと乗ってもらえるからうれしいよ。』
『もう帰らないといけないから帰るね。明日は友達と一緒に来るからね。バイバイ。』
『ああ、明日も待っているからね。バイバイ。』
『うん、バイバ~イ。』
   おしまい

学校の気持ち

2016-10-22 09:11:31 | 童話
僕は学校へ行くのが大好きです。
そして、運動場でみんなと遊んだり、体育館でみんなと体操をしたりするのが楽しいです。
勉強はね、う~んとね、遊びの次ぎに好きかな。

『学校さん、おはようございます。』
『やあ、今日も元気に来たね、待っていたよ。』
『学校さんは僕が来てうれしい?』
『ああ、すごくうれしいよ。』
『どれくらいうれしいの?』
『いっぱいうれしいよ。』
『そう、僕と同じだね。』
『そうだね。』

『もう勉強が始まるよ。』
『今日はどんな勉強の時間があるの?』
『今日はいっぱい有るよ。一時間目は国語で、二時間目は算数で、あと理科と社会と、いっぱい有るよ。』

『そう、がんばってね。』
『うん、がんばるね。それからね、昨日から運動会の練習が始まったんだ。徒競走や組体操やダンスをやるんだよ。』
『うまくできるの?』
『まだ、うまくできないので、一生懸命練習をするんだ。』
『早くうまくできるようになるといいね。』
『うん、がんばっているから、うまくできるようになるよ。』
『そう、では一時間目の国語の時間に教室で会おうね。』
『うん、いいよ。バイバイ。』

『今日の国語の時間は、宮澤賢治の「雨にもめげず」を読み、グループごとに感想を言ってください。』
『みんな感想を言えてすごいね。』
『うん、みんなちゃんと勉強をしているからね。』

『次の二時間目は算数だね。算数は何を勉強しているの?』
『九九だよ。』
『九九は全部言えるの?』
『ううん。今覚えているところだよ。』
『早く覚えようね。』
『うん、がんばるよ。』

『理科はね、リトマス試験紙を使った実験をするんだって。それから、社会は日本地図の勉強をするよ。』
『そう、理科の実験は楽しいよね。全部の勉強が終ったらまたお話しをしようね。』
『うん、これから勉強が始まるからね。バイバイ。』
そして、勉強が終わったので帰る時間になりました。
『起立、礼。先生さようなら、みなさんさようなら。』
『今日の勉強が終ったね。』
『うん、これから帰って宿題をするんだ。』
『そう、また明日会おうね。バイバイ。』
『うん、学校さんさようなら。バイバイ。』

おしまい