飛行機の気持ち(2)

2016-10-21 21:23:00 | 童話
僕が公園に着くと友達が待っていました。
『やあ、早いね。待った?』
『ううん、僕もさっき来たんだよ。その絵本はな~に?』
『僕の大事な飛行機の絵本だけれど、公園の飛行機に乗りたいんだって。』
『絵本が言ったの?』
『そうだよ。僕はこの絵本といつもお話しをしているんだよ。』
『ふぅ~ん、そうなんだ。』

『絵本さん、公園の飛行機に乗るよ。』
『この飛行機は、僕の中に載っている飛行機より小さいんだね。』
『公園の飛行機さん、こんにちは。僕は大きな飛行機がいっぱい載っている絵本だよ。』
『うん、こんにちは。僕は昔、子供さんをたくさん遊覧飛行に連れて行ってあげたんだけれど、古くなったので、今はこの公園で子供達と遊んでいるんだ。』
『みんなと遊んでいて楽しい?』
『ああ、楽しいよ。』
『空を飛んでいる時と、こうして子供達と公園で遊んでいる時と、どっちが楽しいの?』
『う~ん、空を飛んでいる時は空を飛ぶのが楽しかったし、今はこの公園で子供達と遊んでいるのが楽しいよ。』

『さあ、みんなで飛行機に乗るよ。』
僕が『ぶ~ん。』
友達が『ぶ~ん。』
絵本が『ぶ~ん。』
そして、飛行機が『ぶ~ん。』

僕が、『わあ、楽しいなあ。』
友達が、『楽しいなあ。』
絵本が、『楽しいなあ。』
飛行機が、『楽しいなあ。』

   おしまい

飛行機の気持ち(1)

2016-10-20 21:43:46 | 童話
僕は飛行機が大好きです。
だから空港へ行くのが楽しみです。
だけれど、空港へ行けない時は飛行機の絵本を見ています。

『飛行機さん、こんにちは。』
『やあ、また絵本を見てくれたね。ずっと待っていたんだよ。』
『飛行機さんは僕が飛行機さんの絵本を見ているとうれしい?』
『ああ、すごくうれしいよ。』
『どれくらいうれしいの?』
『いっぱいうれしいよ。』
『そう、僕と同じだね。』
『そうだね。』

『君は飛行機に乗ったことがあるの?』
『去年、おじいちゃんの所へ行く時に乗ったんだけれど、大きな飛行機だったよ。』
『そうかい、楽しかったかい?』
『うん、すごいスピードで僕の体が座席に押しつけられたよ。そして、窓の外を見ると、すぐに空港が小さくなったよ。』
『そうなんだよ、スピードが速いので体が座席の背中に押しつけられるんだよ。』

『それからね、僕は公園に置いてある飛行機に乗るのも好きだよ。』
『公園に置いてある飛行機は大きいのかい?』
『ううん、小さいよ。僕はね、公園の飛行機さんともお話しをするんだよ。』
『そうかい、今度、君が公園の飛行機に乗りに行く時に私も連れて行っておくれ。』
『うん、いいよ。三人でお話しをしようか?』

次の日、友達と公園へ行く時に飛行機の絵本を持って行くことにしました。
『飛行機の絵本さん、今から友達と公園へ行くけれど一緒に行くかい?』
『ああ、行きたいね。』
『わかったよ、自転車で行くから、前のカゴの中に入れていってあげるね。』
『友達とは公園で会うようにしているので、もう行くからカゴからおちないでね。』
『ちゃんとカゴにつかまっているから大丈夫だよ。』

山の気持ち

2016-10-19 21:46:50 | 童話
僕は山が大好きです。
だから山の写真の本を見るのが楽しみです。
僕の家から山は見えないし、僕はまだ小さいので山へ行けません。
だから僕は山の写真の本を見ています。

『日本の山さん、こんにちは。外国の山さん、こんにちは。大きな山さん、こんにちは。小さな山さん、こんにちは。』
『やあ、また山の写真の本を見てくれたね。ずっと待っていたんだよ。』
『山さんは僕が山の写真の本を見ているとうれしい?』
『ああ、すごくうれしいよ。』
『どれくらいうれしいの?』
『いっぱいうれしいよ。』
『そう、僕と同じだね。』
『そうだね。』

『ねえ、山の写真さん、日本で一番高い山は富士山だよね。それでは、日本で一番低い山はどこなの?』
『日本で一番低い山はね、大阪にある天保山という山で、高さは四メートルしかないんだよ。』
『ふぅ~ん、低いんだね。』
『そうだね。』

『では、世界で一番高い山はどこなの?』
『チベットと中国の間にあるエベレストという山だよ。すごく高いので、一年中雪で真っ白なんだ。』
『富士山は冬だけ雪で真っ白になるけれど、エベレストはいつも雪で真っ白だから、すごいんだね。』
『そうだよ。世界で一番高い山だからね。』

『日本の山は色が変わるよね。冬は雪で白くなり、春は新しい葉っぱで黄緑色になって、夏は葉っぱが黄緑色から緑色なって、そして、秋は葉っぱが赤くなって、山が赤い色になるんだね。』
『そうだね、季節で山の色が変わるよね。』
『山にはたくさんの生き物が住んでいるよね。鳥や猿や鹿がいるでしょ。それから、カブトムシやセミやクワガタもいるよね。』
『そうだね、たくさんの昆虫もいるから楽しいよ。それから、クマもいるから気を付けないといけないんだよ。』
『うん、わかった。いつか山に行った時には気をつけるよ。』
『明日はね、乗り物の本を見るから、山の写真の本さんはまた今度ね、バイバイ。』
『うん、わかった。それまで寝ているよ。バイバイ。』

     おしまい

クツの気持ち(2)

2016-10-18 08:53:23 | 童話
『さあ、図書館のある駅に着いたよ。』
『今度はホームから駅の外は出る階段だよ。』
『いっぱい階段が有るんだね。』
『そうだね。』
『ほら、あそこが図書館だよ。』
『こんにちは、本を見に来ました。』
『はい、どうぞ。ここに図書館のカードを入れてね。』
『は~い。』
『ねえ、それはな~に?』
『これはね、図書館に入るためのカードだよ。お母さんが登録してくれたんだ。』
『ふ~ん、そうなんだ。』

『わあ~、いっぱい本が有るね。』
『今日は、どの本を見ようかな。』
『クツの本はないの?』
『探してみようか。う~んとね、「大きな株」や「あかずきんちゃん」や絵本の中の子はみんなクツを履いているけれど、クツだけを書いている絵本はないね。』
『そうだね。』

『有ったよ。サンタクロースの本の中にお菓子をいっぱい入れたクツがモミの木にぶら下がっているよ。』
『そうだね。だけれど本当のクツの本を探そうよ。』
『うん、いいよ。』
『なかなか見つからないね。そうだ。、図書館の人に聞いてみよう。』
『すみません、クツが載っている絵本は有りますか?』
『はい、ちょっと待ってね、調べるから。』
『それは何ですか?』
『これは図書館に有るたくさんの本を探す装置なのよ。』
『ふぅ~ん、すごいんだね。』

『やっと出てきたわ。「シンデレラ」や「こびとのくつや」や「くつやのねこ」という絵本が有るから案内してあげるからね。』
『はい、ありがとうございます。』
『ここに有るから見てね。』
『はい、ありがとうございます。』
『図書館の人は親切なんだね。』
『そうだね、親切だね。』

『よしっ、この「こびとのくつや」をイスの有る所へ持って行って、座って見ようよ。』
『この絵本はおもしろいので借りて帰って、おうちで見ようか。』
『えっ、借りて帰れるの?』
『そうだよ、このカードが有るからね。』
『さっき、図書館に入る時に使ったカードがそうなの?』
『そうだよ。借りる本とカードを一緒に係の人に渡すんだ。そうして借りる登録が終ると、本とカードを返してくれるんだ。そしてね、返す日までに図書館に持ってくるんだ。』
『ふぅ~ん、便利だね。』

『また電車に乗って帰るよ。』
『うんわかった。この絵本を図書館に返しに来る時に、また一緒に図書館に来られるね。』
『うん、また一緒にね。』

    おしまい

クツの気持ち(1)

2016-10-17 21:25:45 | 童話
僕はこのクツが大好きです。
だからこのクツを履くとお話しをしたくなります。

『クツさん、おはよう。』
『おはよう、また履いてくれるのを待っていたよ。』
『クツさんは僕が履くとうれしい?』
『うん、すごくうれしいなあ。』
『どれくらいうれしいの?』
『いっぱいうれしいなあ。』
『そう、僕と同じだね。』
『そうだね。』

『今日はどこへ行くの?』
『今日はね、図書館へ本を見に行くんだよ。図書館にはたくさんの本があって楽しいよ。』
『そう? 僕は初めてだから楽しみだなあ。』
『図書館はね、電車に乗って、二つ目の駅を下りたらすぐ近くにあるんだ。』
『うん、わかった。駅まで頑張って歩こう。』
『クツさん、駅に着いたから階段を登るよ。』
『あそこに駅のホームへ行くエレベーターが有るよ。』
『だめだよ、クツさん、子供は運動をしないといけないから階段を使うんだよ。』
『うん、わかった。階段を使おう。』
『あっ、僕の乗る電車が来たよ。お父さん達が会社へ行く時間ではないのでお客さんが少ないね。ここに座ろう。』
『うん、座れたね。』
『だけれど、お年寄りの人や、赤ちゃんを連れた人や、病気の人が乗ってきたら席を代わってあげないといけないんだよ。』
『そうなの?』
『そうだよ。』
『うん、わかった。』
『僕が席を代わってあげるとクツさんが席を代わってあげたことになるから大丈夫だよ。』
『そうだね。』