朝、起きた時には動いていたようだったが、朝食を摂り新聞を読んでいると、6時12分を指してリビングの掛け時計が止まっていることに8時過ぎに気づいた。いつもの元気良いカチカチと言う音ではなくクク、ククと言う頼りない、か細い音なので振り向くと、もうとっくに過ぎたであろう時刻のままである。すぐ乾電池を入れ替ると、勢いのよい音が聞こえてきます。3,4日前に突然10分以上進んでいた。家内が進ましたのかと思い、尋ねるとそうではないとの返事であったが、何かの用事で進ませたものと思ってそのままにしていた。多分、互いにそう思って時刻を直すのを遠慮して、今見た時計の時刻から10数分引いて正確な時刻を知ると言う不便な使い方をしていた。しかし、今日の出来事から時刻を勝手に進ましたのは多分乾電池であろう。乾電池は寿命まじかになって最後の力を振り絞って、少しでも遅れさせないようにしてくれたのではないか?。そう思うと役割を終え、力尽きた乾電池が愛おしく感じられ、すぐに捨てられず少しの間、両手で大事に持っていた。
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