かんりにんのひとりごと

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繊細な物語 川端康成「古都」

2023-09-15 | 読み物

 

毎日少しずつですが、読書を続けています。

 

通勤の電車の行きかえり・・・。

 

片道5分程度の乗車時間です。

 

7月くらいから読み始めた小説「古都」をようやく読み終えました。

 

 

この物語は、昭和の京都が舞台となっています。

 

この小説が朝日新聞に連載されたのが昭和の36年から37年だそうです。

 

時代的に、私が産まれたくらいの年代なので、よくわかりませんが、何となく『昭和の京都』を感じとることができました。

 

主人公は、老舗の呉服問屋の娘さんで、綺麗な京都弁を話します。

 

「~どっしゃろ」「かにしておくれやす」

 

いかにも老舗の呉服屋のご家族が話していると思われるような会話が印象的でした。

 

私も京都生まれの京都育ちですが、昔のような京都弁はあまり使わなくなりました。

 

しかし、言葉の意味や言葉の持つ雰囲気などは充分に理解できますし、懐かしい気持ちもわいてきました。

 

 

事情があって、生き別れになった双子の姉妹が偶然に出会い、様々な葛藤が生じてきます。

 

文章が、大変丁寧で、綺麗な日本語に感心するとともに、とても繊細な心の動きを描いておられるので、いろいろと考えてしまいます。

 

昭和の京都の人は、みんな繊細な人が多かったのか、川端康成先生がとても繊細な心をお持ちな方だったのか・・・。

 

北山杉の里が何度も登場し、そのまっすぐな木立が描かれていました。

 

 

あとがきの中で、川端康成先生は、京言葉を描くことについて、何度も京都の人に見てもらって、修正をしたと書いてありました。

 

また、「古都」を執筆中に、睡眠薬を多用して、眠りの中で執筆したとも書かれていました。

 

どういう経過で書かれたかは、別として、この「古都」は海外から高い評価を得て、ノーベル文学賞の受賞の対象の作品の一つになったのですね。

 

 

大変綺麗なお話に心が洗われるようでしたが、繊細過ぎて、何か心配になりました。

 

確か、川端先生は、自殺されたのでしたね。

 

 

太宰治さん、芥川龍之介さん、三島由紀夫さん、私が知っているだけでも、たくさんおられますね。

 

綺麗なお話を読んだ後なのに、不思議な気持ちがしています。。。

 

川端康成 『古都』 | 新潮社

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