海開き前の6月くらいから海で泳ぎ始めてると・・・どこの海で泳いだの?・・・千葉の外側で亀さんの背中に乗って来た!・・・と、メンドクサイ会話に、けんもほろろの受け答えになる。
・・・え~~! 亀さんの背中に!? と尚も絡んで来る奴もいるが・・・そうそう、竜宮城までさ・・・。
銀座にも一年中波に乗ってるサーファーの爺ィや、一年中釣りに出掛けてる爺ィがおるけんども、会話は・・・美味いアジフライの店があったよ!・・・とか、新しい裏道を見つけたよ!・・・とか、そんなこと。
・・・どこだ? ・・・ほれ、交番の先のセブンを右に曲がってさ ・・・お~お~、汚ね~公衆便所んとこか? ・・・そうそう その奥んとこだよ ・・・ほ~、こんど寄ってみるっぺよ
しょっちゅう泳いでると、どこの海などどうでもよくって、どう泳いだのか? 泳いでどんなオモシロイことがあったのか? そういう会話しかなくなってくる。
山でもおなじで、どこの山? と聞かれても、有名ではない山の名を言ったところであんたが解る訳ないわけで、いちいちメンドクサイから・・・山で芝刈って来た・・・この頃はそんな受け答えをしている。
山登りを止めて渓流で釣りをすれば・・・川で洗濯をしてきた・・・になる。
そらそうさ、ガキの頃から山や海で遊んでる。
・・・崖んとこにさ、可愛いユリの花が咲いてたよ・・・とか、岩海苔を見つけたよ!・・・とか、でっかい熊棚があったとさ・・・汚い建物だったけど湯は良かった・・・むかし役行者が、腹痛を起こしたときに喰ったドクダミがあった・・・きっと真田の忍びが奔ってた獣道だよ・・・が、オモシロイ。
・・・蕎麦くらいしか作れね~んだよ、平地がないから蕎麦くらいしかないんだべさ・・・と言いながら作ってくれる蕎麦は、とても美味いのとおなじさ。
銀座にも、10割蕎麦を売りにしてミシュランの星をもらってる店があるが、そこのお喋りオーナー婆ァにはいつも言ってやってる・・・蕎麦ってのはな、米を作れない山間の貧しい人たちが、精一杯頑張って生きる為に作ってた食い物なんだぞ、偉そうに能書きたれて喰うもんではない!!
一年中遊んでると、その行先よりも、ナニをして、どんな愉しいことがあったか? そっちの会話になる。
だいたいあちこち行ってると、行先には興味は湧かない。
アクシデントのない海や山は、これほどつまらないことはない。
これだけ遊んでおっても、まだまだ新鮮なアクシデントがあるから出掛けて行ってる。
行くだけのことには意味などなくて、そこでナニをしてきたか? ナニが起きたか? がオモシロイだけ。
・・・そんな山、長靴で登ったほうがエエやんけ・・・山ファッションの話など、もっとわけわからん。
・・・それぞれに楽しみ方があっていいでしょ!!・・・よく怒られるけんども、人間社会では、どんどんメンドクサイと想うことが増えて来てる。
オストメイトの悩みの一番は、人混みや静かな集まりでの放屁だろう。
腹筋に穴を開けて腸を出して肛門にしてる訳だから、制御が出来ないわけで、いきなり ブ~だとか、プププ~だとかがやってくる。
どこからやってくるか? 宇宙からか? ではないが、女性や若いオストメイトには堪らないだろう。
完全防水、完全防臭のパウチで覆ってあるからそれ以外の心配はないんだが、そばにいる健常者はすぐに鼻を押さえる。
俺なんざ不動産の緊張感のある売買契約の最中に、神妙に契約書の説明をやってる時に・・・ブブ~!! ということもたまにあるけんども、みなで大笑いして逆に愉しい契約になっておる。
次の悩みはこのパウチの剥がれと便の漏れだが、国産のメーカーが無い現状ではなかなかすぐに自分に合うものは見つからないことが多く、身体や行動に合ったパウチを身につけてないと、おっかないことが起こる。
俺はどんどん動いてヘマを繰り返して、海外からどんどんサンプルを取り寄せて試してを繰り返し、完璧だと想う今のパウチを見つけるまで、半年もかかってる。
完璧になると、予備を持ち歩くこともなくなって、毎日風呂や温泉に浸かって、ときどきエロエロ、なおかつ山に登って泳いでも、4日で交換のスパンでなにも問題はなくなった。
防水強化や、耐熱強化なんて小物はすべて自作で、試行錯誤しながら色んなことをやってきた。
いまは、パウチを貼ってるだけ、そんな感じになってる。
その上からヘルニアベルトで締めてる。
腰痛予防のベルトとおなじ感覚だ。
今朝もはよから、大腸癌でオストメイトになってる、銀座の近所の96歳になるビルのオーナー爺様がよろよろやって来て・・・おいおい、オレっちの家の鍵の予備を持ってなかったっけ?
どうも自宅の鍵をなくしたらしい・・・。