明け方の暗いうちから山に登り始めたり、陽が落ちてからのんびり下山して来ることもある。
オツムに付けたヘッドライトをつけたり消したり、月夜の明かりでも慣れると歩けるもんだが、月の明かりの届かない樹林の中の道はダメだ。
森の獣たちは夜行性だから、ヘッドライトの明かりに獣の目だけがギョロっと光る。
・・・うおおおお~~う!! 俺が腹の底から声を上げると、みな一目散に逃げ散って行く。
きっと怖ろしい怪獣にでも見えてるんだろう。
高い山の頂で空を眺めると、満天の星屑という言葉の意味がよくわかる。
とても綺麗だ。
・・・いま、君もおなじ星を見ているのだろうか?
そんな小洒落たセリフも青臭くないくらい、綺麗に瞬いている。
吐く息は真っ白だけんども、星を見ていると心なしか温かくなる。
銀座の近所の子供たちを連れて、ナイト・ハイクに行ったりもしてる。
丹沢あたりの山がオモシロイ。
・・・そろそろ鹿の野郎が挨拶に出て来るぜ!!
小さな可愛いオツムに、ひとりひとりプレゼントしてやったヘッドライトを付けてやっても、ドキドキ真剣な目で歩き始めてる。
不安なんだろう、音がするたびにみなの視線が俺に集まって来る。
・・・いちいちこっちを見るな! 眩しいだろうが
時々に大声を出して驚かしては大笑い・・・糞じじ~~・・・と、ピ~ピ~文句言われて歩いてるときに、俺のヘッドライトで鹿の群れを映し出してやると、歓声をあげる。
・・・うわ~~~! 鹿さんだ!
・・・さん付けはいらんだろ!! コロコロ糞転がし野郎だぞ
鹿にとってはいい迷惑だろうが、都会の子供らには生まれて初めての経験だ。
親や大人たちが教えてやらなければいけないことはたくさんある。
海で大きなエイがいる上を一緒に泳いでやるとか、ボラの群れを追い掛け回すとか・・・そんなこた~日常に幾らでも出来ることだ。
日本人で生まれたこと、その意味をまず教えずに、ナニを育み守れと言うんだろうか?
いまや日本にいる外国人の方が日本には詳しい。
山を子供らと一緒に歩く、いろんな話をしてやる、簡単でもスパゲッティくらいは作ってやる、女の子でも野ションベンを経験させてやる、大声で叫んで歩け!! 歌を歌おうぜ!! みな後々に言うのは・・・あんなに楽しかったの、生まれて初めてだったよ!!・・・たかだか10年も生きてないのにな・・・日本の親や大人は、いつもいったいナニをしておるんだろうか??
・・・山で大きな二股の木の穴ぼこを見ると発情してるような野郎がよ、よく言うぜよ!!
・・・たしかに、たっぷり寝て元気が良すぎる朝は、そういうことも、まままま、ままある。
ガラの悪い周旋屋の爺ィ連中は、ほらほらほら~~!っと、大爆笑になる、それが生きてるという証拠さ。