初めて買った格上商品

僕が初めて高額な商品を買ったのはロ～レックスでした。
本土復帰前の沖縄から義兄が買ってきた時計です。
義兄は知人のお葬式のため出かけた沖縄から自分のために買ってきました。
当時国内価格が24万円もした時計です、
僕より２才年下の友達が就職して手取り３万円だったので、
いかに高価な時計かお分かりに成ると思います。
ちなみに若者に人気の車、ホンダN360が36万円位だったと思います。

『タカシ、この時計買え』と義兄。
『とても買えない』と僕。
『この時計を質屋に持っていけば１０万円で売れる、１０万円で買え』と義兄。
『そんな高価な時計を買っても出来ないから嫌だ』と僕。
『お前、、、ケチだな～！』と義兄。
ケチだとかの問題では無く、身分不相応な時計をする事が恥ずかしかったのです。
僕は当時ティソットの時計をしていました、
その時計は知り合いの紹介で質屋から1万5千円で買いました。
形はロ～レックスと全く同じでベゼルが銀だったと思います。

当時義兄達の間ではロ～レックスを腕にする事が憧れのようでした。
義兄の仲間達は何人もの方がロ～レックスを腕にしていました。
義兄が買ってきた時計は白の文字盤にステンレス製、ベゼルはホワイトゴールド、
『これは中々売っていない、皆が欲しがったけど１個しかなかった』と義兄は自慢していました。
仲間にコンビをしている方がいて取り替えてくれと言われ『嫌だ』と答えたと得意になっていました。
きっとお金が無く売りたかったのだと思います、そこでシブシブ買う事にしました。
ティソットを当時付き合っていた友人に買った時と同じ金額で売り、手にしました。
重さも変らないし、直ぐに馴染む事は出来ましたが、気恥ずかしかったのを覚えています。

電車に乗ると吊り革につかまっている人の腕を見る様に成りました。
時々同じ時計をしているサラリーマンの方を見かけます、
彼らの身なりはキチットしていましたので『役職者なんだな～、あの人達と同じ時計をしている』誇らしくも有り、気恥ずかしさも有り複雑だったのを覚えています。
この時計が似合う男に成りたと考え始めました。

時計のベルトの裏に2/69と書いて有りましたので６９年の２月製造なのだと思います。
義兄が買ったのは69年の7～8月頃で、
僕の手元に来たのは70年ですからもう35年も使っています。
ジーパンの中に入れ洗濯機で一緒に洗った事も有りますが壊れません。
5年前に3度目のオバーホールをした時、
留め金を交換され2/69の文字が無くなってしまったのは残念です。

所で何時からロレックスになったんだろ～？