言の葉花壇

何度聞いても美しい日本語に、今日もマナ女とカナ女がにぎやかに呟きます。ぜひお気に入りを見つけてください。

宇智の大野に

2017年03月05日 | 万葉集
第 0004
◆ ◆ 天皇 宇智の野に 遊猟したまふ時 中皇命の使 間人連老をして獻らしめたまふ歌
たまきはる 宇智の大野に 馬並めて 朝踏ますらむ その草深野
中皇命 ◆ ◆
     
万葉集 第一巻 より

::: 読み :::

たまきはる うちのおほのに うまなめて あさふますらむ そのくさふかの

::: 意訳 :::

宇智の広大なる草原に馬を並べ、朝(の大地)を踏みしめて(猟)をしておいででしょう。 その草深き野を。

 
 題詞は [天皇遊猟内野之時中皇命使間人連老獻歌]
つまり天皇、このときの天皇は 舒明(じょめい)天皇 で、宇智の大野で猟をした時、 中皇命(なかつすめらみこと)間人達老(はしひとのむらじおゆ) に献上させた長歌の反歌やね。
 ちょっと壮大な感じがするね。
 そうやね。宇智の大野は奈良県五條市。金剛山のすそ野一体が宇智の大野やね。
でも、この歌には解らない事があるのよ。
 どんな事?
 それはね、作者の中皇命(なかつすめらみこと)自体がいったい誰かって事やね。 解っているのは、飛鳥・岡本宮に残った中皇命が天皇の無事と豊猟を祈って使者を出し、 狩り最中の天皇に歌を託したって事かな。 ちなみに 「たまきはる」 は宇智にかかる枕詞よ。
謎の多い歌やけど、広い野原で天皇がたくさんの馬や家臣達と狩りをしている様子がよくでてるよね。
 まるで映画のワンシーンを切り取ったみたいやわ。