カムイエクウチカウシ山 2014年7月11日(金)~13日(日)
念願のカムエクに行ってきた!
約2ケ月前からこの日の山行を決め、日高山脈山岳センターに状況を問合せし準備していたが、当日が近づくにつれ台風が接近し天気予報は最悪、もうダメかと思っていたところ天は我に味方し当日はきれいに晴れた。
●1日目 晴れ
朝6時に札幌を出発、9時頃にピョウタンの滝公園に到着、山岳センターにいって様子を伺う。数日前に入ったパーティがあったこと、札内川は増水してない、ということを確認し現地に向かう。
昨年までダム手前で通行止めであったが、現在は札内川ヒュッテまで車で入れる。通常ならばその先のトンネルを抜けた舗装の最終地点が最終ゲートとなるのだが、その付近に工事用資材が置かれ駐車スペースがないため手前で通行止めにしているとのこと、約1kmほどの余計な歩きとなるが、ダム手前から歩くことと比較すればたいしたことではない。最初の暗いトンネルをヘッデンをつけてMさんとふたりで出発する。

(トンネルからスタート)
約2時間ほど林道を歩くと七の沢出合に到着、ここから入渓してだだっ広い河原を右に左にと歩く。川幅は徐々に狭まるがロープを出して渡れるような幅ではなく増水したらアウトを実感する。入渓し約1時間半で八の沢出合に到着、テン場は八の沢左岸にある。前日までの雨で濡れていたため着火に苦労したが、たき火で服を乾かした。

(だだっ広い七の沢出合)

(八の沢出合到着、我々だけのテン場でたき火をする)
●2日目 晴のち曇り
朝3時に起床し4時半にテンバを出発する。最初こそ登山道のような巻道を出発するがすぐに河原にでてあとは三股まで沢(河原)を遡行する。カムエク山頂が見えるにつれて雪渓が現れ、三股の手前は完全に雪渓に埋もれていた。そのど真ん中をおっかなびっくりそろそろと渡るが、滑落を心配するような傾斜ではない。

(天気は快晴、いざスタート、徐々にカムエクが現れる)
<道迷い>
そして注意していたにもかかわらずやってしまった、誤った沢への道迷い。GPSのログも飛んでいて当てにならない、そもそも目指す先がはっきりと分からないのだからどうしようもない。トラバース移動の悪あがきもあって1時間20分の時間と体力ロス。中央と右側の沢の間にある涸沢を登ってしまったのだが、正解は中央の沢のすぐ右側にある沢状を進み左左と行く。あとからGPSログを見てみると正規ルートのすぐ近くまで行ってたよう。

(三俣です)
三股下部から八の沢カールまでつづく標高差600mの急登が一番きついところ、すっかりロスした体力で先を行くMさんに引っ張られるように登り、なんとか八の沢カールに到着、福岡大ワンゲル部慰霊碑前で休憩し、近くを流れる雪解け水をたらふく飲んで生き返る。

(八の沢カール、その先にクマがいた)
<クマの出現>
しっかりと休憩後、国境稜線に向けて登っているとき、とうとう出会ってしまった。我々が進む方向の4~50m先にクマが出現、我々に気づいたのかすごい勢いでドンドンドンという音をたてて斜面を下っていった。まっ黒く生き生きとした飛び跳ねる姿が目に焼き付いているが、一瞬のできごとで写真に収める余裕はなかった。しばらく様子を見ていたが再び現れる気配はなかったため、クマスプレーを手に持ってクマのいたところを通り過ぎ登山を続行した。

(クマも転がり落ちるカムエクの稜線)
カムエクへの稜線歩きはスパッと切れ落ちた細尾根の通過もあるが、ハイ松などのおかげで恐怖感を感じることはない。お花の咲き乱れたところを通過して約1時間半で念願のカムエクに到着、ガスで見晴らしはよくなかったが、周りの山並みを確認することができた。八の沢カールへの下山は、ショートカットしあっという間に慰霊碑まで降りた。クマの糞は多く見られたが二度と実物には会うことはなかった。

(お花畑)

(かなり細い稜線を行くが、ハイ松があるのであまり恐怖感はない)
<落石と靴破損>
八の沢カールを過ぎてCo1200m辺りで登ってくる2人パーティを確認、人懐かしい思いを抱いた矢先に、不注意から落石を起こしてしまった。ゴロゴロゴロと転がる石は止まりそうで止まらない、そして登ってきたパーティのひとりに当たってしまった。とんでもないことになったと気が動転したが、スピードが緩まったところだったので大事には至らなかったことは幸運だった。そのひとりから登山靴が壊れていると指摘され、見ると靴底が半分以上剥がれていた。この剥がれた靴底で石を引っ掛けたかけたようだが、弁解の余地はない。

(八の沢カールからの下り)
そのあとしばらく心理的な動揺もあったのか、ぎこちない歩きが続き、こういう時に事故が発生するのかと思い、慎重に慎重に巻道を下降した。そして雪渓を過ぎてやっと人心地つくことができ15時にテンバに到着した。そのころから雨がパラパラ降り始めた。
前日から川で冷やしていたビールを飲んで早めに就寝したが、落石にあった人が大丈夫かとか、雨で増水して帰れなくなったらどうしようかとか考え、なかなか眠りにつくことができなかった。
●3日目 晴れのち曇り
4時起床テントを撤収し5時半にはテンバを後にした。札内川の水量は初日とほとんど同じで勝手なところをジャブジャブ歩くことができたが、水量が5割増えたらここは渡れるだろうかということを始終考えながら歩いているうちに1時間ちょっとで七の沢出合に到着、やれやれと一息つくことができた。

(前日の雨で心配したが、水量は少ない、ジャブジャブと歩く)

(立派な七の沢橋が見える)
●反省
今回の山行は達成感もひとしおであったが反省も多い山行であった。自分の落とした石に当たった方がその後何もなかったことを願うばかり。沢靴に履き替えることができたからよかったものの、登山靴の破損は今回の厳しい山行では致命的なトラブルである。クマとの遭遇もあって、登山には何が起きるか分からないという戒めを学んだ。
今回は登山靴を持参した。登山靴の使用は、最初の林道歩きと三股から山頂までで、それ以外は沢靴必須となる。登山靴のメリットと持ち運ぶ手間(重さ)のトレードオフから、2度目のカムエクがあるなら迷わず沢靴で通すことを選ぶ。

〔コースタイム〕
11日(金)
10:20 最終ゲート(札内川ヒュッテ前)
12:30 七の沢出合
14:20 八ノ沢出合(テント設営)
12日(土)
04:30 八の沢出合
06:00 三股
(道迷い、1時間20分ロス)
07:20 三股下部再出発
09:00 八ノ沢カール
(クマと遭遇)
10:35 カムエク山頂
(頂上休憩20分)
10:55 下山開始
11:50 八の沢カール
13:15 三股
15:00 八ノ沢出合
13日(日)
05:25 八ノ沢出合
06:45 七ノ沢出合
08:45 最終ゲート
念願のカムエクに行ってきた!
約2ケ月前からこの日の山行を決め、日高山脈山岳センターに状況を問合せし準備していたが、当日が近づくにつれ台風が接近し天気予報は最悪、もうダメかと思っていたところ天は我に味方し当日はきれいに晴れた。
●1日目 晴れ
朝6時に札幌を出発、9時頃にピョウタンの滝公園に到着、山岳センターにいって様子を伺う。数日前に入ったパーティがあったこと、札内川は増水してない、ということを確認し現地に向かう。
昨年までダム手前で通行止めであったが、現在は札内川ヒュッテまで車で入れる。通常ならばその先のトンネルを抜けた舗装の最終地点が最終ゲートとなるのだが、その付近に工事用資材が置かれ駐車スペースがないため手前で通行止めにしているとのこと、約1kmほどの余計な歩きとなるが、ダム手前から歩くことと比較すればたいしたことではない。最初の暗いトンネルをヘッデンをつけてMさんとふたりで出発する。

(トンネルからスタート)
約2時間ほど林道を歩くと七の沢出合に到着、ここから入渓してだだっ広い河原を右に左にと歩く。川幅は徐々に狭まるがロープを出して渡れるような幅ではなく増水したらアウトを実感する。入渓し約1時間半で八の沢出合に到着、テン場は八の沢左岸にある。前日までの雨で濡れていたため着火に苦労したが、たき火で服を乾かした。

(だだっ広い七の沢出合)

(八の沢出合到着、我々だけのテン場でたき火をする)
●2日目 晴のち曇り
朝3時に起床し4時半にテンバを出発する。最初こそ登山道のような巻道を出発するがすぐに河原にでてあとは三股まで沢(河原)を遡行する。カムエク山頂が見えるにつれて雪渓が現れ、三股の手前は完全に雪渓に埋もれていた。そのど真ん中をおっかなびっくりそろそろと渡るが、滑落を心配するような傾斜ではない。

(天気は快晴、いざスタート、徐々にカムエクが現れる)
<道迷い>
そして注意していたにもかかわらずやってしまった、誤った沢への道迷い。GPSのログも飛んでいて当てにならない、そもそも目指す先がはっきりと分からないのだからどうしようもない。トラバース移動の悪あがきもあって1時間20分の時間と体力ロス。中央と右側の沢の間にある涸沢を登ってしまったのだが、正解は中央の沢のすぐ右側にある沢状を進み左左と行く。あとからGPSログを見てみると正規ルートのすぐ近くまで行ってたよう。

(三俣です)
三股下部から八の沢カールまでつづく標高差600mの急登が一番きついところ、すっかりロスした体力で先を行くMさんに引っ張られるように登り、なんとか八の沢カールに到着、福岡大ワンゲル部慰霊碑前で休憩し、近くを流れる雪解け水をたらふく飲んで生き返る。

(八の沢カール、その先にクマがいた)
<クマの出現>
しっかりと休憩後、国境稜線に向けて登っているとき、とうとう出会ってしまった。我々が進む方向の4~50m先にクマが出現、我々に気づいたのかすごい勢いでドンドンドンという音をたてて斜面を下っていった。まっ黒く生き生きとした飛び跳ねる姿が目に焼き付いているが、一瞬のできごとで写真に収める余裕はなかった。しばらく様子を見ていたが再び現れる気配はなかったため、クマスプレーを手に持ってクマのいたところを通り過ぎ登山を続行した。

(クマも転がり落ちるカムエクの稜線)
カムエクへの稜線歩きはスパッと切れ落ちた細尾根の通過もあるが、ハイ松などのおかげで恐怖感を感じることはない。お花の咲き乱れたところを通過して約1時間半で念願のカムエクに到着、ガスで見晴らしはよくなかったが、周りの山並みを確認することができた。八の沢カールへの下山は、ショートカットしあっという間に慰霊碑まで降りた。クマの糞は多く見られたが二度と実物には会うことはなかった。

(お花畑)

(かなり細い稜線を行くが、ハイ松があるのであまり恐怖感はない)
<落石と靴破損>
八の沢カールを過ぎてCo1200m辺りで登ってくる2人パーティを確認、人懐かしい思いを抱いた矢先に、不注意から落石を起こしてしまった。ゴロゴロゴロと転がる石は止まりそうで止まらない、そして登ってきたパーティのひとりに当たってしまった。とんでもないことになったと気が動転したが、スピードが緩まったところだったので大事には至らなかったことは幸運だった。そのひとりから登山靴が壊れていると指摘され、見ると靴底が半分以上剥がれていた。この剥がれた靴底で石を引っ掛けたかけたようだが、弁解の余地はない。

(八の沢カールからの下り)
そのあとしばらく心理的な動揺もあったのか、ぎこちない歩きが続き、こういう時に事故が発生するのかと思い、慎重に慎重に巻道を下降した。そして雪渓を過ぎてやっと人心地つくことができ15時にテンバに到着した。そのころから雨がパラパラ降り始めた。
前日から川で冷やしていたビールを飲んで早めに就寝したが、落石にあった人が大丈夫かとか、雨で増水して帰れなくなったらどうしようかとか考え、なかなか眠りにつくことができなかった。
●3日目 晴れのち曇り
4時起床テントを撤収し5時半にはテンバを後にした。札内川の水量は初日とほとんど同じで勝手なところをジャブジャブ歩くことができたが、水量が5割増えたらここは渡れるだろうかということを始終考えながら歩いているうちに1時間ちょっとで七の沢出合に到着、やれやれと一息つくことができた。

(前日の雨で心配したが、水量は少ない、ジャブジャブと歩く)

(立派な七の沢橋が見える)
●反省
今回の山行は達成感もひとしおであったが反省も多い山行であった。自分の落とした石に当たった方がその後何もなかったことを願うばかり。沢靴に履き替えることができたからよかったものの、登山靴の破損は今回の厳しい山行では致命的なトラブルである。クマとの遭遇もあって、登山には何が起きるか分からないという戒めを学んだ。
今回は登山靴を持参した。登山靴の使用は、最初の林道歩きと三股から山頂までで、それ以外は沢靴必須となる。登山靴のメリットと持ち運ぶ手間(重さ)のトレードオフから、2度目のカムエクがあるなら迷わず沢靴で通すことを選ぶ。

〔コースタイム〕
11日(金)
10:20 最終ゲート(札内川ヒュッテ前)
12:30 七の沢出合
14:20 八ノ沢出合(テント設営)
12日(土)
04:30 八の沢出合
06:00 三股
(道迷い、1時間20分ロス)
07:20 三股下部再出発
09:00 八ノ沢カール
(クマと遭遇)
10:35 カムエク山頂
(頂上休憩20分)
10:55 下山開始
11:50 八の沢カール
13:15 三股
15:00 八ノ沢出合
13日(日)
05:25 八ノ沢出合
06:45 七ノ沢出合
08:45 最終ゲート
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