私的海潮音 英米詩訳選

数年ぶりにブログを再開いたします。主に英詩翻訳、ときどき雑感など。

バーント・ノートン Ⅱ 1~5行目

2009-10-23 20:17:24 | 英詩・訳の途中経過
Burnt Norton     T.S.Elliot

      Ⅱ[ll.1-5]

Garlic and sapphirees in the mud
Clot the bedded axle-tree.
The trilling wire in the blood
Sings below inveterate scars
Appeasing long forgotten wars.


バーント・ノートン   T・S・エリオット

        Ⅱ[1-5行目]

大蒜とサファイヤが泥のなかで
植えつけられた車軸を凝らせている
血のなかで 震えおののく針金が
唄う 根深い傷跡のしたで
久しく忘れられていた戦いを慰めながら


 ※……ニンニク。「ザ・現代詩」といった感じです。意味不明極まる。

   ※10月25日訂正。抜けていた5行目の訳を加筆。


バーント・ノートン Ⅰ 44行目~最終行

2009-10-22 19:01:33 | 英詩・訳の途中経過
Burnt Norton T.S.Elliot

Ⅰ[l.44-last]

Go, go, go, said the bird: human kind
Cannot bear very much reality.
Time past and time future
What might have been and what has been
Point to one end, which is always present.


バーント・ノートン   T・S・エリオット

       Ⅰ[43行目‐最終行]

お行きなさい お行きなさい お行きなさいと鳥がいう 人は
あまりの現には耐えられないものです
過ぎたるときと来ぬときとは
在りえたなにかと在るなにかは
ひとつの果てへと向かう つねにこの今在るときへと



   ☆45行目「現」は「ウツツ」です。

バーント・ノートン Ⅰ 41~43行目

2009-10-21 20:19:53 | 英詩・訳の途中経過
Burnt Norton T.S.Elliot

Ⅰ[ll.41-43]

Then a cloud passed, and the pool was empty.
Go, said the bird, for the leaves were full of children,
Hidden excitedly, containing laughter.


バーント・ノートン   T・S・エリオット

       Ⅰ[41-43行目]

そのとき雲が過ぎて 池はうつろにもどる
お行きなさいと鳥がいう しげみは子どもでみちている
胸高鳴らせて身をかくし 笑いをこらえている




バーント・ノートン Ⅰ 36~40行目

2009-10-20 22:25:54 | 英詩・訳の途中経過
Burnt Norton T.S.Elliot

Ⅰ[ll.36-40]

Dry the pool, dry concrete, brown edged,
And the lotos roses, quietly, quietly,
the surface glittered out of heart of light,
And they were behind us, reflected in the pool.


バーント・ノートン   T・S・エリオット

        Ⅰ[36-40行目]

池は乾いている 乾いたコンクリートと褐色のへり
日射しを浴びると水がみち
はちすの花が伸びる 音もなく 音もなく
水面が光の芯に煌めき
われらのうしろに在る彼らが水のおもてに映る



 ※この数行のイメージにはため息が出ました。「水のほとりのすがた」に私はとても弱い。大手拓次のあれですね。「すがたはみづのほとりにうかぶけれど/それはとらへがたない/とほのいてゆく ひとときの影にすぎない」……。求めても触れえない水影とは内的世界に映る他者の影ってやつでしょうか。
 

バーント・ノートン Ⅰ 32~35行目

2009-10-19 19:40:11 | 英詩・訳の途中経過
Burnt Norton T.S.Elliot

Ⅰ[ll.32-35]

There they were as our guests, accepted and accepting.
So we moved, and they, in a formal pattern,
Along the empty alley, into the box circle,
To look down into the drained pool.


バーント・ノートン    T・S・エリオット

       Ⅰ[32-35行目]

彼らはいたのだ まねかれて 受け入れ 受け入れられて
だからわれらはともに動いた 彼らも型のとおりに
うつろな小路をたどって 黄楊の囲いのうちへ
水のないため池を見おろそうと