私的海潮音 英米詩訳選

数年ぶりにブログを再開いたします。主に英詩翻訳、ときどき雑感など。

バーント・ノートン Ⅰ 25~31行目

2009-10-18 21:19:31 | 英詩・訳の途中経過
Burnt Norton T.S.Elliot

Ⅰ[ll.25-31]

There they were, dignified, invisible,
Moving without pressure, over the dead leaves,
In the autumn heat, through the vibrant air,
And the bird called, in response to
The unheard music hidden in the shrubbery,
And the unseen eyebeam crossed, for the roses
had the look of flowers that are looked at.


バーント・ノートン    T・S・エリオット

         Ⅰ[25-31行目

彼らはそこにいたのだ ほこらかに 目に見えず
抑えられずに動いていた 朽ちた葉の上を
秋の暑さのうちを みなぎる空をぬけて
鳥が呼んでいた 垣にひそむ 
聞こえぬ楽に応えて
そして見えない視線がまじわる ばらは
見られている花のおもてを浮かべている

バーント・ノートン Ⅰ 21~24行目

2009-10-17 20:58:16 | 英詩・訳の途中経過
Burnt Norton T.S.Elliot

Ⅰ[ll.21-24]

Quick, said the bird, find them, find them,
Round the corner. Through the first gate,
Into our first world, shall we follow
The deception of the thrush? Into our first world.


バーント・ノートン   T・S・エリオット

        Ⅰ[21-24行目]

急ぎなさいと鳥がいう みつけなさい みつけなさい
ほら その角をめぐって はじめの門をとおりぬけ
われらのはじめの世界へ つぐみの唄うまやかしに
ついていってみようか? われらのはじめの世界へ


バーント・ノートンⅠ16~20行目

2009-10-15 21:10:43 | 英詩・訳の途中経過
Burnt Norton T.S.Elliot

Ⅰ[ll.16-20]

But to what purpose
disturbing the dust on a bowl of rose-leaves
I do not know.
Other echoes
Inhabit the garden. Shall we follow?


バーント・ノートン    T・S・エリオット

          Ⅰ[16-20行目]

         けれどいったいなんのために
花弁のくぼみの上の芥をかき乱すことがあるのか
わたしには知れないのだ
         ほかのこだまが
苑に宿る ついていってみようか?

バーント・ノートンⅠ9~15行目

2009-10-14 20:28:28 | 英詩・訳の途中経過
Burnt Norton T.S.Elliot

Ⅰ[ll.9-15]

What might have been and what has been
Point to one end, which is always present.
Footfalls echo in the memory
Down the passage which we did not take
Towards the door we never opened
Into the rose-garden. My words echo
Thus, in your mind.


バーント・ノートン  T・S・エリオット
  
         Ⅰ[9-15行目]

在りえたなにかと在るなにかは
ひとつの果てへと向かう つねにこの今在るときへと
足音が 記憶のなかでこだまする
いまだたどらぬ路をくだって
開けられなかったとびらへ向かい
ばらの花咲く苑へと わたしのことばも
そのように あなたのこころにひびく

バーント・ノートン Ⅰ1~8行目

2009-10-13 22:18:01 | 英詩・訳の途中経過
Burnt Norton T.S.Elliot

Ⅰ[ll.1-8]

Time present and time past
Are both perhaps present in time future,
And time future contained in time past.
if all time is eternally present
All time is unredeemable.
What might have been is an abstraction
Remaining a perpetual possibility
Only in a warld of speculation.


バーント・ノートン   T・S・エリオット

       Ⅰ[1-8行目]

今在るときと過ぎたときとは
おそらくは どちらもまだ来ぬときのうちに在り
まだ来ぬときは過ぎたときのうちに含まれていた
すべてのときが非時にただ今にのみ在るなら
すべてのときはあがないえず
在りえたなにかはただひとつの想にすぎないまま
果てない見込みをとどめながら
識の世にのみ留まる


  
 ※「四つの四重奏」から。またしばらくエリオットでいきます。
   四行目「非時」は「ときじく」。eternalに対応させてどうかとこのごろひねり出しました。いかがなものでしょう?