般若心経

写経
四国八十八ヶ所

般若心経

2019-09-23 | Weblog

 お遍路と食事と輪袈裟と

 お遍路をしている皆さんは食事のとき輪袈裟をどうされていますか?  街の食堂に入ったとき、道端に腰を下ろしておにぎりを食べているとき、民借や宿坊で夕食、朝食をいただくときです。輪袈裟をつけて食事をされていますか、それとも外していますか?
 私が最初に教わった先達さんは「食事のときは輪袈裟を外しなさい。輪袈裟はお釈迦様の教えに帰依します、従いますという印(しるし)です。片や食事は他のものの生命(いのち)をいただいています。十善戒の一番初めの不殺生戒をやむなく破っているのですから」とおっしゃられていました。天台宗の僧侶でもある作家瀬戸内寂聴さんも肉食をするときには輪袈裟を外すと話されています。
 お遍路をしていて、民宿、宿坊などで気をつけて見ていると確かに輪袈裟をつけて食事をされている方は少ないようです。先日開催された先達大会での昼食のとき、出席された先達さん逹がどうするか見てみると、千人を超える先達さんの中で輪袈裟を着けて食事をされている先達さんは30人ほどでした。
 食前に「五観の偈」(「功の多少を計り彼の来処を量る・・・・」)を唱えることにより輪袈裟を外さなくともよいと教えられている先達さんもおられます。以前第二十六番金剛頂寺の宿坊に泊まったとき、先達さんを含めて20数人ほどの団体の全員が輪袈裟をつけて食事をされていました。全員がそろって輪袈裟をつけて食事をしている様子は、静寂の中にピンとした規律さを感じました。
 話は変わりますが浄土真宗には親鸞と袈裟の故事があります。
「私たちは戒を破って肉食をしています。悪事だと知りつつしているのですが、生き物を殺して食べるからには、この生き物たちを成仏させてやりたいのです。そこで、袈裟の功徳でもって成仏させようとして、こうして袈裟をつけたまま食事をしているのです」
浄土真宗の『口伝鈔』に出てくる親鸞の言葉です。
いのちをいただくから、袈裟を外す、いただいたいのちを成仏させたいから袈裟をつける、同じ食事について見方が違います。
 私はどちらかというと親鸞の考えに共感するところがありますが、実際は最初に教わった先達さんの教えに従って輪袈裟は外しています。