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管理者 : Zippo

催眠商法とブラシボオーディオ

2025-02-15 10:59:57 | 商品レビュー

唐突だけど、詐欺まがい商法のお話し

学生の頃から、年取った今までの人生で何度か詐欺っぽいモノにあったことはあるが幸いなことに今まで金銭的な損失を被った案件はない。
ただ、そういったものに騙されっこないという自負がずっとあったので、騙されかけたことについてはずっともやもやが消えない。

たまたま見かけた「PC格安譲渡会の闇」という動画でそのもやもやのひとつを思い出した。

「だまされかけた」のは1985年頃(問題の製品の発売時期がネットにあった)

会社の広報で「プレゼンテーション講習」の案内があり、軽い気持ちで参加した。
社内の大会議室、参加者は50人くらいだったか。
講師は高級スピーカーで有名なBOSEの人。(後でわかったのは正式な社名は「ボーズ感性工学リサーチ株式会社」というボーズ株式会社とは無関係な法人だった)

「プレゼンテーション講習」的なのはその芝居がかったしゃべりかただけで、内容は音響システムのデモだった。
「音響システム」と言っていたのはその講師で、平たく言えば1台の「CDラジカセ」だ

オチから先に書くと、
「常識で考えれば10万円前後のラジカセを開発中の70万円のシステムと言い、特別にモニター価格27万円で提供する」
といった販売イベントだった。

オチを読むとそんなのに騙されるはずがないと思うだろうが、そこが催眠商法的なテクニックのすごいところ。
デモをやっていた会社はBOSEを騙るかなり怪しい会社ではあるものの、製品自体は本物のBOSE製。ラジカセとしては上級品であることはうそではないだろう。
それなりの品質の製品を大音響で再生して聞かせる。ラジカセの音を広い部屋で音割れ限界ぎりぎりで再生するわけで、そんな音なんて聞く機会がないから、「聞いたこともないような音質」に聞こえるという種明かし。

その他の話術、演出は今となってはよく覚えていないが後から思えばやはり催眠商法的なたくみなデモだった。
確かに、私も欲しいと思ったし、「特別に」27万円で手に入るのはチャンスだと感じた。実際に手をあげて契約しなかったのはふところに余裕がなかっただけの理由だった。
その場で契約した人は10人くらいいただろうか。

そのイベントがいろいろあやしいものだったと感じ始めたのは2,3日後からだった。会社の総務も完全に騙されて会議室を貸したのだろう。
あの時自分があれを27万円の価値があると思ってしまったことが悔しいい。完全に騙された。
何かのはずみで時々その思いがよみがえる。せめて、詐欺まがい商法の片棒をかつぐことになった総務にクレームのひとつも
いれるべきだったとも。
また、その場で契約してその製品を買った人と話をしたこともある。彼は「すごい、いい音」だと満足していたのでよけいなことは言わなかった。

今、もう一度思い返して「プレゼンテーション講習」ってうそじゃなかったのだと気づいた。10万円のものを27万円で売れるプレゼンテーションの技術をみせてくれたのだから。

製品はBOSE AW-1 ネット検索すると私と同じような経験をしたエピソードも散見される。現在はネットオークションで1万円前後で買えるようだ。
なお、販売方法と価格が詐欺まがいであるだけで、製品自体はまっとうなものでBOSE本社は悪くないので念のため。

もう、時効だろうし、「詐欺まがい」であって当時としては違法な販売ではなかったと思われるのでいまさらなのだが、この件はどうしても法人名と商品名をぼかさず
ネットの海に残しておきたかった。