ハンヴィー(HMMWV, Humvee:High Mobility Multipurpose Wheeled Vehicle=高機動多用途装輪車両)のフロントピラーのヒンジを暫く眺めていた。フロントウインドウを留める丈夫なジョイントに3段のボルト付け用に加工されたヒンジ。丈夫さと耐久性を優先的に考慮したものであろうし、同時に互換性も持ち合わせていそうだ。フロントガラスが壊れた時は特殊な工具などは必要なく手持ちのスパナやモンキーレンチで対応が可能に思える。丈夫で無駄のないデザイン。そして調節やメインテナンス、更に修理のやり易さにパーツの互換性などがシンプルなんだけど実は深く考えて設計してある。こういった所に技術とか技というものを観る事が出来ると勝手に解釈した。
座席と助手席の空間にあるのはディストリビューターであろうか?
水に浸してはならない電機系統は人が座った時の胸の位置に座する。
車体の持つスペックが大きく読みやすく車内に記してあります。
これは、軍用車は移動する為の乗り物だけではなくて、道具という幅の広い活用性を示している。
輸送飛行機や貨物列車、あるいはトラック車両での移動時、
車両運搬の為のフックの掛け方とか位置が分り易く記されています。
90度に限りなく近いアプローチアングルの角度。
ああそういえば、このバンパーはジープで引っ張ると千切れるんだな、思い出した。
今後 HMMWE と平行して JLTV という車両がアメリカのミリタリーに採用されつつある。
それに対する軍の要求スペックとは凄まじいものである。以下 WIKIより。
--- 要求仕様 ---
JLTVの要求仕様には以下のような内容が含まれている。
- 車内の暖房システムの性能は、1時間でマイナス40℃を18℃まで上げられるものであること。
- 車内の冷房システムの性能は、40分間で50℃を32℃まで下げられるものであること。
- エンジン、燃料、冷却システム、変速機、電源装置、その他の異常をモニタリング、自己診断するシステムを搭載すること。
- JLTV本体と同等の積載容量のトレーラーを牽引可能で、かつ機動性に悪影響を及ぼさないこと。
- ハンヴィーと同等以上の多用途性、およびM-ATVと同等の対地雷、対爆発物防御能力。
-- 機動性 --
戦術機動
- 未舗装道路、オフロードを最低1,000km、重大な故障なく走行可能であること。
- タイヤ2個がパンクしても走行可能であること。
- 作戦行動可能な標高は、マイナス150mからプラス3,600mであること。
- 作戦行動可能な外気温は、マイナス40℃からプラス50℃であること(前項の空調機能も参照)。
- 外気温が0度以下であっても、暖機運転や車外での補助作業をせず、1分以内に走行可能になること。
- 舗装道路560kmを時速56kmで、あるいはオフロードを480km、標準装備された燃料タンク内のJP-8ジェット燃料のみで走行可能であること。
- 乾燥した路面で、停止状態から時速48kmまで7秒で加速可能であること。
- 水深1.5mの海水内を後付の渡渉キット等を使用せず、浮き上がらずに走行可能なこと。
- 最小旋回半径が7.62m以内であること。
- 60cmの段差を乗り越えられること(前進および後退)。
- 45cmの段差を時速24kmで乗り越えた際に機械的損傷を受けないこと。
- 幅7.6m、角度20°の溝を渡れること。
- 車体の横方向に40%傾斜した、乾燥した硬い路面を走行可能であること。
兵站および戦略機動
- CH-47、CH-53等で吊り下げて空輸可能であること。
- C-130に収容して空輸可能であること。
- 軍で使用される船舶に分解せず搭載し輸送可能であること。
- アメリカ合衆国本土およびNATO各国の鉄道で輸送可能であること。
- 航空機や鉄道、船舶での輸送の準備が30分以内に可能であること。
-- 生存性 --
- M7スモークディスチャージャーを装備すること。
- 追加装甲キットをフィールド上で標準的な工具を使用して付け替え可能であること。
- 追加装甲キット"B-kit"の取り付けは2名の兵士で5時間以内に行なえること。
- 800ポンドの対戦車擲弾に対抗可能な追加装甲を2時間で装着でき、メンテナンスは30分で行なえること。
- 飛散防止内張りを使用し車内を防護すること。
- 車体が被害を受けた際、ドアから迅速に脱出できること。
- エンジン部および兵員室に自動消火システムを備えること。
- エンジン部の火災に対して、出火から検出・消火まで10秒以内に完了すること。
- 上記とは別に、運転手が使用できる手持ち式の消化器を備えること。
- エンジンタンクは車体の外側に装備され、かつJLTV自体の装甲で保護されていること。
- 乗員用の座席は破片からの防護機能を持ったものであること。
- 武装兵士4名が30秒以内に乗車、10秒以内に降車できること。
- 車体の塗装(表面処理)は、自己修復機能を持った塗料を使用すること。
四駆の基本は本来ミリタリービークルにある。という事は既に知られた事実ではあるが、現在の快適なSUVやクロスオーバーな四輪駆動車では認識し難い事であるかも知れない。本来ジープを始めとする四輪駆動車は走破性だけではなくて、運搬性や自己メインテナンスと修理の容易さなど最小の知識と道具があれば人の手に負えるものであったはずだ。本来ランドクルーザーとてそうあるべきである。軍用車量は今後更にハイテク化し重量も重くなるであろう。そして市販の四駆は今後も消費文化に流されて行く。そういった時代であるからこそ時々シンプルなミリタリービークルを眺めて四駆の原点(基本)なるものをリマインドする事が必要なのである。