オートレースなんか、あんなうるさいものどうしてやるんだって、年寄り連中は非難する。事実、一般大衆は故障もなくちゃんと走れば、別にレースに優勝した車種を求める必要もないだろう。
ところが、若い世代、あるいはスピードに興味を持つ人たちとなると、そうじゃないんだ。自動車競走に勝った車に乗りたくてしょうがないんだな。『 ホンダの車は技術が優れているからレースに勝った。その車に俺は乗っているんだ 』というプライドがある。その車を買う事によって、自分に誇りが与えられるんです。一般の人も、だんだんと目が肥えてくれば、必ずそうなりますよ。
本田宗一郎
本田宗一郎が生前に語った彼の観点であり、ホンダのブランドにおける定義の様に感じる。現在もF-1等に参戦続けるホンダの根底には、誇りを持ってホンダの車に乗って欲しいとする意図が存在し、その為にメーカーは挑戦する事を継続している。写真は最新のClassic Motorsports 誌の表紙。この誌を手にした時に本田宗一郎の声が聞こえてきた。この文章を少し訂正するならば、年寄り連中が現在の若者達となり、若い世代は一昔の世代、となる。時代や世代が移行する事によってクルマに対する価値観も変化するのは仕方がない事ではあるが、それでもどんなクルマに乗るのか、という問いに対しては与えられた誇りを感じるクルマに乗りたい。とするのが腑に落ちる応えなのである。