サンタナ モトール(モーター)は1956年から2011年まで存在していたスペインの自動車メーカーです。そのサンタナ モトールが当初の1956年にランドローバー社と提携し1958年から1983年までの25年間に渡ってスペインにてランドローバーをノックダウン生産していました。
今年(2015年)の春に開催されたサンタナトロフィーと称されたこのラリーイベントは、スペインで生産された歴代のランドローバーのシリーズ系を駆ってスペインの Linares という街からジブラルタル海峡を渡って北アフリカのモロッコに渡り、サハラの西端を走破して Marrakech の街までの約2000キロを8日間に渡って走破しました。
イベント自体は大きなものではありません。おそらく古いランドローバーの愛好家位しか知らない程の規模でしかありません。古いランドローバーシリーズで広大な砂漠のフラットダートをラリーという項目を置いて走破するという行為ですが、僕はとても未来的なイベントだなぁと思っています。スペインで生産された多くのランドローバーシリーズが地中海を跨いでアフリカ大陸に渡ったのでしょう。
それは自動車の世界の多様性が実現してきたという現象です。
快適で高性能な四輪駆動車が市場で販売される今日において、そういった四輪駆動車を見て多くの人々はクルマは進化したなぁ、と素直に感じる事と思います。ショールームのピカピカの電子レンジ(レンジローバーの事)を眺めながら、既にやって来た未来を感じます。
自動車の未来とは、古い物が消えて新しい物に置き変わるという理解は完全に間違っているのです。
未来のクルマあるいはクルマ環境というものはハイブリッドやエレクトリックというキーワードでは無いのです。もし未来のキーワードを問われるならば、それは ”多様化の実現” です。豊かなクルマ社会とは古い物が淘汰されて消えて行き新しい物に置き換わる事ではありません。
古いものと新しいものが共に共生、共存し合っていく世界が既に始っています。
旧車に乗ると言う事。そういった価値観は特殊なものでは無く多くの選択の中のひとつに過ぎません。サンタナトロフィーは古いランドローバーで砂漠を走るというイベントではあり、来年も開催されるという保障はありません。しかし、たとえサンタナトロフィーが開催され無くとも世界の多くの場所で似たようなイベントが開催される可能性は高いです。それは自動車が発展してきた経過の結果として多様化が進んでいく現象です。
SANTANA TROPHY 2015
言い方を変えれば、
この時代に古いランドローバーで砂漠を滑走するという事は、
豊かな車社会が既にやってきている証であるという事です。
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