九月は中旬。朝晩の気温は20度に届くことなくジャケットが必要な程に肌寒い。ここはニューヨークから5時間程フリーウェイを北上しカナダとの国境を接したバーモント州である。景色はまだ夏の緑であるが肌に当たる風は既に秋で気温と景色のアンバランスを感じていた。今回仕事で一緒にバーモント州を廻ったオハイオ州から来たアメリカ人のD君は故郷が平地であるが故に山に囲まれた緑豊かな台地を観て感動し、僕はバーモントの山々のスカイラインが故郷である日本の山並みに重なって懐かしく癒される気持ちに酔った。
アメリカ人のVERMONTという発音は日本人がバーモントというのとは異なり、ベモント!と聞こえる。ベモントの静かな町や緑豊かなカントリーロードはニューヨーク周辺の街々と比べると恐ろしく時間がゆっくりと流れている。
バーモントの自然は遠方に観る山や丘と青い空に浮く雲。そして、広がる牧場やとうもろこし畑。更に森に足を踏み入れると野花や野葡萄などのディティル(詳細)が心を楽しませてくれる。人間は花や木、虫や山や川や池と話が出来て心が通じあう。一輪の生花を優しく静かに指の中指と薬指の隙間に挟んで手のひらに包むようにして観ると誰でも花との会話が出来る。そういった経験を重ねる事が例えば4x4を駆ってオフロードを走る事に対する基本姿勢を持ち合わせるという心育ではないかと思う。
ある方から別れ際に頂いた当地の名物メープルシロップ。カエデの樹の樹液を 1/40 に濃縮したものだ。アメリカにはなかなか当地の名物の御土産という物が少ない現実がある。これはまさにこの大地の自然の恵み(精)である。
バーモント州を右往左往して帰ってきました。クルマで走りながらボーッと出来た事が一つの収穫だった。同時に持参したオーバーランドジャーナルの旅に関するアーティクル(記事)に目を通しながら、オーバーランド旅行者達が旅という機会を通じて五感 + 1で感じるフィーリングが大切なのだと思った。自分も自分が感じる(ている)フィーリングを掴んで分析したら生きる上での方向性が見えてくるんじゃないかと自分の中で感じた。心の声を見つけて走る、心の声に従って旅に出る、そういった内容がオーバーランダー達の内的な行動を起す動機なのであろうと理解している。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます