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「ののちゃんのDo科学」なぜ右利きが多いの?

2005-10-11 | 左利き
asahi.comの<be on Sunday>の「ののちゃんのDo科学」で「なぜ右利きが多いの?」という質問に答えています。
ののちゃんと藤原先生との掛け合いでやさしく解説しています。

* なぜ「右」なのかはわからない *
まず、右利きと左利きの人口比率、国によっての違いにふれています。
「日本より米国、女性より男性」に左利きが多い。「発展途上国では右利きがさらに多い」そうです。
 先生 本来(ほんらい)は左利きでも、訓練(くんれん)して右利きになった人が多いからと考えられているわ。おはしは左利きでも字を書くのは右手、という人もいるでしょう。
「訓練(くんれん)して右利きになった人」という表現が気になります。
これでは訓練すれば、左利きを右利きに変えることができる、ことになります。
<右手を使うこと> =(イコール)<右利き> という考えなんでしょうか?

次に、右利きと左利きをどのように分けるのか、基準をたずねています。

ここでは、エディンバラ利き手調査をあげて説明しています。

さらに、なぜ右利き左利きになるのか、その理由について聞いています。
 先生 実は、そこが難(むずか)しいの。初めから、人間という生き物が右利きが多いようにできているのか、右利きに便利(べんり)な社会がなりたつに連(つ)れて、右利きの人が増えてきたのか、結論は出ていないわ。洞窟(どうくつ)に描かれた大昔(おおむかし)の絵は左向きの顔が多いから、描いた人は右利きだという人もいるし、人類初期(じんるいしょき)の道具(どうぐ)が右利き用だった影響(えいきょう)だという説もある。
この辺の説明はややあいまいなところがあります。
「右利きに便利(べんり)な社会がなりたつに連(つ)れて、右利きの人が増えてきた」というのは、社会的文化的な影響をさしているのでしょうか、それとも、適者生存による遺伝的なものをさしているのでしょうか。

右利きの定義があいまいだからかもしれません。
右手を使えば、右利きというのなら社会的文化的影響は大ですが、自然な動作のみを利き手の判定材料に採用すれば、そういう影響は少なくなり、右利きの割合も減ることになります。

日本では、上記のエディンバラ利き手調査にかわって、字を書く動作をはずした、日本人向きに改良したH.N.きき手テストが使われることが多いようです。(『左ききでいこう!』フェリシモ出版)

私が今までに勉強して利き手の発生に関して認識していることは、次の二点です。

一、利き手の発生が左右の脳の機能分化を促したのか、左右の脳の機能分化が利き手を発生させたのか、どちらが先なのか確かなことはわからない。
二、その利き手がどうして左でなく右なのか、も不明である。

* 左利き右利きの違いを理解するのはむずかしい *
利き手の定義というのも、実はけっこうあいまいなところがあって、何を利き手というかについて、一般の人と利き手関係の専門の研究者とでは違っている場合も少なくありません。

時に、科学者でも右利きの人では、右利き左利きの違いというものを本当は理解していないのでは、と思えるような発言をする場合があります。
たとえば、ハサミのグリップ(握りの指を入れる部分)が対称形であればそれで両利き用だと書いている(そうとしか解釈できない記述がある)、右と左に関する一般向け科学解説書(根平邦人『生物界の左と右』共立出版)があります。刃のかみ合わせの違いに気付いていないのです。

(科学者といっても、日常的なちょっとしたことも理解できていない場合があります。私も含めて、皆さん、注意しましょう。知ってるつもりにならないように! また、科学者や文化人、知識人の発言だからと、頭から信じ込まないように!)

*
「お母さんのおなかにいる赤ちゃんは、もう利き手が決まっている」という、最近の研究発表も入れて、生得的なものだという意見も紹介しています。

最後に、左右の脳の存在や言語と脳の関係など、利き手と脳との関係についてふれて締めくくっています。

* 左利きの人のためにもう少し神経を使って欲しかった * 
社会的文化的影響をどう捉えるか、また、左利きになるメカニズムの説明に関する記述にも、右利き寄りな感じがして、ちょっと不満を感じます。
右手使いへの変更指導を容認させる、あるいは、左利きは(右利きの人と比べて)左脳の発達が劣っている結果であるかのような読み方ができる表現は問題ありではないか、と感じました。
左の脳(大脳左半球(はんきゅう))の成長に関係する遺伝子(いでんし)があって、発達(はったつ)を抑(おさ)える場合があると考えたらどう?
全体の印象として、限られた字数でわかりやすく説明しようとして、結果として誤解を招きかねない表現になっているような気がしました。
右利きの人には気にならないのかもしれませんが、私にはデリケートな話題であり、もうすこし神経を使って欲しいと感じました。


asahi.com
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【ののちゃんのDo科学】なぜ右利きが多いの?
(取材協力=脳血管研究所教授・杉下守弘さん、国立科学博物館人類研究部室長・溝口優司さん、構成=冨岡史穂)

*
ちなみに、杉下守弘さんは、ジーニー・ヘロン編集『左きき学』西村書店 の監訳者の一人であり、左利きの人の言語と脳についての章を含む『言語と脳』講談社学術文庫 という著書があります。
 
※本稿は、ココログ版「レフティやすおのお茶でっせ」より転載して、テーマサロン◆左利き同盟◆に参加しています。
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