レフティやすおの新しい生活を始めよう!

50歳からが人生の第二段階、中年の始まりです。より良き老後のために良き習慣を身に付けて新しい生活を始めましょう。

私の読書論162-小説の王道-恋愛小説(2)ハッピーエンド型・悲恋型-「楽しい読書」第330号

2022-11-16 | 本・読書
古典から始める レフティやすおの楽しい読書【別冊 編集後記】

2022(令和3)年11月15日号(No.330)
「私の読書論162-小説の王道、それは恋愛小説か?(2)
ハッピーエンド型・悲恋型」


------------------------------------------------------------------
◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
------------------------------------------------------------------
2022(令和3)年11月15日号(No.330)
「私の読書論162-小説の王道、それは恋愛小説か?(2)
ハッピーエンド型・悲恋型」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 今回も、「小説の王道とは恋愛小説か」の2回目。
 いずれ、
 私の選ぶ「世界の十大(重大?)[小]恋愛小説」
 を発表する予定ですが、
 まずはその前に、もう少し恋愛小説について見ておこうと思います。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
  ~ 小説の王道は恋愛小説である ~
 「世界の十大(重大?)[小]恋愛小説」の試みへの序(2)
  恋愛小説の2パターン――ハッピーエンド型・悲恋型
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ●恋愛小説の2パターン

恋愛小説には大きく分けて二種類あると思います。


一つは、最後に愛し合う二人が結ばれるハッピーエンド型で、
もう一つは、片方の死によって恋が終わる悲恋型です。

ハッピーエンド型の代表は、
古代ギリシアのロンゴス『ダフニスとクロエー』や、
日本の三島由紀夫『潮騒』
(三島由紀夫版『ダフニスとクロエー』と呼ばれる)など。

ジェイン・オースティン『高慢と偏見』もそうですね。
映画で知られる、私の好きな『フレンズ―ポールとミシェル』も、
いろいろと苦難の末に結ばれる訳で、ハッピーエンド型です。


一方、悲恋型の代表は(小説ではないのですが)、
イギリスのシェイクスピア『ロミオとジュリエット』や、
日本では、伊藤左千夫『野菊の墓』が代表格でしょう。

私の大好きな小説である、
北杜夫版『ダフニスとクロエー』といわれる『神々の消えた土地』や、
ロバート・ネイサン『ジェニーの肖像』も恋人の死で終わる悲恋型。


どちらが王道かと問われると困るのですが、
どちらも王道で、まあ、所詮、恋愛というものは、
成就するか破綻するかでしょうし、
そうしますと、結末はハッピーエンドか悲恋かでしょう。
どちらもそれぞれに意義のある内容になります。


 ●失恋ものは?

今ふっと思ったのですが、ある意味悲恋ともいえますが、
失恋ものもありましたね。

失恋ものは、悲恋型ではないでしょう。

失恋は、二人の気持ちがすれ違うところに原因があるのでしょうから、
二人の力でなんとか出来る可能性のあるものでしょう。

江國香織さんと辻仁成さんの共作?になっている
『冷静と情熱のあいだ』のように、
一旦分かれてもまた結ばれる?ものもあるように。

*江國 香織『冷静と情熱のあいだ Rosso』角川文庫 2001/9/25

*辻 仁成『冷静と情熱のあいだ Blu』角川文庫 2001/9/20

*江國 香織, 辻 仁成『愛蔵版 冷静と情熱のあいだ』角川書店 2001/6/1


フィリップ・ロスの『さよならコロンバス』も失恋ものの代表格。
身分違いのといいますか、別れの原因として、
宗教の違いが根本にある点が複雑な気分にさせます。


一方、悲恋ものは、死という不可抗力によって二人が引き離され、
結果的に恋愛が破綻するものです。

やり直すことの出来ない一方通行の、
いわば<死すべき人間>ならではの<人生そのもの>という悲劇です。

それ故に、悲劇性は高く、人の心を打つものとなるのでしょう。

失恋そのものは人の命を奪うことはありません。
それに心折れたときのみ、命の問題となるでしょうけれど。

その辺のところが違ってきます。


 ●悲劇性

失恋は、当人にとっては悲劇かもしれません。
しかし、他人から見れば、喜劇になるかもしれませんよね。

それに引き比べ、引き裂かれる恋愛であっても、
死による別れに伴う悲恋は、単なる失恋とは違い、
愛し合っているにもかかわらず訪れる、まさに悲劇です。

先に挙げた『ロミオとジュリエット』や『野菊の墓』などは、
なんともいえず、人の心に食い込むものがあります。

私の好きな『ジェニーの肖像』も、
<時間を超える恋>ものである点以外にも、
この死による別れという悲劇性が心を打ちます。

ナポレオンも愛読したといわれる
サン=ピエールの『ポールとヴィルジニー』も、
『ダフニスとクロエー』型の、自然の中で育った幼なじみの恋人たちが
あれこれあったのち、死によって引き離される物語です。

『ジェニーの肖像』のラストは、この作品のラストを思い起こさせます。

*『ポールとヴィルジニー』サン=ピエール 鈴木 雅生/訳
光文社古典新訳文庫 2014/7/10



死による別れといいますと、
ここまではどちらか一方の、というものでしたが、
プレヴォ『マノン・レスコー』の場合は、
二人の死によるラストだったかと思います。
(記憶で書いていますので、誤りがあるかもしれません。)

『マノン・レスコー』型の小説としては、
小デュマ(デュマ・フィス)の『椿姫』も死による別れの悲恋ですね。

*『マノン・レスコー』アントワーヌ・フランソワ プレヴォ
野崎 歓/訳 光文社古典新訳文庫 2017/12/7

*『椿姫』アレクサンドル デュマ・フィス 永田 千奈/訳
光文社古典新訳文庫 2018/2/8


 ●恋愛小説パターン(メモ)

ここで簡単に恋愛小説のパターンと流れをメモしておきましょう。

〔自然育ちの幼なじみの恋人たちもの〕
・『ダフニスとクロエー』(幸)――『ポールとヴィルジニー』(悲)
   ┗『フレンズ』(幸)     ┗『ジェニーの肖像』(悲)
  ┗『潮騒』(幸)       ┗『野菊の墓』(悲)
                ┗『神々の消えた土地』(悲)
               ┗『世界の中心で、愛をさけぶ』(悲)
〔娼婦との恋愛もの〕
・『マノン・レスコー』(悲)――『椿姫』(悲)
〔中流地主階級の男女の恋愛〕
・『高慢と偏見』(幸)――(?)『ロミオとジュリエット』(悲)


世の恋愛小説はもっとたくさんありますが、
私はあまり読んでいませんので、
これ程度にしかリストアップできません。
何かしら参考になれば、幸いです。

片山恭一『世界の中心で、愛をさけぶ』は、昔でいえば、
1964年の年間ベストセラー、大島みち子・河野実『愛と死をみつめて』
の現代版というところでしょう。

*『世界の中心で、愛をさけぶ』片山 恭一 小学館文庫 2006/7/6

*『愛と死をみつめて ポケット版』大島みち子, 河野実 だいわ文庫
2006/2/9

もっと色々と多くの作品を読んでいれば、と悔やまれます。

 ・・・

いよいよ次回から
私の選ぶ「世界の十大(重大?)[小]恋愛小説」を
紹介してみようと思います。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 ★創刊300号への道のり は、お休みします。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

本誌では、「私の読書論162-小説の王道、それは恋愛小説か?(2) ハッピーエンド型・悲恋型」と題して、今回も全文転載紹介です。

<私の選ぶ「世界の十大(重大?)[小]恋愛小説」>への助走として、恋愛小説について語っています。
なにしろ、恋愛小説の読書量が少ないので、あまり適切な例を挙げられず、説得力のない文章になっています。
今更どうこう言っても仕方がないので、少しずつでも新規に有名な作品を読み足しながら進めていこう、と思います。

 ・・・

*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『(古典から始める)レフティやすおの楽しい読書』

『レフティやすおのお茶でっせ』
〈メルマガ「楽しい読書」〉カテゴリ

--
『レフティやすおのお茶でっせ』より転載
私の読書論162-小説の王道-恋愛小説(2)ハッピーエンド型・悲恋型-「楽しい読書」第330号
--

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 左利きと茶道および日本の伝... | トップ | 『左組通信』復活計画<左利... »
最新の画像もっと見る

本・読書」カテゴリの最新記事