![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/47/2c/fc6152ab914981b4da683a85c53bc918.jpg)
『古典から始める レフティやすおの楽しい読書』【別冊 編集後記】
2023(令和5)年8月15日号(No.348)
「私の読書論173-友人・渡瀬謙の新刊・
静かな人のための『静かな営業』を読んでみた」
------------------------------------------------------------------
◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
------------------------------------------------------------------
2023(令和5)年8月15日号(No.348)
「私の読書論173-友人・渡瀬謙の新刊・
静かな人のための『静かな営業』を読んでみた」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
本来ですと、「新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2023から」の
三回目「集英社文庫 ナツイチ2023 この夏、一冊分おおきくなろう。」
からの一冊を紹介する予定でしたが、
大阪も連日35度を超え、時に37度、38度といった猛暑の日々、
予定していた、東野圭吾『白夜行』が読み切れず――
文庫本860ページ、十年ほど前に一度読んでいるので大丈夫、
と軽く見ていたのですが、メモ取りしながら読むと……。
で、時間切れとなり、予定を変更することにしました。
今月初めに本を贈っていただいていた、
友人で左利き仲間の渡瀬謙さんの新刊を取り上げます。
彼の著作を取り上げるのは、6月に一度ありました。
2023(令和5)年6月15日号(No.344)
「私の読書論171-渡瀬謙のビジネス書の新刊
『トップセールスが絶対やらない営業の行動習慣』から」
2023.6.15
私の読書論171-渡瀬謙『トップセールスが絶対やらない営業の行動習慣』から-楽しい読書344号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/06/post-929a0f.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/59ae185f3daf8eebaec62cad6639e4f4
*渡瀬謙『トップセールスが絶対やらない営業の行動習慣』
日本実業出版社 2023/5/26
今回は正味営業の本をその面から読みますが、
そこは私流の読書論ですので、
前回同様、単なる営業本の紹介とは限りません。
では――。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
- 「静かな人」の生き方とは、自己アピールとは -
~ 営業のノウハウを処世術として人生に活かす(2) ~
渡瀬謙『静かな営業
「穏やかな人」「控えめな人」こそ選ばれる30の戦略』
(PHP研究所 2023/7/20)から
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
●本書『静かな営業』について
渡瀬謙『静かな営業 「穏やかな人」「控えめな人」こそ選ばれる
30の戦略』PHP研究所 2023/7/20
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/39/523ea6b2d5eb4dc970f8e50b5a9f30c2.jpg)
(画像:献本いただいた書状と共に)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/47/2c/fc6152ab914981b4da683a85c53bc918.jpg)
(画像:帯を外した本書『静かな営業』)
出版社の紹介文――
《「内向的な人」「無口な人」「控えめな人」でも売れる
ではなく
「内向的な人」「無口な人」「控えめな人」
だからこそ、売れる!
悩める2000人以上の営業パーソンを救ってきた、
常識を覆すメソッドを紹介!》
<目次>
第1章 時代は「静かな売り手」を求めている
第2章 「相手がイヤがること」など、何もしなくていい
第3章 「自分の弱点」を活かす工夫をすればいい
第4章 「繊細な人」が最小のコミュニケーションで
最大の効果を出す方法
第5章 生真面目すぎるあなただから、信頼される
第6章 「静かに売る」ことだけを考えれば、売れる
(コラム)
●タイトル『静かな営業』に納得!
まず初めに、この本のことを知ったのは、渡瀬さんのメルマガでした。
まず『静かな営業』というタイトルに納得しました。
なるほどなあ、という感じでした。
以前から渡瀬さんは、従来の「元気な」「明るい」
「ハイテンション」な営業に疑問を抱いておられました。
そういう方法は、高度経済成長時代の営業手法で、
現代では嫌われる最たるものだ、と。
では現代において実績を上げているのは、どういうものかといいますと、
意外なことに、
内向型で無口で口下手で、気の弱い押しの弱い営業パーソンが
売上を出すのだ、と。
それは、内向型の人の控えめな売り方が好意を持たれるからだ。
なぜそれが有効かというと、
相手のことを思い、相手にフォーカスした相手本位の対応だから。
要は、売ることよりも、相手の信頼を得ることを重視した、
対等のWINWINの関係を築こうとする姿勢が好感されるからだ、と。
で、こういう押しつけにならない、うるさすぎない営業を、
そのものズバリと「静かな営業」と呼んだわけです。
従来は、(この本の前著ともいうべきPHP研究所の著作では)
『しゃべらない営業』とされていました。
営業の方法の基本は全く変わりません。
一部、時代に合わせて変更されている程度(例:ファックス→メール)。
呼び名が変わっただけ。
よりスマートな名前になっただけですね。
内向的な「静かな人」による、落ち着いた「静かな営業」。
とても気に入りました。
この本は、そういう「静かな人」たちのための、
営業のマインド的なものを教える本です。
●タイトルを付ける難しさ
渡瀬さんの個人メルマガ
2023/07/27「サイレントセールスのススメ」
[959号]新刊『静かな営業』の裏解説
------------------------------------------------------------------
渡瀬 謙の独自配信メルマガ
◆無料メルマガ「サイレントセールスのすすめ」
https://i-magazine.jp/bm/p/f/tf.php?id=watasemail
------------------------------------------------------------------
に掲載されていた、この「裏解説」にあったのですが――
「内向型」という言葉を使ったタイトルゆえに、
手に取りにくいと感じる読者がいた、というお話です。
ご自分の本は、ネットでよく売れている、といい、
その理由の一つが、この「内向型」という言葉にあるのではないか、
という疑問。
これは理解できます。
私自身は左利きで、「左利き用」と銘打たれた商品を手に取るとき、
ちょっと躊躇します。
レジに持っていくときに、何かしら恥ずかしさがあります。
昔は左利きといえば、○○のように考えられていたものでした。
そこで、自ら左利きとカミングアウトするのははばかられるものでした。
商品を手に取り、レジに運ぶというのは、
その言葉(およびそれ自体)にコンプレックスのある人には、
ちょっとキツいものがあります。
私は今でも正直考えてしまって、
手を出さないまま終わるケースがあります。
左利きの本をネットで購入したりするのは、
単に近くの本屋さんに置いていないから、だけではありません。
私の「左利き」コンプレックス同様に、
「内向型」等の言葉も、どちらかといえばマイナスイメージの言葉で、
それがネックになり、読んでみたいのに手に取れない、
というもどかしさを感じる人がいてもおかしくはありません。
そういう意味で、「静かな人」向けの「静かな営業」という発想は、
マイナスのイメージが払拭されていて、
正当に評価できる機会を与えるものとなっているでしょう。
●自己アピールとしての営業行動
この本は営業の本ですけれど、
営業といっても、「相手との信頼関係を築け」という内容で、
そのための自己アピールの方法を解説している本でもあります。
営業という行為は、商品を売るときに行うものだけではない、でしょう。
自分をアピールするというのも、営業の一つと考えられます。
生きてゆく上で、自分を知ってもらうということは重要です。
リタイア組であっても、新たな人間関係を築く必要が出てきます。
逆に言えば、リタイア組こそ、
自分を「売ってゆく」必要があるかもしれません。
リタイア組となりますと、
どうしても友人知人との交際範囲がどんどん縮小してゆきます。
自然と縁が切れる人、亡くなる人もでてきます。
そんななか、一人寂しく孤立してしまうこともあるかもしれません。
一方で、スマホにしろ、マイナンバーカードもそうですが、
次々とIT関係など、色々わかりにくいことがでてきます。
ちょっと人に聞けばわかることでも、
聞く相手がいないというケースも出てきます。
自分の便利のために他人を利用するというのではないのですが、
何事であれ、ちょっと話を聞いてもらえる人がいるのは、
助かるものです。
若い人と話せば、若いエキスを吸収できるものです。
肉体は若返らないけれど、心は若返ります。
元気がもらえます。
賢いお年寄りと近づきになれば、いろんな経験を教えてもらえます。
老後も長くなってきた昨今ですので、積極的といわなくても、
少しは自分をアピールして、交友範囲を拡大するように心掛ける方が、
楽しい時間を過ごせます。
●自己紹介は特徴をより具体的に
人間関係というものは、実は単純なもので、
ほんのちょっとした挨拶や声かけから始まるものです。
そういう自己アピールの仕方なども、この本には書いてあります。
コラムにある自己紹介の仕方がそうです。
「相手から声をかけてもらえる「自己紹介」のコツ」p.70
ここに書かれている営業の場面に限らず、
人生では自己紹介の場面というものがあるものです。
そんなときに知っていて役立つ知恵かもしれません。
それは、より具体的に自己の特徴をアピールするということ。
『孫子』の兵法に「彼を知り己を知れば百戦殆からず」
といいますように、相手はもちろんですが、己についてよく知ることが、
そして、それを正しくアピールできれば、友達も自ずと増えてきます。
私は「左利きライフ研究家」を自称していますが、
これも渡瀬さんの本にあった知恵を拝借して考案したものです。
渡瀬さんは「サイレントセールストレーナー」と名のっておられます。
これは、そのまま「静かな営業トレーナー」ということになります。
「名は体を表す」などというように、
単なる「営業コンサル」というのではなく、
「無口で口下手、話し下手の営業さん向けのコンサルですよ」
というアピールですね。
もしあなたが内向型のそういう「静かな人」なら、
単なる「営業コンサル」よりも、どうせなら、
こういう「静かな人」向け専門の営業コンサルに教えを乞うほうが
有効ではないか、という気になるのではないでしょうか。
●営業ノウハウを生き方に活かす
本書で紹介された営業ノウハウを実際に、
リタイア組も含めた私たちの生き方に活かすことができます。
例えば、《自分のエリアで勝負する》というもの。
サッカーの試合でも、アウェーで戦うよりホームで戦う方が有利、
といわれます。
自分にとって居心地の悪い場所では、精神的に落ち着かず、
実力が発揮できないものです。
常に自分の得意エリアで戦うように心掛ければ、
まさに百戦危うからずですよね。
生きていますと、何かしら、壁にぶつかるときがあります。
その時に、壁を乗り越えようとせず、避けて通る、という方法もある、
と渡瀬さんを説きます。
壁は乗り越えなくちゃ、
というふうに思い込んでいる人も少なくないでしょう。
でも、嫌なことから逃げるという手もあるのだ、とよく言われますよね。
そういうものです。
●個性を武器にする――自然体で生きる
もう一つは、自然体の自分のままで接する、ということ。
弱点を含めて素のままの自分で、
自分を飾らないで人と接するということ。
誰もが何かしら苦手をすることやコンプレックスを抱いているもの。
そういうコンプレックスや苦手なものも、
実は他人と比較したときの感じるもので、
比較しなければ、自分の持つ一つの特徴にすぎない――
優劣ではなく違いだ、言い換えれば個性だ、と渡瀬さんはいいます。
その個性はかならず武器になる、とも。
無口なのに営業をやってるなど、ギャップが生まれるからだ、と。
そのギャップが他人様にアピールできる要素となる。
このように、自分の性格を個性としてそのまま出す生き方――
その方が楽ですよね。
毎日演技して生きているのは大変です。
役者が天職といえる人がいたとしても、
そんな人でもホントのところはどうなんでしょうか。
無理せず生きていく方がいいですよね、絶対。
●最後に一言だけ
こういう風に見てきますと、やっぱり、一つの生き方論的、
処世術的な要素が感じられる営業の本といえるのではないでしょうか。
もしあなたが「静かな人」なら、
一度手に取っても損はないと思います。
・・・
書かない方が、渡瀬さんは喜ぶかもしれませんが
(けなされるのは嫌だ、という人なので。私もそうですよ!)、
やっぱり気がついてしまった限りは書いておく方が、
結果的に良心的ではないか、と思いました。
渡瀬さんも本の中で、どんな商品にも「悪い点」はある、といい、
《マイナス情報こそ先に伝えてしまいましょう》p.162
と書いておられます。
先のメルマガの「裏解説」に書かれていたことですが、
タイトルを付けるときに影響を受けた本として、
『「静かな人」の戦略書
──騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法』
ジル・チャン/著 神崎 朗子/訳 ダイヤモンド社 2022/6/29
というベストセラーを挙げておられます。
私も内向型の「静かな人」の部類なので気になり、本屋さんで見ました。
すると、装丁も黒に四角い白地の枠で書名が入っている感じで、
一見、『静かな営業』と似通って見えます。
「静かな人」という言葉は、
この本『「静かな人」の戦術書』のオリジナルではありません。
調べた範囲では、例えば『静かな人ほど成功する』
(ウェイン・W・ダイアー/著 幸福の科学出版 2007/2/26)
がありました。
しかも、「静かな営業」という言葉は、
そこからさらに一歩進んでいます。
この書名は、オリジナルといっていいでしょう。
そういう意味では、最初に知らずにタイトルや装丁を褒めたわけですが、
この装丁の相似はちょっと残念な気がしました。
・・・
さて、台風も近づいています。
時間に追われてかなりドタバタとした紹介になってしまいました。
かなりメモ取りもしていたのですが、活かせないままです。
一応、テーマやその展開など意識して書いているつもりなのですが、
思うようにはできていません。
ご勘弁ください。
最後の最後に、著者の裏解説から一言――
《長い人生を考えたときに、
何を優先して頑張るべきかを考えるきっかけにしてほしいのだ。》
――そういう本です。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
本誌では、「私の読書論173-友人・渡瀬謙の新刊・静かな人のための『静かな営業』を読んでみた」と題して、今回も全文転載紹介です。
時間に追われつつ書いたものですが、少しは何かの足しになっていれば、幸いです。
・・・
*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『(古典から始める)レフティやすおの楽しい読書』
『レフティやすおのお茶でっせ』
〈メルマガ「楽しい読書」〉カテゴリ
--
『レフティやすおのお茶でっせ』より転載
私の読書論173-友人渡瀬謙の新刊・静かな人のための『静かな営業』を読んでみた-楽しい読書348号
--
2023(令和5)年8月15日号(No.348)
「私の読書論173-友人・渡瀬謙の新刊・
静かな人のための『静かな営業』を読んでみた」
------------------------------------------------------------------
◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
------------------------------------------------------------------
2023(令和5)年8月15日号(No.348)
「私の読書論173-友人・渡瀬謙の新刊・
静かな人のための『静かな営業』を読んでみた」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
本来ですと、「新潮・角川・集英社<夏の文庫>フェア2023から」の
三回目「集英社文庫 ナツイチ2023 この夏、一冊分おおきくなろう。」
からの一冊を紹介する予定でしたが、
大阪も連日35度を超え、時に37度、38度といった猛暑の日々、
予定していた、東野圭吾『白夜行』が読み切れず――
文庫本860ページ、十年ほど前に一度読んでいるので大丈夫、
と軽く見ていたのですが、メモ取りしながら読むと……。
で、時間切れとなり、予定を変更することにしました。
今月初めに本を贈っていただいていた、
友人で左利き仲間の渡瀬謙さんの新刊を取り上げます。
彼の著作を取り上げるのは、6月に一度ありました。
2023(令和5)年6月15日号(No.344)
「私の読書論171-渡瀬謙のビジネス書の新刊
『トップセールスが絶対やらない営業の行動習慣』から」
2023.6.15
私の読書論171-渡瀬謙『トップセールスが絶対やらない営業の行動習慣』から-楽しい読書344号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2023/06/post-929a0f.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/59ae185f3daf8eebaec62cad6639e4f4
*渡瀬謙『トップセールスが絶対やらない営業の行動習慣』
日本実業出版社 2023/5/26
今回は正味営業の本をその面から読みますが、
そこは私流の読書論ですので、
前回同様、単なる営業本の紹介とは限りません。
では――。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
- 「静かな人」の生き方とは、自己アピールとは -
~ 営業のノウハウを処世術として人生に活かす(2) ~
渡瀬謙『静かな営業
「穏やかな人」「控えめな人」こそ選ばれる30の戦略』
(PHP研究所 2023/7/20)から
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
●本書『静かな営業』について
渡瀬謙『静かな営業 「穏やかな人」「控えめな人」こそ選ばれる
30の戦略』PHP研究所 2023/7/20
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/39/523ea6b2d5eb4dc970f8e50b5a9f30c2.jpg)
(画像:献本いただいた書状と共に)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/47/2c/fc6152ab914981b4da683a85c53bc918.jpg)
(画像:帯を外した本書『静かな営業』)
出版社の紹介文――
《「内向的な人」「無口な人」「控えめな人」でも売れる
ではなく
「内向的な人」「無口な人」「控えめな人」
だからこそ、売れる!
悩める2000人以上の営業パーソンを救ってきた、
常識を覆すメソッドを紹介!》
<目次>
第1章 時代は「静かな売り手」を求めている
第2章 「相手がイヤがること」など、何もしなくていい
第3章 「自分の弱点」を活かす工夫をすればいい
第4章 「繊細な人」が最小のコミュニケーションで
最大の効果を出す方法
第5章 生真面目すぎるあなただから、信頼される
第6章 「静かに売る」ことだけを考えれば、売れる
(コラム)
●タイトル『静かな営業』に納得!
まず初めに、この本のことを知ったのは、渡瀬さんのメルマガでした。
まず『静かな営業』というタイトルに納得しました。
なるほどなあ、という感じでした。
以前から渡瀬さんは、従来の「元気な」「明るい」
「ハイテンション」な営業に疑問を抱いておられました。
そういう方法は、高度経済成長時代の営業手法で、
現代では嫌われる最たるものだ、と。
では現代において実績を上げているのは、どういうものかといいますと、
意外なことに、
内向型で無口で口下手で、気の弱い押しの弱い営業パーソンが
売上を出すのだ、と。
それは、内向型の人の控えめな売り方が好意を持たれるからだ。
なぜそれが有効かというと、
相手のことを思い、相手にフォーカスした相手本位の対応だから。
要は、売ることよりも、相手の信頼を得ることを重視した、
対等のWINWINの関係を築こうとする姿勢が好感されるからだ、と。
で、こういう押しつけにならない、うるさすぎない営業を、
そのものズバリと「静かな営業」と呼んだわけです。
従来は、(この本の前著ともいうべきPHP研究所の著作では)
『しゃべらない営業』とされていました。
営業の方法の基本は全く変わりません。
一部、時代に合わせて変更されている程度(例:ファックス→メール)。
呼び名が変わっただけ。
よりスマートな名前になっただけですね。
内向的な「静かな人」による、落ち着いた「静かな営業」。
とても気に入りました。
この本は、そういう「静かな人」たちのための、
営業のマインド的なものを教える本です。
●タイトルを付ける難しさ
渡瀬さんの個人メルマガ
2023/07/27「サイレントセールスのススメ」
[959号]新刊『静かな営業』の裏解説
------------------------------------------------------------------
渡瀬 謙の独自配信メルマガ
◆無料メルマガ「サイレントセールスのすすめ」
https://i-magazine.jp/bm/p/f/tf.php?id=watasemail
------------------------------------------------------------------
に掲載されていた、この「裏解説」にあったのですが――
「内向型」という言葉を使ったタイトルゆえに、
手に取りにくいと感じる読者がいた、というお話です。
ご自分の本は、ネットでよく売れている、といい、
その理由の一つが、この「内向型」という言葉にあるのではないか、
という疑問。
これは理解できます。
私自身は左利きで、「左利き用」と銘打たれた商品を手に取るとき、
ちょっと躊躇します。
レジに持っていくときに、何かしら恥ずかしさがあります。
昔は左利きといえば、○○のように考えられていたものでした。
そこで、自ら左利きとカミングアウトするのははばかられるものでした。
商品を手に取り、レジに運ぶというのは、
その言葉(およびそれ自体)にコンプレックスのある人には、
ちょっとキツいものがあります。
私は今でも正直考えてしまって、
手を出さないまま終わるケースがあります。
左利きの本をネットで購入したりするのは、
単に近くの本屋さんに置いていないから、だけではありません。
私の「左利き」コンプレックス同様に、
「内向型」等の言葉も、どちらかといえばマイナスイメージの言葉で、
それがネックになり、読んでみたいのに手に取れない、
というもどかしさを感じる人がいてもおかしくはありません。
そういう意味で、「静かな人」向けの「静かな営業」という発想は、
マイナスのイメージが払拭されていて、
正当に評価できる機会を与えるものとなっているでしょう。
●自己アピールとしての営業行動
この本は営業の本ですけれど、
営業といっても、「相手との信頼関係を築け」という内容で、
そのための自己アピールの方法を解説している本でもあります。
営業という行為は、商品を売るときに行うものだけではない、でしょう。
自分をアピールするというのも、営業の一つと考えられます。
生きてゆく上で、自分を知ってもらうということは重要です。
リタイア組であっても、新たな人間関係を築く必要が出てきます。
逆に言えば、リタイア組こそ、
自分を「売ってゆく」必要があるかもしれません。
リタイア組となりますと、
どうしても友人知人との交際範囲がどんどん縮小してゆきます。
自然と縁が切れる人、亡くなる人もでてきます。
そんななか、一人寂しく孤立してしまうこともあるかもしれません。
一方で、スマホにしろ、マイナンバーカードもそうですが、
次々とIT関係など、色々わかりにくいことがでてきます。
ちょっと人に聞けばわかることでも、
聞く相手がいないというケースも出てきます。
自分の便利のために他人を利用するというのではないのですが、
何事であれ、ちょっと話を聞いてもらえる人がいるのは、
助かるものです。
若い人と話せば、若いエキスを吸収できるものです。
肉体は若返らないけれど、心は若返ります。
元気がもらえます。
賢いお年寄りと近づきになれば、いろんな経験を教えてもらえます。
老後も長くなってきた昨今ですので、積極的といわなくても、
少しは自分をアピールして、交友範囲を拡大するように心掛ける方が、
楽しい時間を過ごせます。
●自己紹介は特徴をより具体的に
人間関係というものは、実は単純なもので、
ほんのちょっとした挨拶や声かけから始まるものです。
そういう自己アピールの仕方なども、この本には書いてあります。
コラムにある自己紹介の仕方がそうです。
「相手から声をかけてもらえる「自己紹介」のコツ」p.70
ここに書かれている営業の場面に限らず、
人生では自己紹介の場面というものがあるものです。
そんなときに知っていて役立つ知恵かもしれません。
それは、より具体的に自己の特徴をアピールするということ。
『孫子』の兵法に「彼を知り己を知れば百戦殆からず」
といいますように、相手はもちろんですが、己についてよく知ることが、
そして、それを正しくアピールできれば、友達も自ずと増えてきます。
私は「左利きライフ研究家」を自称していますが、
これも渡瀬さんの本にあった知恵を拝借して考案したものです。
渡瀬さんは「サイレントセールストレーナー」と名のっておられます。
これは、そのまま「静かな営業トレーナー」ということになります。
「名は体を表す」などというように、
単なる「営業コンサル」というのではなく、
「無口で口下手、話し下手の営業さん向けのコンサルですよ」
というアピールですね。
もしあなたが内向型のそういう「静かな人」なら、
単なる「営業コンサル」よりも、どうせなら、
こういう「静かな人」向け専門の営業コンサルに教えを乞うほうが
有効ではないか、という気になるのではないでしょうか。
●営業ノウハウを生き方に活かす
本書で紹介された営業ノウハウを実際に、
リタイア組も含めた私たちの生き方に活かすことができます。
例えば、《自分のエリアで勝負する》というもの。
サッカーの試合でも、アウェーで戦うよりホームで戦う方が有利、
といわれます。
自分にとって居心地の悪い場所では、精神的に落ち着かず、
実力が発揮できないものです。
常に自分の得意エリアで戦うように心掛ければ、
まさに百戦危うからずですよね。
生きていますと、何かしら、壁にぶつかるときがあります。
その時に、壁を乗り越えようとせず、避けて通る、という方法もある、
と渡瀬さんを説きます。
壁は乗り越えなくちゃ、
というふうに思い込んでいる人も少なくないでしょう。
でも、嫌なことから逃げるという手もあるのだ、とよく言われますよね。
そういうものです。
●個性を武器にする――自然体で生きる
もう一つは、自然体の自分のままで接する、ということ。
弱点を含めて素のままの自分で、
自分を飾らないで人と接するということ。
誰もが何かしら苦手をすることやコンプレックスを抱いているもの。
そういうコンプレックスや苦手なものも、
実は他人と比較したときの感じるもので、
比較しなければ、自分の持つ一つの特徴にすぎない――
優劣ではなく違いだ、言い換えれば個性だ、と渡瀬さんはいいます。
その個性はかならず武器になる、とも。
無口なのに営業をやってるなど、ギャップが生まれるからだ、と。
そのギャップが他人様にアピールできる要素となる。
このように、自分の性格を個性としてそのまま出す生き方――
その方が楽ですよね。
毎日演技して生きているのは大変です。
役者が天職といえる人がいたとしても、
そんな人でもホントのところはどうなんでしょうか。
無理せず生きていく方がいいですよね、絶対。
●最後に一言だけ
こういう風に見てきますと、やっぱり、一つの生き方論的、
処世術的な要素が感じられる営業の本といえるのではないでしょうか。
もしあなたが「静かな人」なら、
一度手に取っても損はないと思います。
・・・
書かない方が、渡瀬さんは喜ぶかもしれませんが
(けなされるのは嫌だ、という人なので。私もそうですよ!)、
やっぱり気がついてしまった限りは書いておく方が、
結果的に良心的ではないか、と思いました。
渡瀬さんも本の中で、どんな商品にも「悪い点」はある、といい、
《マイナス情報こそ先に伝えてしまいましょう》p.162
と書いておられます。
先のメルマガの「裏解説」に書かれていたことですが、
タイトルを付けるときに影響を受けた本として、
『「静かな人」の戦略書
──騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法』
ジル・チャン/著 神崎 朗子/訳 ダイヤモンド社 2022/6/29
というベストセラーを挙げておられます。
私も内向型の「静かな人」の部類なので気になり、本屋さんで見ました。
すると、装丁も黒に四角い白地の枠で書名が入っている感じで、
一見、『静かな営業』と似通って見えます。
「静かな人」という言葉は、
この本『「静かな人」の戦術書』のオリジナルではありません。
調べた範囲では、例えば『静かな人ほど成功する』
(ウェイン・W・ダイアー/著 幸福の科学出版 2007/2/26)
がありました。
しかも、「静かな営業」という言葉は、
そこからさらに一歩進んでいます。
この書名は、オリジナルといっていいでしょう。
そういう意味では、最初に知らずにタイトルや装丁を褒めたわけですが、
この装丁の相似はちょっと残念な気がしました。
・・・
さて、台風も近づいています。
時間に追われてかなりドタバタとした紹介になってしまいました。
かなりメモ取りもしていたのですが、活かせないままです。
一応、テーマやその展開など意識して書いているつもりなのですが、
思うようにはできていません。
ご勘弁ください。
最後の最後に、著者の裏解説から一言――
《長い人生を考えたときに、
何を優先して頑張るべきかを考えるきっかけにしてほしいのだ。》
――そういう本です。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
本誌では、「私の読書論173-友人・渡瀬謙の新刊・静かな人のための『静かな営業』を読んでみた」と題して、今回も全文転載紹介です。
時間に追われつつ書いたものですが、少しは何かの足しになっていれば、幸いです。
・・・
*本誌のお申し込み等は、下↓から
(まぐまぐ!)『(古典から始める)レフティやすおの楽しい読書』
『レフティやすおのお茶でっせ』
〈メルマガ「楽しい読書」〉カテゴリ
--
『レフティやすおのお茶でっせ』より転載
私の読書論173-友人渡瀬謙の新刊・静かな人のための『静かな営業』を読んでみた-楽しい読書348号
--