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中国の古典編―漢詩を読んでみよう(6)『楚辞』(4)-楽しい読書287号

2021-02-02 | 本・読書
 ―第287号「古典から始める レフティやすおの楽しい読書」別冊 編集後記

★古典から始める レフティやすおの楽しい読書★
2021(令和3)年1月31日号(No.287)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(6)
『楚辞』(4)屈原の他の作品「九章」」



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◇◆◇◆ 古典から始める レフティやすおの楽しい読書 ◆◇◆◇
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2021(令和3)年1月31日号(No.287)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(6)
『楚辞』(4)屈原の他の作品「九章」」
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 またまた久しぶりに、
 「中国の古典編―漢詩を読んでみよう」の6回目。

今回は、『楚辞』の4回目で、
 屈原の「離騒」以外の他の作品を取り上げてみましょう。


2020(令和2)年6月30日号(No.273)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(3)『楚辞』(1)」

2020.6.30
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(3)『楚辞』(1)
-「楽しい読書」第273号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2020/06/post-da2d6a.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/4674b3200df69fc61b39c71e135b0eea

2020(令和2)年9月30日号(No.279)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(4)『楚辞』(2)
「離騒」前編」

2020.9.30
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(4)『楚辞』(2)「離騒」前編
-楽しい読書279号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2020/09/post-a9bc2d.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/69a03a861ab11437b3e548aa7417dfb9

2020(令和2)年10月31日号(No.281)
「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(5)
『楚辞』(3)「離騒」後編」

2020.10.31
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(5)『楚辞』(3)
-楽しい読書281号
https://lefty-yasuo.tea-nifty.com/ochadesse/2020/10/post-6275d5.html
https://blog.goo.ne.jp/lefty-yasuo/e/49d8229c141f532a6d330c2e1fb45b74


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◆ 「離騒」と同じく屈原の心情を詠う詩 ◆
 中国の古典編―漢詩を読んでみよう(6)
  『楚辞』(4)
  ~ 屈原の他の作品「九章」 ~
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今回の参考文献――

『新書漢文大系・23・楚辞』星川清孝/著 鈴木かおり/編
明治書院

『漢詩を読む 1 『詩経』、屈原から陶淵明へ』
 江原正士、宇野直人/著 平凡社


(画像:書影(タイトル部分)『新書漢文大系・23・楚辞』星川清孝/著 鈴木かおり/編 明治書院 2004.6.20)

 ●「九章」

まずは、「離騒」同様、《屈原放遂後の慨嘆を著した作品》
とされる「九章」から。

この作品は、
《屈原が残した九篇の作品を後人がまとめたもの》とされる。

(『新書漢文大系・23・楚辞』
 「九章(一)惜誦(せきしょう)」<背景>より)

(一)惜誦(せきしょう)
(二)渉江(しょうこう)
(三)哀郢(あいえい)
(四)抽思(ちゅうし)
(五)懐沙(かいしゃ)
(六)思美人(しびじん)
(七)惜往日(せきおうじつ)
(八)橘頌(きつしょう)
(九)悲回風(ひかいふう)

以上、九篇よりなる。

以下、適宜詩編の一部を抜き出し、あらすじを紹介しましょう。


(画像:『楚辞』関連地図(『世界哲学史1』(ちくま新書)p.107の地図(春秋時代―紀元前500年頃の中国)に付記))


(画像:『新書漢文大系・23・楚辞』より「九章(一)惜誦」のページ)


 ●(一)惜誦(せきしょう)

 《惜誦以致愍兮  
   惜(いた)み誦(しょう)して
   以(もつ)て愍(うれ)いを致(いた)し、
  発憤以杼情    
   憤(いきどお)りを発(はつ)して
   以(もつ)て情(じょう)を杼(の)ぶ。
  所非忠而言之兮 
   忠(ちゅう)に非(あら)ずして
   之(これ)を言(い)う所(ところ)あらば、
  指蒼天以為正  
   蒼天(そうてん)を指(ゆび)さして
   以(もつ)て正(せい)と為(な)さん。

  わが君を惜しみ痛んで、辞を誦し、そのためにわざわいを招き、
  私は憤りを発して、真情をのべる。
  もしも真実でないことを私が言うとすれば、
  あの蒼天をさして、誓ってその証としよう。

  (略)

  疾親君而無他兮 
   疾(つと)めて君(きみ)を親(した)しみて他(た)無(な)し、
  有招禍之道也  
   有(また)禍(わざわい)を招(まね)くの道なり。

  努めて君に親しむよりほか考えなかったが、
  またそれが禍を招く道であった。》

(『新書漢文大系・23・楚辞』
 「九章(一)惜誦(せきしょう)」原文・書き下し文・解釈より)

冒頭の一節です。
「離騒」同様、讒言により、
懐王に最初に放遂されたときの作品です。

 ●(二)渉江(しょうこう)、(三)哀郢(あいえい)

(略)

 ●(四)抽思(ちゅうし)、(五)懐沙(かいしゃ)

(略)

 ●(六)思美人(しびじん)

(略)

 ●(七)惜往日(せきおうじつ)

(略)

 ●(八)橘頌(きつしょう)

(略)

 ●(九)悲回風(ひかいふう)

(略)

最後の一節。

 《驟諫君而不聴兮 任重石之何益
   驟〃(しばしば)君(きみ)を諫(いさ)めて聴(き)かれず、
   重石(じゅうせき)を任(にな)うも
   之(こ)れ何(なん)の益(えき)あり。
  心絓(糸偏に圭)結而不解兮 思蹇産而不釈
   心(こころ)は絓結(かけつ)して解(と)けず、
   思(おも)いは蹇産(けんさん)として釈(と)けず。

  私はしばしば君を諫めて聴き入れられないので、
  申徒狄のように重い石を背負って沈んでも何の益があろうか。
  それ故私の心はむすぼれて解けず、
  思いはもつれまつわって釈けないのである。》
   
<背景>によりますと、最後の二句は、
句数から見て、元々あったであろう最後の二句が欠けているので、
後人が(三)「哀郢」からとって補ったのであろう
と考えられているといいます。

 ・・・

かくして「九章」は終了。

「離騒」同様、讒言により追放された身を歎き、
放浪する主人公の姿を描くのですが、
「離騒」ほどは、幻想的なイマジネーションの飛躍はなく、
その分、思いがストレートに描かれているのかもしれません。

最初に読んだとき、「離騒」とともに、
『楚辞』のほかの詩編より、心に残るものとなっていました。

どこまで私の印象が伝わったのかは疑問ですが、
今の自分にできる範囲での紹介でした。

 ・・・

次回は、「九歌」を少し紹介しておきたいと思います。

(略)

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 ● 漢詩の入門書等を読む

★『漢詩入門』一海知義/著 岩波ジュニア新書 1998.6.22

★『漢詩を読む 1 『詩経』、屈原から陶淵明へ』
江原正士、宇野直人/著 平凡社 2010/4/20
―漢詩の歴史をたどるシリーズ全4巻。第1巻は『詩経』から屈原の
 『楚辞』、漢や三国時代を経て東晋の陶淵明まで。
 俳優・声優の江原正士が専門家の宇野直人を相手に、代表的な詩
 を対話形式でわかりやすく読み解く。

★『漢詩入門』入谷仙介/著 日中出版 1979/01
―漢詩の有名作をたどりながら、その歴史と構造を解く漢詩入門。

★『中国の古代文学(一)神話から楚辞へ』白川静/著 中公文庫
BIBLIO 1980.9.10
―中国文学の原点『詩経』と『楚辞』の古代歌謡を『記紀万葉』と
 対比して考察する。文学の原点である神話が、中国では『書経』
 に人間の歴史として書き変えられ定着していると解説する。

 ●『楚辞』を読む

★『詩経・楚辞』目加田誠/訳 平凡社〈中国古典文学大系・15〉
昭和44 (1969)
―『詩経』の翻訳と解説。(後半は『楚辞』)

▲★『新書漢文大系・23・楚辞』星川清孝/著 鈴木かおり/編
 明治書院 2004.6.20
―原文に書下し文と解説・背景を伏したコンパクトな入門書。

★『楚辞「離騒」を読む 悲劇の忠臣・屈原の人物像をめぐって』
矢田 尚子 東北大学出版会 2018/12/3
―その形成過程の歴史的背景を考慮しつつ、屈原伝説にとらわれず、
 作品本位に屈原と『楚辞』との関係をとらえ直そうとする。

 ▲マークは、本文で取り上げた本
 ★マークは、筆者のおすすめ本です。本選びの参考にどうぞ。
 (基本的に、筆者が“偶然”手にしたものを取り上げています。)

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本誌では、「中国の古典編―漢詩を読んでみよう(6)『楚辞』(4)屈原の他の作品「九章」」をお届けしています。

ここでは冒頭の一節のみ転載しています。

その他は、本誌でご覧ください。

 ・・・

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『レフティやすおのお茶でっせ』より転載
中国の古典編―漢詩を読んでみよう(6)『楚辞』(4)-楽しい読書287号
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