南斗屋のブログ

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遷延性意識障害について

2007年09月10日 | 遷延性意識障害
先週、遷延性意識障害について書きました(「療護センター」)ところ、いくつかブログ内外でご質問・コメントをいただきました。

 まず、”遷延性意識障害と高次脳機能障害の区別がわからない”というような声を聞きました。
 これは、遷延性意識障害が軽度の方と、重度の高次脳機能障害の区別がわからないということであると思います。
 確かに、高次脳機能障害は、意識障害状態から脱した後に残る後遺障害ですので、どこまでが遷延性意識障害で、どこからが高次脳機能障害となるかという点を疑問に思われるのはもっともです。

 遷延性意識障害は、
 以下の6項目を満たし、それが3ヶ月以上継続してほぼ固定している状態をいいます。
 1 自力で移動できない
 2 自力で食物を摂取できない
 3 糞尿失禁をみる
 4 目で物を負うが認識できない
 5 簡単な命令には応じることもあるが、それ以上の意思の疎通ができない
 6 声は出るが意味のある発語ではない

 これは、1972年に脳神経学会で定義の発表がされたそうです。
 私の手元には、2002年に発行の脳神経外科の教科書があるのですが、それには、「遷延性植物状態」という名前で書かれており、「脳障害を生きる人々」という本でも、医学事典や専門書では「遷延性植物状態」というふうに記されていることが多いとされていますが、後遺障害診断書を見ていますと、たいてい「遷延性意識障害」と記載されておりますので、このネーミングの方が妥当だと思います。

 また、”「治療期間が3年になったら、治療と平行して、退院後のことを考えより早い時期からその準備を進めなくてはならないと考えています。」というセンター長の表現からは、現場の意見を反映した通達?とはほど遠いと感じます。”というコメントをいただきましたが、どうも現場では既に数年前からこのような方向で動いており、それを通達が後追いでだしているような感じのようです。
 
 治療期間が最長で3年ということになれば、現実には、1~2年を目安にするでしょうから、入院したとたんに、次の行き先をもう見据えなければならないということになりかねない状況のようです。



コメント (1)
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