南斗屋のブログ

基本、月曜と木曜に更新します

「高次脳機能障害支援コーディネートマニュアル」

2007年09月17日 | 高次脳機能障害
 「高次脳機能障害支援コーディネートマニュアル」という本が出版されています。
 初版は2006年5月、中央法規という出版社からで、病院や福祉に携わっている様々な方が著者となっています。

 章立てとしては、

第1章 高次脳機能障害の理解
第2章 診断基準
第3章 高次脳機能障害者への支援体制
第4章 社会復帰・生活・介護支援の進め方
第5章 支援の実際
第6章 当事者団体への活動支援
第7章 当事者団体の活動
第8章 権利擁護

となっていまして、社会復帰するためにはどのような支援があるのかや当事者団体がどのような活動を行っているかなどについては、詳細に書かれています。

 医師が書いた本ですと、どのような症状なのか、それはどのようなことからそのようになるのかの説明が多くなることが多いですが(例えば、橋本医師著ののPHP新書「高次脳機能障害」)、この本では、「支援マニュアル」をうたっているだけあって、どのように支援活動をおこなったらいいのかということが具体的に書かれています。
 「事例研究」も載っており、様々な症状を呈する高次脳機能障害を理解するには参考になります。

 もっとも、「第8章 権利擁護」については、弁護士の目から見ると全く実際の役に立たない記載です。
 
 同書には、高次脳機能障害者は、財産・金融に関わる権利擁護の必要性がある、例えば、本人の自覚がないところで闇金融業者から借金を重ねたために多額の返済を迫られている例、本人の知らないうちに預貯金他人の口座にうつされた例等がああるということが書かれております。

 同書では、このようなことに対応するために、「地域福祉権利擁護事業」と「成年後見制度」があるとして、この2つの制度について書いているのですが、これだけでは闇金融業者への対応にはなりません。

 闇金融業者は、その異常な取り立てに対向しなければならず、そのためには、迅速に弁護士を代理人として行動してもらう必要がありますが、そのようなことが何ら書かれていないのは、手落ちではないかと思います。

 ほかの項目が充実しているだけに、高次脳機能障害者が陥りやすい法律上の問題にどのように対応していくかについて、きめ細かい紹介が必要でしょう。




  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする