まずはじめに、このコースは現在、
猪二頭目撃情報があります。葉山上山口周辺の里山へ行かれる際はご注意ください。
ボブ達の混合ワクチン接種予定日であった、天気の良いGWのある日。獣医へ行く前に、以前から散策してみたいと思っていた、葉山町上山口というところにある里山へと向かった。
その里山から続く山道は、いくつかの峠を越え、横須賀市の田浦梅林へと抜けるハイキングコースになっていると、以前、葉山町の教員に聞いたことがあった。
里山へ足を踏み出すとすぐそこには、田んぼと畑の合間にいくつかの小さな池があり、小さな沢も流れている。民家などは無い、とても静かな場所。秋から春にかけては、犬散歩にも最適なところではないかと思っていた。
当日、早めに家を出て、診察予約時間の2時間前に上山口小学校辺りへ到着。近くの空き地に車を止めた。歩き出して間もなく、家が途切れたところでいくつかの田んぼが見えてくる。
タイムスリップしたような、誰一人いない里山のふもとの心地よい景色。カエルの大合唱とガビチョウや鶯の囀りだけが聞こえてくる。
手描きで「畑のあぜ道立入禁止」や「水生生物保護中」、そして「順路」の看板が要所に立てられていた。貯水池か自然に出来た小さな池のようなものが複数有り、この辺りにも蛍が生息している様子。
「順路」の指示通りに歩いていくと、間もなく分岐がある。道幅の広い左手方向へと進んだ。右方向を少し覗くと、奥はやぶに囲まれており、道では無い様子。
分岐の辺りにあるソーラー機器
そのまましばらく歩くと、畑作業中らしい農家の男性が二人、奥の方から歩いてきた。念のために、道を訪ねてみた。
すると...
「あんた、この先は藪だよ。行けないことはない。だけどそっちの山でイノシシが二頭出たばかりだ。作物を荒らしよった。」
えっ~!!道を間違えた?イノシシ出没???
道は間違えようのない一本道だった。しかも三浦半島にイノシシが生息しているという驚き。しかし目撃情報であれば事実であるに違いない。
さらに一人のご老人はこう言った。
「その犬は猟犬だな。もしイノシシ出たらやっつけてもらうがいい。おらたちも退治してくれるなら有難いけどな。気ぃつけてな。」
へ???
ヴァレンシアもボブも鳥猟犬類だと伝えたところで仕方なし。黙って首だけ振っておいた。
田浦梅林へ抜けるコースは、もう少し手前の、分岐を入っていくのだそう。ちゃんとした道であるからすぐ判るということだった。頭の中にはハテナが残っていたがすぐに折り返し、車を止めた辺りの舗装された道の分岐を反対側へと進んだ。
すると間もなくお寺があり、すぐ脇の舗装された道が山へと続いているのが見えた。そちらへ進み、お寺とお墓の間の舗装道をどんどん上がっていった。
墓地は山の斜面に延々と続いている。高度が上がるにつれ、正面には県道や湘南国際村がある山、そして葉山カントリークラブが見えてきた。
ここまで上がってきても、すぐ脇はお墓。
間もなく墓地を抜けると思う場所まで来た。しかしこの先には最後のお墓が建っていた。なんと道もここで行き止まり。
なんてこと!
そう、そこはただ、お寺の敷地であっただけなのだ。
元の道まで戻ると、先ほどの農家らしき方が一人、田んぼの方角から自転車で走ってきた。道を間違えたと伝えると、すぐそこだからと案内してくれるとのこと。葉山のお百姓さんはとても親切である。
なんと!案内してもらったところは、ソーラー機器のあったあの場所。分岐はよく見なければ、山の上まで続く道であるとは気付かないほど、とても細い道だった。しかしそれはたしかに、あぜ道よりはちゃんとしている...とは思えぬ。(*_*;
お礼を伝え、そのちゃんとした道を進むとすぐ、樹木に囲まれた鬱蒼とした世界が広がっていた。
確かに、イノシシが出てもおかしくないこの雰囲気。
途中で、入口の分岐よりも遥かに判りやすい、広い道幅での分岐有り。しかし右側は沢となり、すぐに行き止まり。左側の登る道を進む。
山道は粘土質、凹凸激しくガタガタで滑りやすい。固い粘土の上を歩くような感じで、ワンズの足には優しいかもしれない。
右手は沢であるためカエルが煩い。左手は竹林であるが奈落の底のような崖。高度が上がるにつれ、滑りやすいであろう下り道のことが心配になってくる。
それにもしイノシシが襲ってきたら...
イノシシが出没するという話は冗談ではないため、常に緊張感を持って歩いた。万が一出没した際、私の心理的なショックが最小限となるよう、昔のジャッキーチェーンのイメージを抱きつつ、両手を拳、時々腕をエルボー型で肘を引き、気合を入れておいた。
しかもイノシシは二頭だということを忘れ、お尻を蹴って、左の崖下に突き落としてやろうとか、叩くための太い木の棒を拾っておこうとかイメージ作りをしたりした。(笑)
間もなく、道が明るくなってきた。この里山の頂上だろうか。
突然開けたと思ったら、東電の鉄塔がむき出しで建っていた。
ここまで1時間。
衣笠山でも見られる野草が群生
鉄塔の少し先まで歩いてみた。
この先も同じような道が続いているため、引き返すことに。
この急峻で凹凸な道を、嬉しそうに興奮している二頭と共に下るのはかなり辛い。
引っ張られて滑らぬよう「ヒール」の声掛けしながら下ったのと、猪鉢合わせの際のイメージ作りのため、大量に汗をかいた。
ようやく分岐に出た。
しばし休憩。水を飲ませついでに、この田園風景を楽しむ。
カエルを捕えようと、田んぼへ頭を突っ込み、遊び始めたヴァレンシア
これから予防接種。泥まみれになったら困るのよ。
迷った時間を入れて1時間半。このコースは緊張感も手伝い、ヘトヘトとなった。ちょうど、獣医へ向かうのに良い時間となったため、上山口の里山をあとにした。