「小説すばる」さんのHPが更新されたようなので、
もう一度、紹介を!
智本光隆の
「私の逃避術 2036年ベイスターズ優勝?」が「小説すばる」4月号に掲載されています。
それを記念して、今宵は少し、昔語りを致しますせう。
小説すばる4月号 http://syousetsu-subaru.shueisha.co.jp/
・・・そう、それは昭和の終わりを数年後に控えたある日のこと。
当時の普通?の子供らしく、
野球やってるわけでもないのに、プロ野球の「野球帽」がほしくなりまして。
で、、うちの祖母に「ほしい!」と言いました。祖母の返事は「買ってあげる」
祖母は孫には甘かったほうですね。
一部で「孫にしか甘くなかった」との証言もありますが、それはさておきw
そんなで、小学校の制帽もだいぶくたびれていたので、街の帽子屋へと。
まだ健在だったりします。大崎帽子店。
さて、当時の帽子店の店頭には、セ・パ12球団の帽子がずらーと。
「おばあちゃん、帽子、帽子!買っていいよね?」
とか言ったものの、祖母からは「×」のオーラが・・・
で、学校の制帽だけ買って、元来た大通りに。
「なんだ、買ってもらえないのか」とややショゲ気味に、
それでもくっついて歩いていたら、別の帽子屋へと・・・
(残念ながら数年前に閉店して、写真はありません)
そこの店頭にも12球団の帽子があり、今度は「好きなの選んでいいよ」と。
それで大喜びで選んだのが、当時の「横浜大洋ホエールズ」の帽子。
今の横浜ベイスターズですね。
え・・・今はまた違うんだったけ?まあ、それはいい。
とにかく、紺色の帽子を選んで「これがいい!これ!」と差し出す孫。
財布から5千円札を取り出す祖母。
「あ、お代なんて!」と押し返す女性店主。
実はこの店は親戚が経営してました。
そんなことなど、まったく孫は気にもしてないので、
「そうか!この店にくればタダで貰えたんだ。おばあちゃんはスゴイなぁ」
と思っていたら、
「それは別なので!」と押し返された新渡戸さんを、再び押し返す祖母。
・・・・子供には訳がわからない!!
訳は分からないが、この手の押し合いで祖母が敗北したことはついぞなく、
この時も「購入」して店を後にしましたが、
「なんで2件も帽子屋いったんだろう??」
と孫の頭には、消えぬ疑問が。
考えても考えても、まったく答えは出ませんでしたが、
その頭にはおニューの帽子があるし、「まあ、いいや」
ところでこの時、祖母とはまったく関係ないところで、
孫は一生を左右しかねない「選択」をしていました。
「何故、その紺色の帽子を選んだのか?」
すぐにそれがいかに長く、そして厳しい道かを知ることになるのですが、
それはまた、多分明日あたり書くことになる話。
智本光隆