それは、1本の酒蔵さんからのメールから始まりました。
「初めてワシントンDCに行きます。一泊だけですが、なんとか会えないかなぁ」 と。
なななななんと!!目を疑うかのような内容。
すんごい嬉しいですーー!!
日本に居た頃は、なかなかすれ違ってしまい会えないまま渡米したのだけど、
そんな蔵元さんと、この異国で一緒に日本酒が飲めるなんて!!
でも、最初は、
“一緒に飲むお店はどこがいいかな~♪”
“お昼のアイドルタイムは、どこを観光案内しようかな~♪”
・・・くらいにしか思っていなかったおバカでした。
いろいろ話しを詰めていくと、本当はニューヨークでのイベントで渡米されるというのに、
このワシントンDCに寄って、開拓してみたいご様子。
ディストリビュータとの付き合いもあるだろうに、私の挙げた日本料理店に一緒に巡りたいと・・・
こんな・・・こんなタダの飲兵衛に・・・なんとも恐れ多いお言葉。
DCの日本酒市場に関しては、まったく無力な自分に、一体全体何ができるのか。
でも、考えてもしょうがない。
こーなったら、当たって砕けるくらいの気持ちで!
そうして、初めてお会いしたのは、
東京の辺りなら、 白露垂珠 という銘柄が売れている、
山形 に蔵を構える 竹の露 の代表&製造責任者 相沢さん!
はるばる、ようこそ、ワシントンDCへーーー!!
初めてお会いするのに、なんだか“ほっこり”温かい、“やんわり”してても芯が強そうような方で、
すぐにほっとしてしまえる~。
個人的には、佇まいや喋り方、にっこりした表情や目の感じが、
私の尊敬する、かつ、お友達のような存在の、大学のゼミの先生にそっくりなのがツボでした(笑)。
ニューヨークからの飛行機が、急病人の為のリターンで1時間以上遅れてしまったため、
会えたのは14時過ぎだったのだけど、
お連れしたかったお店に、ランチタイム終了10分前に、滑り込みセーフ!!お店の名前は
お店の名前はTEN PENH (テン・ペン。)
DCのど真ん中、FBIの真正面というベストなロケーションで、料理はアジアンフュージョンかなぁ。(HP)
日本というより東南アジア色が強い雰囲気なのだけど、
以前、「まき子は日本酒が好きだから。」 と、現地の友達が連れてってくれた時に、
確かに意外と日本酒もたくさん置いてあるのにビックリしたのだ。
ちょっと酒肴・・・じゃなかった趣向を変えて、日本人が関わってそうな日本料理店ではなくて、
こんなアメリカ人が経営しつつも、日本酒が揃ってるお店を紹介するのも、面白いかなぁ、と思い。
相沢さん、日本酒リストを見るなり、
「おおー、このお酒が入っているということは、●●というディストリビューターが入ってるのかなぁ。
■■かもしれないですねぇ。」 とメニューを見入る姿が熱い。
でも。。。
日本酒の銘柄を、さらに英語に訳してあるから分かりづら~~い!(笑)
HopeとかFutureとか言われても、どんな銘柄かわからないよ~。 望とか未来って漢字の銘柄?!
でも、まずは私オススメの シエラ・ネバダ というアメリカ地ビールを頼みつつ、遅いお昼ご飯を。
やしの実の殻容器に入った トムヤムクン (撮り忘れちゃった)に、
Vietnamese summer wrap と書かれた 生春巻き 、 カラマリ(イカ)サラダ。
「生春巻きは、この日本酒にも合いますね~。」 と、グラスで頼んだ 雪の茅舎 を、ちびりちびり。
そんな風に、ゆっくり食べながら飲みながら、相沢さんに色々質問してしまう自分。
何年前くらいから海外輸出を始めたんでしょう? って、もう 15年 も前からですか!
今は白露垂珠ファンも増えて、サンフランシスコの BEAU TIMKEN(ボー・ティムケン)さんが経営する
True Sake(HP) という日本酒専門店を教えてもらったり。
ぬぬぬ・・・そんな昔からなのに、やっぱり首都DCに出ていないというのは、やはりココは不毛地帯だ。
他にも、最近はロンドンにも出るようになったとか。
ヨーロッパといえば、ドイツ料理なんかは日本酒に合うし、イベントをやれば現地でも人気あるのに、
冷蔵コンテナーの空きが見つからなくて、なかなか輸出できないという壁にぶちあたっているそうな。
やっぱり、片付けなきゃいけない問題って山積みなんだなぁ。。。
ところで、なんとバレーをかなり専門的にやっていたんですか!
審判までやっちゃってたとは、すごーい!
私も学生時代はバレー部でしたよ~~。
な~んてプライベートな話にも盛り上がるのだけど、そんな話しばかりしている合間にも、
店員さんに「私、Japanese Sake Brewery の者です。マネージャーさんをお願いします。」(英語)と
しっかり営業モードに入っています。
生憎、飲料担当マネージャーがいらっしゃらなかったので(ゲリラ訪問だもの、しょうがない)、
代わりに、グラスとラップを持ってきてもらう。
すると、重そうなカバンからは、サンプルが。
不在のマネージャーさんに飲んでもらおうと、グラスに入れて置いていく作戦だ。
他にもお土産の枡や酒蔵紹介の記事などなど、色々出てくる!
ちゃんと分かりやすいように解説を書き足してたりしてアピールなのだ。
すると、なんと全体を見るフロアマネージャー(アメリカ人)かな?が出てきてくださって、ご挨拶。
「今日は楽しんでいただけました?これは必ず彼(飲料担当マネージャー)に渡しますからね。」 と、
自ら引き受けてくださったのだ。
ホントにホントによろしくお願いします!!どうか、マネージャーさんの口に届きますように。
さて。
この時間はお店のアイドルタイムなので、ディナーの開店時間まで、近くの観光地をご案内。
まずは、そうだなぁ・・・高い場所から臨んで、ワシントンDCの位置関係を掴んでもらうのがいいかな、と
オールド・ポスト・オフィス へ。
HPから写真引用しないと、塔の天辺まで写真に収まりきらないこの建物。
中はエレベーターが通っていて、上まではもちろん無料。
ワシントン・モニュメント(あの鉛筆みたいな塔) に登る時間がない時に、
整理券も必要なく手っ取り早く高い所へ行ける穴場なのだ。
さらにモールのど真ん中でワシントンDCの広さを体感してもらい、スミソニアンをパパっと回る。
中でも、
航空宇宙博物館で、アポロ11号の指令船や月面着陸したルナ着陸船に嬉しそうな相沢さん、
目が子供のようにキラキラ輝いてて、とーーっても楽しそう♪よかった~。
そうこう見てると、あっという間に17時も過ぎ、いよいよ夜のお店へ。
この店内、このガラス張り冷蔵庫・・・見覚えがあると思った方、大正解です。
以前、日本酒の揃えが良いお店として行った居酒屋 TAKO GRILL (HP)へ再び。
開店直後か、お店は落ち着いている。 よし、チャンス!
さっそく 「ディナーに来たのだけど、日本の酒蔵から来ていて、サンプルもあるので試してもらいたい。」
と言う相沢さんに対し、
「マネージャーは今は居ないけど、電話して呼んでみます。」 という好感触な店員さん。
とはいえ、実際に来てくださるか分からないので、とりあえず席について普通に注文。
まずはビールに合いそうな料理を、と選んだら、ついつい、
牡蠣フライ に 揚げ出し豆腐 に イカフライ ・・・揚物ばかりになってしまった。
しばらく蔵の苦労話やオモシロ話に花を咲かせ、ビールも空いたところで、日本酒を注文。
ミニ瓶の 獺祭50 に グラスで 久保田 千寿 と 酔心 を冷たいので。
相沢さんも、純米が一番という考えの持ち主だけど、こういう場では冒険しちゃうのが好きみたい。
いいっすね!私も冒険大好きです。
とはいえ・・・
「やっぱり純米がほっとしますね。」
「純米を飲んだあとに、このアル添を飲むと、やっぱり薄い感じがする~。」
「スケートリンクで、ツルン!って滑っちゃうような(笑)。あはは。」
などなど言いたい放題。
でも、獺祭を飲んだ時に、2人して 「うう~~む。。。」
私も前から思っていたことを、相沢さんも感じ取ったのだろうか。
「これじゃあ、せっかく一生懸命造ったお酒が可愛そうだよね・・・」 と。
やっぱし、ちょっとヒネっぽい味がするのだ。。。
この展示を兼ねた冷蔵庫、外からの紫外線は当たらないけど、中は白熱灯で照らしている。
蛍光灯じゃないからまだ良さそうなものなのに・・・。
ただ闇雲にお店に売り込むだけじゃなくて、
どういう状態で日本酒をお客に出しているのか心配しつつ、かつ指導したい気持ち満載な様子。
当たり前だけど、大事だよなぁ、そういうことって!
と、ゆっくりゆっくり飲んでいると、なんとビックリ!
この後、本当に TAKO GRILLの社長さん が来てくれたのだ!!
しかも社長さんだけでなく 料理長 までも呼んでくださり、さっそく試飲タイムだー!
蔵のお酒について、熱く語る相沢さん。
それに、かなり真剣に試飲してくださる、TAKO GRILLのお2人。
うう・・・なんだか、信じられません。。。
日本ならまだしも、こんな異国の・・・
しかも日本酒不毛のこのワシントンDCで、こんな光景が目の前に繰り広げられるなんて。
ドキドキして、じーーっとTAKO GRILLのお2人の顔を見つめてしまいました。
一方、何もできないタダの飲兵衛な自分の居心地が悪くならないように、
“ワシントンDCで、いかに日本酒に困っているお客がいるか” と紹介してくださったりと、
相沢さんの温かい気遣いには感謝です。
社長は、
「最近お客が激減しましてね・・・他レストランとの差別化をはかるべく、
日本酒もなるべく力を入れているけど、これは初めて見る銘柄ですね。」 と興味津々。
料理長も、
「ほー、変わった飲み口だねー。最初は濃い感じがするけど、キレが良い。
安くて美味しいなら良いんじゃん?」 と社長へ目配せ。
おおっ!良い反応!!
しかも、話しが進み、良いタイミングで、
「管理の問題か、せっかくのお酒が万全の状態でお客の元へ出されていない。」
と、展示冷蔵庫を指摘してしまう相沢さん。
が!
お店以前の問題も明らかに。
前にも聞いてはいたものの、やっぱりそうだったかー・・・。
「ウチの管理云々以前の問題だよーー。」 と肩を落としながら語るのは料理長。
飲食店が日本酒を仕入れようとする場合、
普通は ディストリビューター という、手配会社のようなものを通して仕入れる。
当然、彼らは日本酒のことを分かっているので、きちんとした管理もして配送してくれる思う。
が。
ワシントンDCの場合、間に カウンティ という国が入り込んでくるのだ。
そこが、もうムチャクチャなんだとか。
「ワインも焼酎もウィスキーも日本酒も、何が違うって分からないような適当アメリカ人がやってるから、
当然、何日も空調管理も何もない場所に放置されてる事もあるだろうよ。配送も彼らだし。」
と、料理長、ため息。
さらに、ディストリビューターは、好きな日本酒を自由に扱う事ができず、
カウンティ(国)が 「この中から仕入れるお酒を選びなさい」 と出すリストの中でしか扱えないそう。
となると、当然レストランに回ってくるお酒も、かなり限られてくるワケで。
はぁぁぁぁ~~~。
何とも大きな壁が立ちはだかっている事。。。
でも、その根源、カウンティ(国)を何とかする所から始めないと!
相沢さんも、
「いつまで経っても変わらないDCの現状を、なんとか打開しませんか?!」 と熱い!!
そうだそうだーー!!!
「政府に立ち向かうの、めんどくさーい。」 なんて言ってる場合じゃないぞーー!!
アメリカの首都が、こんなんでどうする!!
と、思わず便乗して、自分も熱くなってしまった。
とはいえ。
なんだか、ただ日本料理店を案内しただけで、隣にちょこんと座るしかなかった自分。
ロクに役にも立たなかったのに・・・
最後には、「サンプル、もう全部飲んじゃいましょう!」 と、
お寿司と刺身の盛り合わせに合わせて、大事な純米大吟醸を自分にも振舞ってくださる。
この熱さが、TAKO GRILL のお2人に少しでも伝わってくれれば。
そして、この話しが少しでも進むといいなぁ。
1~2年やそこらじゃ、きっと難しいだろう。
でも帰国してからも見守っていきたい!と強く思ってしまった。
そして、イチ客としては知りえない飲食店の生の話が聞けたり、とっても貴重な時間が過ごせたのも、
相沢さんのお陰です。
今頃は飛行機の中かなぁ、お気をつけて!
本当に本当に、ありがとうございました!!
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じっくりコメントしたいけど、なんだか読んだだけで熱いものが伝わってきたよ。
すごい情熱だよね!!
貴重な場に立ち会って、またまっき~が成長していく~
ロビーをたてる必要がありますね。ユーザーの裏付けも必要。日本酒業界全体でやらないと無理ですね。自動車みたいに現地生産で雇用を...ってワケにはいかないでしょうし。
他の国から輸入されるアルコールはどなってるんでしょ?ヒントないかな。
熱さが伝わってくれれば・・・またそれが繋がっていってくれれば・・・って思うよ。
大きな変化を起こさせるには、色んな関係者のやる気がなければ、、
そのやる気の素は、やっぱ「人」だよー「人」!
一人じゃなくて、たくさんの人の熱い想い!!
それを広げたいね~~。
まだ「禁酒法」が出来た時の名残なのでは、とも。
首都のあったDC初め東海岸が厳しかったですし。
ロビーとはなんでしょか(汗)!?勉強不足でごめんなさい。
日本酒業界全体で興してくれれば良いのですが、
今のところ「日本酒造組合」だったかな?が占めているような感じです。
他の国からのアルコールも気になるところです。
アメリカワインを嫌ってて(笑)、フランスワイン大好きで詳しい友達がいるので、
聞いてみたいです!
日本酒だけこんな状態だったらオカシイですもんね。
っていうか、「NY並みにできないのか」の方が話が早い!?
ロビーはロビーストのことだと思いますが、これとて一つの蔵だけではとてもとても。
鎖国DCの開国に向けて、まき子さんのサポートが小さな一歩になりますように♪
国外からの食料が輸入できなくなったら、
全農地をイモ類だけにしなければ国民の必要最低限の摂取カロリーを維持できないような農業政策をしている国も問題がある。
NYはきっとカウンティが入ってないんですよね。。。
DCにガッツリ入り込んでるカウンティにも、
NYと同じように!と申請しても、逐一えっちらおっちら時間がかかりそうなお国的な気配です。。。
何か策はないものか・・・日本酒だけじゃなくて、
もちょっと他のアルコールがどうなってるのかも調べてみたいです~。
ロビーについて、ありがとうございます!!
やっぱ・・・誰か政治家を日本に接待して、
洗脳させないと(笑)。
そこから「さぁ、なにができるか!」ですね。
しょーもない国に対して不平を言っててもしょうがない!
進路を見つけなければ。
あの後DCでそんな有意義なお店巡りがあったんですねー。TAKO GRILL懐かしい。
読んでいて本当に勉強になりました。まき子さんも相沢さんも凄い!
すべてはひとりひとりの小さな努力から。まき子さんを見習って頑張ります!
わざわざ日本の蔵元が、渡米するのに
まき子さんをたずねるなんて。
さすが、ポン酒界のカリスマ!
先日、竹の露の秋あがり、飲みましたが良い酒です。
アルコールの輸入に関しては、
いろいろややこしいルールがあるんでしょうが
15年先、いろんな日本酒が気軽にアメリカで飲めるようになればいいな~。
なんで15年かと言うと、定年する歳で、
その時に、もう一度アメリカに行ってみようと思ってるからです・・・。