ピレネーの山の犬 Zion♪シオン

シオンとともに歩く道、ともに見る風景、暮らしと庭の花たち。

一生懸命な背中

2018-04-01 | 生態・行動
Zionが駆け足になった。
走らないよう促すと、Zionは精一杯、動きを小さくしながら、
寄り道もせず、前だけを見た。

移動ふれあい動物園のにおいを感じているに違いない。
Zionが突き進むその先には・・・



やっぱり、動物たちがいた。
Zionはフェンスに顔をくっつけて、ガチョウにつつかれそうになったりしながら、
園のまわりを楽しそうに何周も何周もした。



Zionには、人が考える「適度」という観念は通じない。
放っておけば、延々と動物のそばにいるので、
何とか言い聞かせながら、別の場所まで歩いて来たが・・・
動物園の方を向き、とうとう座り込んだ。



ある日は、まだ出勤して来ていない動物たちを待って、座り込み。
座り込めば、動かされにくいことを知っている。



動物園の出張期間中、何度か公園を訪れたが、
その度に、一直線に突き進んだ。



別の散歩道に誘導しても、途中から動物園を目指して引き返した。



まだ、見ていない動物がいるも~ん!



動物園に行くと、子供たちに撫でられ、大人たちにも囲まれる。



あれれ・・・ぼくはウサギちゃんを見に来たんだけど・・・
ウサギちゃん、ウサギちゃ~ん。



そして、動物園の閉園時刻。
スタッフが片づけを始め、ケージに入ったウサギをフェンスのそばに置くと、
Zionは真剣な眼差しで、ひたすらウサギを見つめるのだった。



ウサギが車に積み込まれても、じ~っと見つめるZion。
その一生懸命な背中・・・スタッフのお姉さんも苦笑い。



この日の最後にやっと会えたけれど、
もう、おうちに帰るのだ。
車が出発する。
さようなら・・・ウサギちゃん。

Zionは吠えながら、車を追いかけた。

少し、せつないね・・・



また、会えるよ・・・お堀のそばを歩きながら、慰める。
どんな顔をしているのかな・・・
ファインダー越しに覗いてみると、
Zionはとてもいい顔をしていた。

よかった・・・

日頃は会えない動物たちに出会う時、
Zionの脳はきっと、フル活動している。


  

今日も会いに来てくれて、ありがとう!




しょぼんとする時

2018-03-14 | 生態・行動
見つけたのは、リード付きで散歩しているフェレットだった。
Zionは興味のあること、好きな何かを見つけると、
その気持ちを全身全霊で表す。

あなたに興味があります!あなたに近づきたいです!どんなにおいですか?

その一生懸命さは本当に健気で、出来れば希望を叶えてあげたいと思う。

でもね、フェレットは怖がるかもしれないし、
飼い主さんには、ヨダレをたらしているZionは、妖気を漂わせているように見えるかもしれない。
近づけるには、とても心配なことだろう。

こちらも全身全霊で、Zionを制御する。

フェレットさん、ばいば~い。



フェレットを見かけた場所から動かないZion。
いつまでも、いつまでも・・・



「ぼくは、においをかいでみたかっただけだもん」

しょんぼりするZion・・・
一生懸命になり過ぎるZion・・・



ようやく気持ちが切り替わり、立ち上がった。
また、きっと、いいことあるよ。

数日後、Zionは大好きなものを見つけた。
移動ふれあい動物園がやって来たのだ。

周囲には人がたくさん・・・本当は避けたいけれど・・・
Zionはまたあの調子で、喜んで喜んで走って行った。

そして、自分が展示動物になった・・・(笑)


  

今日も会いに来てくれて、ありがとう!




何かいる!

2018-03-12 | 生態・行動
Zionにとって特に興味深い出来事もなく、ただ穏やかな散歩道が続く時、
例えば小さな子供でも、Zionが認める限り、リードを持ち一緒に歩くことが出来るだろう。
そう、何も起こらなければ・・・



この日は小型犬に何度か会うものの、猫や鳥やラジコンカーも見かけない。
傍らを行く人はただ微笑んで通り過ぎた。



Zionのゆったりとした歩みが見慣れた景色の中に溶け込んで、
風に揺れる白い被毛がうつらうつらと長閑さを連れて来る。
気持ちいいなぁ・・・



・・・とその時、Zionの頭がぐっと上がった。
一瞬にして、全身の筋肉が活動モードになるのが分かった。
こちらの瞬発力も出遅れないよう緊張が走る。



動物的なカンの鋭さがZionの興味をかき立てているよう。
私はリードを持つ手に力を込めた。



Zionは体勢を低くしながら、歩みを進めた。
そして、駆け足になったかと思うと、猛烈な勢いで走り出した。
わわわ~っ!

ロックオンした視線のその先にあるものが私には見えない。

いったい、何があるというのだ!


  

今日も会いに来てくれて、ありがとう!




ピレネーの誇り

2018-03-05 | 生態・行動
春の嵐、冬の嵐、ぽかぽか陽気かと思えば真冬の寒さ。
そんな季節と季節の間から一気に春が訪れて、日中はまるで初夏のよう。
もう冬の頃のような奔放な散歩は出来ないのが寂しい。

急激な温度変化、寒暖差をものともせず、Zionは毎日よく歩いた。
そして、いたる所でたくさん、たくさん耳にした。

ライオン・・・ライオン・・・ライオン・・・



ぼく、ライオン・・・?
いったい、どこがライオンなんだよう。

気にしない、気にしない。

でもね、前から見るとね・・・



あらら・・・
何だか、そう言われても仕方ないカンジ・・・(笑)
それに、妙に仙人っぽいわ・・・(笑)

ピレネーの首回りに被毛が多いのは、クマなど外敵から身を守るためと言われ、
牧畜番犬としての遺伝子が受け継がれてきたもの。

どんな風に見えても、Zionはピレネー。
笑ってやり過ごしましょう。



強靭な足腰と肉体を持ちながらも、重すぎることなく、威厳と優雅さに満ちる姿・・・
それがピレネーの誇り。

そんな理想の姿からは遠くても・・・

心はどこまでも優しくて誇り高い。


  

今日も会いに来てくれて、ありがとう!




言葉のない会話

2018-01-31 | 生態・行動
浄水通の住宅地を歩きながら、
近くで出会ったある婦人のことを思い返した。

その人は小さな声でZionに話しかけ、涙を浮かべた。
どうしたの?と言うように、Zionが自ら顔を近づける。
婦人は涙を手で拭いながら、少し笑った。
Zionが何を話したのか分からないけれど、伝わったんだね・・・

不思議だけど、これまでにもこんな場面が何度もある。



人の心を感じ取ろうとする一方で、
撫でられるのを避けたり、無視したりすることもある。
Zionは人が好きであるが、誰でもというわけではないらしい。

初対面でもすぐに親しくなろうと積極的にアプローチしたり、
犬好きで慣れているから、犬にも好かれると自信満々で接する人には、
Zionは引いてしまう。

前に出会ったゴールデンを飼っていたという男性。
低く構えて、両手を広げ、笑顔でZionを呼んでいる。
「さぁ、来い! ヨシ、来い! ソラ、来た!」
自分の方へ来たら、ガシガシとハグして可愛がろうと待ち構えている。

Zionに漂うしれ~とした空気・・・
チーン・・・

こんな時、申し訳ない気持ちになってしまうが、
Zionの気持ちを代弁すると、こうだ。
「何で?」

Zionはどんな場面でも、
自分にとってそうする理由が見当たらない時、無反応を貫く。
彼はそういう性格の持ち主である。

不愛想で頑固、繊細な優しさ、言葉のない会話・・・

涙をこぼしていたあの婦人・・・
あの時、Zionは何を話したのだろう。

散歩道は凍てつくような風の中。


  

今日も会いに来てくれて、ありがとう!




超大型犬のあるある2

2017-12-28 | 生態・行動
水上公園の屋上ガーデンではしゃぐZion。
小さな頃のように無邪気で、成長したことも、10才であることも忘れてしまう。

実は、12月も中旬を過ぎた頃、私は外科のお世話になる羽目になった。



家の居間にあるソファの前、何の気なしに床に寝っ転がったまさにその時。
同じタイミングで、ソファに横たわっていたZionが床に下りた。

その前足の着地点がちょうど私の左耳の上となったのだ。



ものすごい衝撃音と強打の感覚!

前足には体重の4分の3がかかる。
どうやらその重みと爪で、耳たぶが切れてしまったらしい。
しかも、かなり深く・・・

Zionは何が起こったのか分からず、私について回り、何度も顔を見た。



全くのこちらの不注意である。
Zionの爪は歩くために必要なだけしか伸びていないし、ただ、ソファから下りただけ。
Zionは何にも悪くないよ・・・そう言いながら、
消毒綿を何枚も重ねて患部を押さえ、すぐに近くの病院へ。
5針縫い、全治10日、それでも年末までに完治したのは幸いだった。



自分の不注意で負傷した話は、以前にも書いたことがある。
Zionの後ろ足の飾り毛に付いた草の実を取っている時、
うっかりと後ろ足の真後ろに入り、顔を近づけ過ぎてしまった。
いつもは上からしっかりと足を持ち上げてするのに・・・

Zionはモソモソするものを振り払おうと強烈キック!
それをまともに眼に受けてしまったのだ。

眼は恐ろしく真っ赤になったものの異常はなく、全治1週間で済んだのだが、
その形相たるや、本当に妖怪人間かと思った。



全てのパーツが大きく力強い超大型犬。
その我慢強さや穏やかさ、優しさゆえに・・・やっぱり忘れてしまうことがある。
怪力の持ち主であることを。

些細なことで注意を怠り、自分が負傷する。
こんな経験、ありませんか?



えっ? そんなおバカなのは私だけ!?


  

今日も会いに来てくれて、ありがとう!




ピレネーの被毛

2017-11-07 | 生態・行動
フランスとスペインにまたがるピレネー山脈。
その中央部、ペルデュ山(3,352m)を中心とする国境付近一帯は
昔ながらの農牧畜、山岳放牧が行われている地域である。


(ガヴァルニー圏谷と光あふれる放牧地~ミディ・ピレネー地方観光局オフィシャルサイトより)

ペルデュ山のフランス側、中腹の放牧地が広がる風景。
夏の間、草の新芽を求めて移動しながら放牧される羊や家畜。
この辺り一帯で働くピレネー犬は、原産の中でも特に牧畜番犬に適する犬たちであり、
ピレネー犬の基礎をつくり、それを受け継ぐピレネー・オブ・ピレネーだ。


(家畜の群れが点在する夏の風景~ミディ・ピレネー地方観光局オフィシャルサイトより)

彼らにとって、夏山は暑くないのだろうか。
麓の町は、夏は猛暑になることもある日照時間の多い地域。
遮るものがない山の放牧地では、長時間、直射日光にさらされる。

3,000m級の山々に囲まれる斜面、乾燥した冷涼な空気。
しかし、太陽光がサンサンと直接降り注ぐ暑さはあるに違いない。
体温の上昇、紫外線によるダメージ、急激な気温の変化・・・

太陽光を吸収しにくい白という色、厚い被毛は、山岳の極寒だけでなく、
あらゆる気象条件から身を守るためのものだと考えられる。



冷涼な環境の中であるとは言え、
原産のピレネー犬が夏の直射日光による暑さを知っていることは、
日本で暮らすピレネー犬にとって、とてもありがたい。
夏のダメージから身を守る防御システムを少なからず身につけていることが推測できるからだ。
夏に厚い被毛を保つことは、そのことと大いに関係があると思っている。



高温多湿、害虫、細菌・・・彼らの苦手な季節を上手に乗り切り、
得意な季節を大いに楽しみ、ともに暮らしを楽しむパートナー。

日本に初めてピレネー犬が入って57年。
私たちは彼らのことをどれだけ理解出来ているだろうか。


  

今日も会いに来てくれて、ありがとう!




体型の完成

2017-11-06 | 生態・行動
9才を過ぎた頃から、シャンプーをする度に感じていた。
Zionの体格が以前より少したくましくなったようだ。

実際に若い頃より体重は増えているのだが、太ったわけでもなく、
ウエストもくびれ、スレンダーを保っている。

そして、八ヶ岳・北アルプス旅行から帰ってしばらくした頃から
被毛にも変化が現れ始めた。



Zionの被毛の量は、毎年5月頃にピークとなり、
夏はその量を保ち、9月中旬頃から大量にアンダーコートが抜け始める。
勿論、被毛は一本一本の周期により、一年中抜けたり生えたりしていて、
毎日、手入れをするたびにたくさんの死毛がとれる。



そんなサイクルは今まで通り変わらないものの、
ピークの毛量が例年より多く、夏の間も増え、伸びたため、
暑い暑い8月中旬、Zionはもこもこで、モサモサだった(笑)。

そして、秋になりずいぶん抜けてスッキリしたのだが、
これまでよりも多い毛量で落ち着いている。



なぜ、9才になってからなのかは分からないが、
Zionとしての体型の完成、あるべき姿になったということなのだろうか。



歩くペースは若い頃よりゆっくりになったが、
こちらがつき合う限り4時間でも5時間でも休憩なしで歩く。
放浪的な散歩が好きなのは、相変わらずだ。



人々からは以前にも増して、猛獣によく例えられる。
それは、面白おかしく言っているか、よほど観察力がないと察するが、
確かに体型のバランスと歩き方にはワイルドさがあり、
スタイが似合う可愛いタイプのピレとは雰囲気が違うようだ。



それにしても、何故、冬ではなく夏に被毛を増やすのだろう?

柴犬に代表される日本犬は、夏に向かうとアンダーコートが抜け、
冬に向かうとアンダーコートがしっかりと生えてくる。
いわゆる夏毛、冬毛があるのは、柴犬の自然の摂理だろうと思う。

自然の摂理に無意味はないはずである。


  

今日も会いに来てくれて、ありがとう!




猛獣ウォーク

2017-06-22 | 生態・行動
白くまさんみたいね!・・・とよく言われる。
生後2~3か月の頃なら、ホッキョクグマの赤ちゃんを思わせる雰囲気はあると思う。
成犬は全身が白いこと以外、全く似ていないのだが、
何となくご愛敬で、ほのぼのとする。

しかし、Zionが最もよく例えられるのは白くまではなく、もののけ姫のモロでもなく・・・
白いライオンだ。

首回りの被毛と体形、歩き方にそんな雰囲気が漂うのだろうか。



絞られたウエストがサバンナの孤独を連想させるのだろうか。



遠くへ、遠くへ・・・
ひとり、気ままに放浪するかのように歩くことを好み、
9才になって益々、その散歩スタイルにこだわるようになった。



体をうねらせながら、前足のスナップをきかせて歩く。
思いのままに歩く時、Zionはご機嫌だ。
それが途中で一転する。
気の向かない方向に促され、仕方なく歩を進める時、
全くやる気のないだら~ん犬。

だら~ん、だら~ん。

そんな時、通りがかりの人に「もうトシですか?」と言われたりする。
ほっといてよね。

Zionと心のやりとりを繰り返しながら、また歩く。



何と言われようと、ぼくはぼく・・・



Zionはよく遠くを見る。



そして、また力強く大地を蹴って、草や土のにおいを記憶する。
広がり続けるZionの地図。



クローバーの原っぱは、少し冷たくて気持ちいい。



夕暮れの草原、帰巣する鳥の群れ。
狩りは今日も失敗しちゃったよ・・・
ハラへったなぁ・・・

そんな情景とZionの独り言を想像してみる。

いつも気ままな猛獣ウォーク。
きみは白いライオンだったのか。


  
今日も会いに来てくれて、ありがとう!





遊びと超大型犬

2017-01-12 | 生態・行動
超大型犬と暮らしている人は、愛犬とどんな遊びをしているのだろう。

若犬期のZionは、ディスクやサッカーボールでよく遊んだ。
ディスクは、ボーダーコリーがしていたのを見て覚え、
(一度も成功したことはないのだが・・・)
サッカーは、少年がしていたのを見て魅かれた。

また、私が倒れたふりをすると走って来て、
仰向けになっている体の上を飛び越えるという訳のわからない遊びもした(笑)。



今も続いているのは、
幼犬期、物心がついて最初に教えた遊びである。



それは、
向き合った状態でマテを言い渡し、少しずつ離れる。
少しずつ・・・少しずつ・・・
Zionの集中力が高まっていく。

ロングリードがいっぱいに張り詰めたところで、合図と共に私が全力で走る。
それをZionが追いかけるというもの。

初めは短い距離で、走って来たら抱き留めていた。
生後6か月以降、徐々に今のスタイルにしていった。



ポイントは、抑制と集中。
走り出したい気持ちを抑制し、飼い主に集中する。

この日のZionは、何度やっても、途中で走り出した。



それでも、私を追いかける集中力は合格点。



気ままで自由奔放、放浪性あり。
そんなZionが飼い主を追いかける。
遊びでは、その点を大切にしてきた。



曇りなき集中力!



うわ~っ!追いつかれるよ~っ!



軽く私にタッチして、Zionが抜き去る。



足がもつれて、転ぶ私。



引き返して来たZionの興味は、ニット帽。



わ~い! 帽子はもらったぜい。



ぶるるん。ぶるるん。
ものすごい勢いで振り回す。
ヘン顔になってるよぉ。



この日のZionに帽子への執着はなく、
ヨダレだらけにして叱られると思ったのか、すぐに捨て、また走った。



走りたい時、走るだけ。
9才のZionが楽しいと感じるままに。



そんなZionもやる気がない時は、全く乗ってこない。
それでいい、それでいい。



ショート丈のダッフルコートは、動きやすいですね。

散歩コースに飽きた日は、ちょっとした遊びでアクセント。
足がもつれて転んでも、全力で走った爽快感。
お疲れ、お疲れ!


  

今日も会いに来てくれて、ありがとう!





ただ傍らで

2017-01-08 | 生態・行動
2017年の朝が来て、
Zionといつもの砂浜を走った。



海辺のボート置き場の周辺には、猫が何匹も暮らしている。
ここを探索するのが好きなZionは、
やっぱり、猫を追いかけた。



ゆっくり近づき、威嚇されると引き下がり、
また、近づいたり、追いかけたりする。
遊んでいるようで、本当に楽しそうだ。

正体不明の生き物に対する興味は、
少しだけ距離を縮めたようにも見える。
それも全く一方的に・・・

猫は心底、迷惑そうだ。



次の日は公園で、何度も威嚇されながら、楽しんでいた。



この光はどんな道を映し出し、
その風はどんな匂いを運んで来るだろう。
生命の鼓動は、Zionに何を語りかけるだろう。
ただ傍らで見て、聞いていたい。



ウールのコートの様な厚みのある生地のワンピース。
スヌードとデニムを合わせると、元気に走れそうな気がして。


  

今日も会いに来てくれて、ありがとう!





期待に満ちて

2016-12-29 | 生態・行動
どの散歩道をどう歩けば、Zionを嬉々とさせることが出来るだろう・・・



Zionは、続けて同じ道を選ばない。
違う道であっても、お決まりのコースはつまらない。
今日は今日のわくわくする道へ迷い込むように、
毎日、期待に満ちて歩きたいのだ。

元々、自分の判断を貫こうとする頑固な性質を持っているが、
9才になり益々、そんな気持ちが強くなっている。

年の瀬の慌ただしさの中、こちらの都合の良い道順を納得してもらった時の
あのつまらなそうな生気のない態度と言ったら・・・

そんなに面白くなくさせる私は、分からず屋で余裕のないココロの狭~い人。
そう思わせるZionのオーラ。



あそこの角を右に曲がった方がいいかも・・・
それなら、その手前で左にダッシュしよ。

明日は、Zionの好きなように歩いていいよ。
ほんと?やった~!

心を読み合いながら、歩く道。

そんないつもの道を踏みしめる。



風がなく暖かく感じた日のワントーン。
次の日のみぞれ混じりの冷たい雨がうそのよう。


  

今日も会いに来てくれて、ありがとう!





シオン、ガウる

2016-12-25 | 生態・行動
クリスマス・イヴのこと。
予約していたお店にケーキを取りに行く途中、
近くにある大名町教会に立ち寄った。
ミサまで、まだ何時間もある。
誰もいない聖堂にパイプオルガンの音だけが厳かに響く。



扉の外から、Zionがこちらを覗いているのが見えた。
通りがかったシスターの笑顔。
穏やかなクリスマスの日。



用事を済ませ、天神の公園を散歩していると、
オスのラブラドール・レトリバーに出会った。

Zionは、尻尾を横に大きく振っている。
歓迎モードに安心する一方で、ラブは尻尾を上げて小刻みに振動。
緊張、警戒のサインは見て取れたものの、
鼻を突き合わせた後、においを嗅がせてくれたので、
私は、この状況を甘く見てしまった。

Zionがしつこく嗅ぐと、ラブがかすかに唸った。
その瞬間、Zion、ガウガウガウ!!!

Zionは咬みはしないけれど、
ラブが応戦し、お互いのリードが絡んでしまった。
両者は離れることが出来ず、ガウガウ言い合うしかない状態に見えた。

それでも、Zionが猛烈な力で主人を引っ張り回し、
ラブの飼い主さんもリードを持っているのが精一杯。

私は、とっさに体の小さい方を全身で抱き留めた。
ごめんね、ごめんね。
そう言いながら、ラブの体を動かないようにすると、
Zionもすぐに冷静になった。

絡まったリードをほどきながら、ラブの飼い主さんに謝罪した。
犬たちにはそれぞれ言い分があったのだから、どちらが悪いという問題ではないが、
大きな体で圧倒したのは、Zionらしくなかった。



帰り道、カフェで休憩。
むすっとしているようなZion。
実は、お腹がすいているだけ(笑)

教会の近くまで戻って来ると、カリヨンの音が響いた。
やっぱり、穏やかなクリスマスの日。
美しい音色だね・・・


  

今日も会いに来てくれて、ありがとう!



夏の悩み

2016-07-08 | 生態・行動
大雨・強風の日々を乗り越え、7月の眩しい光。
どこからか聞こえて来る初々しい蝉の鳴き声。
いいな・・・心弾む好きな季節。
でも・・・Zionを思うと、好きでなくなる。

高温注意報、最低気温29℃、早朝から蒸し暑い。
7月3日はそんな日だった。
散歩を早く切り上げようとすると、
Zionは断固として踏ん張った。



暑いのに、遠くへ遠くへ歩きたいのだ。
木枯らしの季節、そうしたように。

それほど散歩が好きなのに、
無理やり連れて帰られるのもストレスに違いない。
そう思い、ある程度はZionの意思を尊重する。

その夜、Zionは下痢をした。
やはり、体には負担がかかるのだ・・・



それでも翌日は復調し、相変わらずの願望を主張する。
心は、どこまでも冒険と探究心に満ちている。

もしも、人が読書や新聞・TV・ネットなどの情報を制限されたら、
著しくつまらないばかりか、精神が不安定になるだろう。

犬にとって散歩は、まさに同等の価値を持つことを思うと、
運動することだけでなく、心の充足を大切にしてあげたい。

いかに体調を崩すことなく、願望に沿えるか。
やっぱり今年の夏も、課題になる。



キッチンの小窓から夏が見える。
家の中は室温20℃~23℃、湿度40%ほど。
散歩に出た時の気になる温度差、湿度差・・・

体に暑さの負担がかからない距離や時間の中で、
Zionの心が満ちるような散歩とは・・・



夜は早朝より暑いから、少しだけ歩く。
納得はしていなくても、説得に応じるZion。

夏だって、質のいい散歩を目指したい。

Zionに話しかけると、私の目をじっと見つめた。


  

今日も会いに来てくれて、ありがとう!





人に任せてはいけない

2016-03-14 | 生態・行動
眩しい光が春を呼んで来たかと思えば、次の日は真冬日。
そして、また光にあふれる散歩道。
春服にはときめくけれど、
冬にもう少しだけ、留まっていてほしい。



本来そうあるように生き生きとZionが走る。
草の匂いを楽しみながら、どこまでも歩く。
休もうともせず、距離は軽く10キロを超える。
この子のために、どれだけ時間と体力を注げるか。
それが課題になる寒い気温一ケタの日が
やっぱり、好きだ。



そんな早春のある散歩道でのこと。
自然な岸辺が美しい池のほとり。

飼い主のコマンドは、もはや耳に入らず。
犬がリードごと放れ、唸りながら走り寄って来た。

ワイマナラーだ。

何か?
そんな態度のZionにムカついたのか、
彼はいきなり咬みつきかかって来た。

その瞬間、私はワイマナラーの首輪をつかみ、引き離そうとした。
しかし、つかんだのはネックウォーマー。



左手のZionのリードに力を入れながら、右手にワイマナラー。
両者を出来るだけ遠ざけようとしばらく格闘したが、
つかんでいたネックウォーマーがすっぽ抜け、
再びワイマナラーがフリーになってしまった。
そして、戦闘態勢に突入。

色んな考えが頭を巡る。
Zionを放すことなく、この場を収める方法は?
それにしても、飼い主はどうしたのだろう。
どんな事情があるか知らないが、
何故、わが子を取り押さえに来ない?



ガウガウガウ・・・
次の瞬間、一喝したのはZionだった。
ワイマナラーは逃げた。
そして、足を滑らせ池に落ちるが、すぐに這い上がって来た。
次の一手は?

彼は口周りにZionの白い毛をもわもわとつけ、
鼻にしわを寄せ、牙を見せながら唸っている。
しかし、もうこちらに近づくことはなかった。

ようやく飼い主が現れて、捕獲。

ふぅ~、何とかなった。
大事に至らなかったから、それでいい。
でも・・・

興奮する犬を出来る限り安全に静かにさせ得るのは、
飼い主しかいないのではないだろうか?
これだけは、人に任せることではないと私は思う。

飼い主の責任を犬が代わって負うことのないように・・・



Zionの判断は冷静で、落ち着いていた。
もしも激しく興奮していたら・・・私一人では収拾出来なかった。

何事もなかったようにZionが歩く。
ありがとうね、助かったよ・・・

冷たい風が爽やかに感じられ、私はふと痛みに気づいた。
左手の薬指の爪が半分めくれて、血が流れていた。

うわっ!
そうだ・・・Zionのリードを持っていた手だ。
左手、よくがんばったと思った。
爪は消毒してテープで固定しただけで、3日ほどで治った。

散歩道では、色々なことが起こる。
それでも、散歩道は本当に楽しく、
いつも、美しい。


  

今日も会いに来てくれて、ありがとう!