ピレネーの山の犬 Zion♪シオン

シオンとともに歩く道、ともに見る風景、暮らしと庭の花たち。

ピレネーと雪の日

2016-01-29 | 生態・行動
冬姿の庭の針葉樹に舞い降りる雪。
ちらちら・・・そして、どんどん強く・・・

葉先で光る結晶に魅かれ、私はしばらくじっと見ていた。



暖冬でも時々、寒波がやって来る。
24日の大寒波は、九州地方に記録的な大雪をもたらした。
奄美大島では115年ぶりの降雪、
各地で観測史上最低気温(博多は-4.4℃)を記録するなど
近年にない極寒の日となった。



庭で大喜びしている者あり。
Zionにとって、寒さは大きなエネルギー。



どの道路も白一色。
泥ハネに備えてカバー類を装着し散歩に出たが、
どこまで行ってもサラサラのパウダースノー。



どの公園も白一色。
カッパも足カバーも必要なかった。
雪の粒は、被毛の間を踊るように滑って行った。



どんな道でも、自分の肉球こそ最も優れた万能ブーツ。
雪山でも凍らない足だが、この日は簡易的なラバーブーツを試してみた。
5センチほどの雪の中、Zionは問題なく走った。



3時間ほど歩いて家の近くまで戻ると、そら君が遊んでいた。
ボーダーコリー、活発でとても優しい。



遊ぼうと誘ってくれるそら君としれ~としているZion。
それでも、いつも仲良し。



大好きなお友だち。



家に帰ると、Zionはすぐには入ろうとせず・・・
雪投げして遊んだ。



前述のラバーブーツは散歩の間、ほとんど動きを妨げず、
足裏は濡れも汚れもせず、保護されていた。
肉球を負傷した時などの散歩に役立ちそうだが、
薄く路面を感じやすいだけに耐久性に欠ける。
全ての足に装着する場合は、肉球からの発汗が少ない
低温時に限定した方が良いと思う。



雪玉を投げると、立ち上がって追うZion。
バランスをとりながら、立ち姿勢を保つのだが・・・



何回やっても、雪玉は遠くへ逃げた。



「投げて!投げて!」

Zionは、いつまでも期待に満ちて雪玉を待った。

次の日の朝、散歩の途中、窓に下がるつららを見た。
つららなんて、何十年ぶりに違いない・・・

雪と私たちは2日間、一緒に遊んで笑った。
また、会おうね・・・

白い、白い雪の日。


  

今日も会いに来てくれて、ありがとう!




顔面直撃!

2015-09-15 | 生態・行動
週末の朝、いつものように散歩を終えて
Zionの後ろ足に付いたくっつきぼうを取りながら、
私は全く予想もしない事態に陥った。



受けたことのない衝撃に見舞われ、しゃがみ込む。
あまりの痛さに、しばらく動けない。



一瞬、何が起こったのか分からなかった。
そうだ・・・私はZionの後ろ足を見ていたのだ。
Zionの強烈な足蹴り。
それを左眼に受けたのだった。



Zionにしてみれば、敏感な足先。
もぞもぞして気持ち悪かったので振り払ったつもりが、
そこに私の顔面があった。



スリッカーをかけたり、チェックしたりする時は、
Zionと逆向きに立ち、足をしっかり持ってしているのに、
この時は、何故だろう・・・
左後ろ足のまさにすぐ後ろに顔を向けていた。



どうしたの?どうしたの?
鏡をのぞく私をしきりに気にするZion。

何でもないよ。悪いのは私だ。
左眼は、驚くばかりに真っ赤になっていた。

すぐに眼科に行った。
幸い、直撃したところが白目の部分で、大事には至らなかった。



足先は、尻尾や鼻先、口の周り、下腹部、内股部とともに
犬が嫌がるとされる部位。
触らせてくれるからと言って、注意を怠ってはならなかった。

犬は、痛みよりも痒みに対して敏感と言われる。
痒みやもぞもぞするような触覚は、不快極まるのだろう。



普通、そんなとこに顔を持って行く人、いないよね。
うんうん、本当にそうだ。

それでも、叫んでおきたい・・・

超大型犬の足蹴りにご用心。

眼が真っ赤って、怖い顔だなぁ。


  

今日も会いに来てくれて、ありがとう!




面白い室内遊び

2015-08-19 | 生態・行動
冬の遊びならたくさんあるけれど、
水が嫌いなZionにとって、夏ならではの遊びは皆無である。
海、川、湖・・・
とことん、避ける。
水の中で楽しそうにしている犬たちを見ても、
Zionは、自分とは関係のない世界と線を引く。



どんなに暑い日でも出来る唯一の遊びと言えば、
涼しい室内での追いかけっこ。



狭いリビングなのに・・・
突如として、スイッチが入る。
しっぽを台風の渦巻きみたいにして、
超ハイテンションで走り回る。



追いかけても、追いかけても、捕まらない。
狭いところをすり抜けるのも楽しんでいるみたい。



そして、追いかけっこのクライマックス。
フセの態勢で、前肢を大きく開き、
床にバン!バン!と叩きつけるようにする。
こちらも真似をすると、叩くタイミングを合わせてくる。

バン!・・バン!・・・バン!バン!

変則的にしても、必ず合わせてくる。
わざとタイミングをずらしてみると、
ひっかかる時もあって、面白い。

この遊びは、小さな頃から続いているもの。
いくつになっても同じスタイル。

よく考えてみたら、こちらもかなり面白がっている。



遊んであげているのか、遊んでもらっているのか?

かなり微妙である。


  

今日も会いに来てくれて、ありがとう!




初めての大接近!

2015-07-14 | 生態・行動
蒸し暑い朝のことでした。
涼しさ、落ちてないかな~。
かけらでもいいから、落ちてないかな~。



むむっ? あれは・・・



シャキ~ン!



シッポをび~んと立てて、お散歩猫さんが近寄って来る。
猫さんは逃げる生き物だと思ってたから、
ちょっと、びっくりなぼく。



うわっ! ほんとに来たっ!



こ、こんにちは・・・です。



猫さんのにおい。



猫さんのにおい。



ベッツィ、8ヵ月、男のこ。
生まれたばかりで捨てられているのを先住の秋田犬が見つけ、
家族に迎えられた。



ベッツィ、ゴロンした。



ぼくも、ゴロンした。



ベッツィが帰って行く時、ぼくは追いかけた。
ばいば~い、またねーっ。



前にも6ヵ月のうさぎが自分から駆け寄って来てくれた。
動物も子どもの時の方がより異種に対して
自然な受け入れが出来るのかな。

人もまた・・・
動物への愛情が子どもの頃から自然に育つことは、
大人になって頭で考えるのとは大きく違うはず。

捨てられたり殺処分されたりすることのない社会へ・・・
私たちは、どれだけ人の心を育てることが出来るだろう。

Zion、よかったね。
ベッツィにまた会えるといいね。


  

今日も会いに来てくれて、ありがとう!




誤解を招く表現

2015-05-07 | 生態・行動
結局、安静にすることなど一度も出来なかった。
もう、いいよね・・・
散歩の途中、傷だらけになっていたカラーを外した。
お世話になったね、ありがとう。
この姿もここで見納めにしよう。



最近、この犬種の情報に違和感を感じることがある。
あるTV番組では、ぬいぐるみのように可愛らしさを紹介され、
別の番組では、女性でも散歩させやすい犬と紹介されていた。
あるペット業者は、運動はあまり要らず飼いやすい犬だと言った。
どれも、あまりにも無責任ではないか。



女性でも・・・というのは、間違っている。
小さな頃にきちんと脚側歩行を躾け、
不測の状況下でも対応出来る能力を身につけた人が
散歩させるべきであり、男女は関係ないと思う。

穏やかな面だけを強調するのは認識不足、
誤解を招くような表現に気づかないことが腹立たしい。



ピレネー・・・
家族に深い愛情を示し、献身的で注意深く、
陽気で協調性にも優れ、穏やかな性格であるが、
自由をこよなく愛する犬である。

最も特徴的なことは、自分で状況を判断し、考えて行動すること。
納得のいかないコマンドには従わないし、無頓着で強情。
時には支配的になったり、執拗に吠えたり、脱走したり、
手に負えない面を併せ持つ犬でもある。

また、本来の性質は飼育環境により変化し、
安易なブリードによっても変化し、姿や性格を形成する。

長所を引き出すか、短所を増長させてしまうか。
この犬と向き合うことは決して簡単ではないと思う。



ピレネーがコマンドを受け入れ、本当の意味で人に寄り添うのは、
日々の生活の中で多くの時間をともに歩き、ともに過ごし、
理解し合う信頼関係があってこそである。

その終わりのない醍醐味を追いかけながら、
ピレネーをもっと知りたいと思う。

Zionは、呆れるところだらけだけど・・・

これからも色んなところを歩こう。
楽しいことを見つけに行こう。

放浪を夢見る瞳に今日は何が映ったことだろう。


  

今日も会いに来てくれて、ありがとう!




走る力の使い方

2015-02-20 | 生態・行動
久しぶりにこの砂浜に来た。

足をとられる乾いた深い砂。
何だ!もう!
私は走っても走っても、あまり前に進まない。
息が上がるばかり。



軽やかに砂を蹴って走り、遊ぶZion。



Zionの指がしっかりと砂をつかむ。
前肢のスナップを効かせて前に出る。



後肢が砂を蹴ると、ただ推進力に乗って跳ぶ。
無駄な力を使っていない。



どすどすと肢に体重をかけない動きを見ていると、
自分が日常生活の中でつい忘れてしまうことに気づかされる。
体を引き上げること。
バレエなどのダンスやスポーツの基本に留まらず、
日常の中でも身につけたいことだ。



体が浮き上がるかのように走るZion。
砂に足が埋まり、推進力を失う私。

常に上半身を引き上げて歩いたり、動作をすると、
膝に負担をかけずに、足腰を鍛えることが出来る。
また、美しく颯爽とした姿勢になる。
分かっているのに、なかなか出来ていない。

今年はもっと、がんばろう。

超大型犬といつまでも散歩を楽しむために、
ちゃんと自分の体を鍛えよう。


  

今日も会いに来てくれて、ありがとう!




遊べない理由

2015-02-12 | 生態・行動
ぼく、来たよ・・・
みんな、いないの?



誰も走って来てくれない。
静かな馬場はがら~んとして、ただ寂しい。



Zionがどんなに走って見せても、追いかけて来る音もない。
鉛色の空からは、今にも冷たい雨が落ちて来そうだ。



ぼくたち、ここだよう。



ライヤが鳴いてくれた。
ヒヒ~ン、ヒヒヒヒヒ~ン!



Zionが応える。
キュン、キュン、キュン!



今日は遊べない。
でも、納得したらしい。
Zionは、あっさりと走り去って行った。

またね。

やっぱり、雨が降って来た。


  

今日も会いに来てくれて、ありがとう!




のぞき

2015-01-17 | 生態・行動
ぴーぴーぴーぴー・・・
はぐれた小鳥の鳴き声?

ぴーぴーぴーぴー・・・
それは、Zionだった。



マリンワールド(水族館)の屋外展示施設では、
イルカやアザラシなどが泳いでいる。

本館の端にあるスロープから必死に覗くのだが、
見えないのである・・・残念。



ならば、スロープを駆け上がり、もっと高いところからチャレンジ!
やっぱり、見えない・・・



最上階からなら見えるかな!
やっぱり、見えない・・・

人には感じない海獣たちのにおい。

ヴォン!ヴォン!ヴォン!
呼んでみる。

その声は、届いたかもしれない。
Zionは、イルカたちとも友だちになれるだろうか。


  

今日も会いに来てくれて、ありがとう!




馬と競う

2015-01-14 | 生態・行動
冷たい風が吹き荒れ、みぞれも降った寒い日のこと。

遠くでのんびりと過ごしていた馬たちが
地響きのような音をたてながら、走って来た。

Zionが訪れたのに気づき、駆け寄って来てくれたのだ。



やあ、君か! また会えたね!



Zionは尻尾を大きく振り、顔を近づけた。
前にも走って遊んでくれたライヤ。



Zionが嬉しそうに遊びを誘う。
犬のボディランゲージを馬は理解するのだろうか。



かけっこの挑発をするように、自ら走ってみせる。



ほら!追いかけて来て!



すると、葦毛のヨサクがライヤを追い越し、爆走して来た。



やる気満々のヨサク!
ボクが相手だ!と言わんばかりの鼻息で、脚を高く上げた。
スタートだ!



それ~っ!



うお~っ!



お互い、譲らない!



ふたりとも頑張れ~っ!



迫力の走り!
つたない写真では伝わらないだろう。
馬が走る軽快ながらもどっしりとした音。
その震動のような音が体に響いてくる。



Zionはライヤにも仕掛ける。



幾度となく走りを楽しむピレネーとポニー。
走りながら、心を読み合っているように見えた。
そんなやりとりを見ていると、心が温もりに包まれる。



この後も気ままに散策しながら、
Zionはマリンワールド(水族館)を目指した。
姿は見えねど、漂うにおい・・・
海獣のにおい・・・
Zionはここに来ると必ず、ピーピー言う。

イルカさ~ん! アザラシさ~ん!

やれやれ。


  

今日も会いに来てくれて、ありがとう!




美しき立ち姿

2015-01-08 | 生態・行動
見つけたっ



器用に直立し、観察しようとする山犬。



黒ねこ 「 わ~~~っ!」



黒ねこは、Zionが登って来るとでも思ったのか、いや・・・



Zionの胴体がもっと伸びて、木の上に届くように感じたのか・・・



それもあり得ると思わせるほどに・・・
静止して、黒ねこをロックオン。
その単独の直立姿勢の見事なバランス!

黒ねこ 「 あいつ、やっぱり犬じゃないな! 逃げろ~っ」

黒ねこは木の上が危険と判断したのか、飛び降りた。
しかし、無理な方向へ跳んだため着地に失敗。
気の毒にも常緑低木の茂みの中に突っ込み、
もがき慌てふためきながら、逃げ去った。

予期せぬ出来事というものは・・・
経験や予測を超え、新たに学ぶこともある。

もっとも猫にとっては迷惑なだけの話である。



皆さん、今年も
わくわくする散歩道でお会いしましょう。


  

今日も会いに来てくれて、ありがとう!




組み込まれたプログラム

2014-12-08 | 生態・行動
朝は江津湖のほとりを散歩し、午後から熊本城へ。
Zionは色づいた落ち葉を不思議そうに眺めては
その上をさくさくと音を立てて歩いた。



本当におとなしいですね・・・誰かが話しかけてきた。
そうでもないと言おうとしたのだが、
応える間もなく、Zionは駆け出した。

待って~っ!



何かいた?



斜面を上ったり下ったり、追いかける、追いかける。



捕まえてどうにかしようというわけではない。
ただ、確かめなければならないのだ。



追うためには、柵も助走なしで飛び越える。



その真剣な眼差しの先に・・・



ギャーッ。
追いつめられながらも、どこか余裕の猫たん。
爪を立てているに違いない右のおててが妙に可愛い。



結局、逃げられたけど、面白かったなー。
とでも言いたげに、二の丸跡を闊歩する。

Zionに組み込まれた追って確かめるプログラム。
それは、外の世界でふいに訪れるファンタジー。

そして、さらなる外の世界へとZionを誘う。



今日もいっぱい、遊んだなー。
さて、もうひと回りして来るか・・・
夕日がきれいだね。

・・・って言うか、もう、カンベンしてよ!


  

今日も会いに来てくれて、ありがとう!




きみの価値観

2014-11-17 | 生態・行動
北山湖のほとりを6キロほど歩き、出発地点に戻って来た。
芝生広場のそばにあった貸し自転車に主人がまたがってみる。
その辺をフラフラと怪しげに動く自転車。
Zionは突然、スイッチが入った。



遊びを誘うポーズ、自転車を追い回す。
自転車を戻し芝生に出ると、今度はZionが逃げる。



Zionはリードの長さを心得ながら走っている。
それなのに、すばしこくて捕まらない。
そんな時、何て楽しそうなんだろう。



その様子を見ていたという人は、
1才くらいの若犬と思っていたと驚いていた。

かと思えば、全く反対の見られ方をしたりする。
「もう、相当なお歳なんでしょうね・・・」
そんな風に見られる時は、いつも決まっている。
Zionは帰路につくことを受け入れると、やる気がなくなる。

とぼとぼ・・・とぼとぼ・・・

散歩の時間の終わりが見えたからって、
そこまで落ち込まなくてもいいだろう



帰ってしまえば、ごはんを美味しそうに食べ、
気持ちよさそうに眠り、夢を見る。

それでも、ずっと歩いていたいきみの気持ち、
価値観は変えられない。

冬の心地よさが訪れる頃・・・
もうすぐ、Zionは7才になる。


  

今日も会いに来てくれて、ありがとう!




犬の言葉

2014-10-10 | 生態・行動
向こうから犬が来る。
飼い主に連れられているのは、おとなしそうな中型犬。
その犬は普通に散歩をしているだけなのに・・・
Zionは見た瞬間から形相を変え、怒り出した。

こんな時、ストップの声はただの追い風、
私は沈黙でリードに最大の力を込めながら思った。
両者のボディランゲージを一言だって見逃さないぞ。



犬は本来、争いを好まない動物だ。
自分にとって好ましくない状況になった時、
緊張、恐怖、ストレスなどを感じた時、
相手や自分を落ち着かせるカーミングシグナルを出して、
回避したり和らげたりすると考えられている。

これはノルウェーのTurid・Rugaasさんが
犬のボディランゲージの中でも特に注目する行動として研究、
著書「カーミングシグナル」で詳しく解説している。



先日出会ったG・シェパードちゃん。
初めは後ろから横に回ってZionに近づき、興味を示すものの、
尻尾を水平にしていることから、どんな行動に出ようか迷っているようだ。
そんな気持ちを感じとるZionは、終始、顔をそらし、
自分は無害だと伝えている。

体の大きな犬は一見、威圧的に見えるかもしれないが、
よく見ていると、相手に対し敵意はないというシグナルを
実は頻繁に出していると思う。

大型のオス同士になると、一定の距離を置き、
相手に興味がない素振りをしていることもある。
これはお互いのカーミングシグナルを読み合い、
無益なストレスを回避する行動と思われる。
こんな時は敢えて近づけたりせずに、見守りたい。



初めの話に戻ろう。
ただおとなしく散歩をしている犬に
Zionは何故、怒らなければならないのだろう?
その犬は、無邪気に興味のままに近づいて来た。
正面からZionの目を見据えながら・・・

つまり、ケンカを売られている。
Zionはそう思ったのだろう。

しかし、相手はケンカを売ったつもりはない様子。
きょとんとしながら、さらに近くに来ようとするのだった。
犬の言葉がうまく使えていないよ・・・
教えてあげたいけれど、こればっかりは犬から学ぶしかないのである。



ボディランゲージで意志や感情を伝える犬たち。

様々な仕草や表情、鳴き声など全身を使ったその表現は、
同じように見えても状況によって違う意味を表わし、
その行動をとったから、必ずその意味を表すという
単純なものではないようだ。

言葉を正しく理解するには、犬の行動の流れと
全体的な状況を読みとる観察力が必要になる。
咄嗟に起こる一瞬を見逃さないことはとても難しい。

もっと犬の言葉を読み取る力を養いたいと思う。

人を大好きになってくれた犬たちが
人のもとで心穏やかに過ごせますよう・・・
本当の気持ちが知りたい。


  

今日も会いに来てくれて、ありがとう!




8月の犬たち

2014-09-08 | 生態・行動
雨ばかりの夏が終わっても、なおぐずつく空の下、
久しぶりに光がこぼれて来た日・・・

豪雨災害に遭われた方々に一日も早く
平穏な日々が戻りますようお祈りしながら、
あの災害現場で働いていた犬たちの姿を思い出す。



泥だらけになり、ひたすら人の匂いを探していた
100頭を超える災害救助犬たち。

中には、センターで殺処分寸前に保護され、訓練を経て、
初めて臨んだ現場で活躍を見せたという犬もいた。
ニュースでも何度か取り上げられていたが、
現場でも訓練時でも、使命感に溢れた表情が印象的だった。

人に裏切られた犬が人によって再び心を取り戻し、
人を助けるために働く・・・何と言うひたむきさだろう。
その姿にただ、心を打たれる。



こうした働く犬たちの中でも、働く環境が大きく違うのが盲導犬だ。
盲導犬とパートナーは、自らに危険が忍び寄って来た時、
積極的な行動により回避することが難しい。
それを狙った悪質ないたずらは、卑劣極まるものだが、
卑劣な行いに対抗できるのは、周囲の目だと思う。
事件が大きく報道されると、模倣犯が出るとの危惧もあるが、
多くの人々は、温かく見守ることの大切さと
卑劣な行いは許さないという思いを新たにしたのではないだろうか。



ところで、前に書いたあの気になる家はどうなったかと言うと・・・
その後、お家の方と話をする機会があり、
7月の初め頃、引っ越して来たということが分かった。
ちょうど、Zionが気にし始めた頃だ。
その家の犬は、とても内気な性格だそうで、
慣れない所に来たばかり、不安な気持ちを募らせていたようだ。
今では時々、奥から出て来て、嬉しそうに挨拶をしてくれる。
Zionがここでの最初の友だちになった。



そして、8月に初めて晴れた気がする最後の週末、姪たちが遊びに来た。
小さな彼女とZionは・・・



ずんずん突き進んで来る1才5か月、怖いものなし。
Zionは予想外にも、引いては逃げた。

幼児に触られることには慣れていると言っても、
それはわきまえであって、実のところは、
コミュニケーションが取れない不安があるのだと思った。



少しの間でも一緒に暮らすと、また違ってくるのだろうが、
Zionにとって、今のところ、彼女は得体の知れない生き物らしい。

今度会う時、心はどこまで近づけるだろう。

人と犬、犬と犬・・・

いつも何かを教えてくれる。


  

今日も会いに来てくれて、ありがとう!




吠えるミステリー

2014-08-12 | 生態・行動
本当のところは、ミステリーなんかじゃない。
犬からすれば、当たり前の理由がある。

それでも、犬のボディランゲージは複雑だ。
同じ行動でも、状況によって数種類の違う意味があり、
観察力と的確な状況判断なしには、理解出来ないことも多い。

吠えること一つをとってみても、何故この状況で吠えるのか、
私には正直分からないことがいくつもある。



Zionはどの犬にも興味を示す方で、
相手に激しく吠えられても、9割ほどはぬうぼうとしているし、
また大型のオスに対しても多くの場合は、上手く衝突を回避している。

ところが、近所のあるオスの柴犬にだけは、見た瞬間から顔つきが変わり、
怒っているとしか思えないほどに猛烈に吠えるのだ。
他の犬とも別のオスの柴犬とも区別している。
何故なのだろう。

興味のある犬が飼い主に引っ張られて遠ざかる時、
「待って」 「こっちに来て」 と要求吠えをすることがあるが、これとは全く違う。

「怖い」 「あっち行け」 と警戒吠えをするとは、さらに考えにくい。

柴犬の飼い主さんを知る方から聞いた話によると、
この柴犬は、近所のどの犬からも何故かよく吠えられるそうだ。

このような不思議は、犬のカーミングシグナルにヒントがありそうだ。
引き続き、観察したいと思う。



不思議と言えば、私はかつて先代犬とゾ~ッとする体験をしたことがある。

先代ピレは、外では休むことがなく、
コマンドを入れても、おすわりさえしない犬だった。
ある夕暮れの道、その愛犬が急に路上に座り、
座ったまま、前方を見て吠えた。

静まりかえった住宅街の一角。
誰もいない・・・

愛犬は一方を見据え、なお座ったまま吠え続ける。
何故、座ったまま?

座るという行動に込められたカーミングシグナルは、
争いを避けたり、相手や自分を落ち着かせようとする信号だ。



ある家の前で、オレンジ色の灯りが揺れた。

その時、私は背筋が冷たくなった。
帰ろう! とにかくこの場所から立ち去ろう!
愛犬がいるから怖くなんかない。
泣きそうになりながら家路に辿り着いた。

翌日、母とその家の前を通った。

忌中・・・門柱に灯籠が下がっていた。
オレンジ色の灯りは、通夜の灯籠の灯りだったのか。
それとも・・・

愛犬にはいったい何が見えていたのだろう。

吠えるミステリー・・・
想像の余地がありすぎる。


  

今日も会いに来てくれて、ありがとう!